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英マクラーレン、世界限定375台のスーパースポーツ「P1」日本導入、9661万5000円
V8 3.8リッターターボ+モーターで916PS/900Nm発生
(2013/5/29 00:00)
英マクラーレン・オートモーティブは5月28日、ハイパフォーマンス・スポーツカー「マクラーレン P1」を発売した。日本での販売価格は9661万5000円。生産台数は世界限定375台となる。ステアリング位置は左のみ。同日、都内でP1の発表会を開催した。
日本はスポーツカーに対する理解力が他の国々よりもある
発表会で初めに登壇したマクラーレン・オートモーティブ・アジア リージョナル・ディレクターのミルコ・ボルディガ氏は、マクラーレン・オートモーティブについて解説。「マクラーレン・オートモーティブは設立以来、2011年にMP4-12C、2012年にMP4-12C スパイダー、そして今回P1を発表するなど、毎年1台市場にクルマを導入している。いずれもドライバビリティ、快適性、効率性は“宝石”とも言える作品となっている」と述べるとともに、「販売ネットワークは全世界で39の正規販売店が22の市場で用意されるが、間もなく中国、台湾、インドネシアといった国からニュースを配信することになると思う」と、今後アジア太平洋地域での販売を高めていきたいとした。
また、日本に関しても「我々の戦略のなかでも特別な地域。これは経済力によるものでなく、スポーツカーに対する理解力が他の国々よりもあると感じている。スポーツカーをどのようにエンジョイするか、それについて日本の方々は長けていると思う。その日本においては、マクラーレン東京とマクラーレン大阪に販売店を用意できた」と、戦略的に日本は重要な地域であることを述べるとともに、今年はマクラーレングループが創業50年を迎えること、また日本でのショールーム展開を開始して1年が経つことから2013年は同社にとって特別な年になるとし、「お客様にさらに美しい、ドライバビリティの高いワクワクするような自動車を提供してくことができると確信している」と解説した。
V8 3.8リッターターボ+モーターで916PS/900Nmを発生
P1の詳細については、マクラーレン・オートモーティブ リサーチ・ディレクターのディック・グローバー氏、マクラーレン・オートモーティブ デザイン・ディレクターのフランク・ステファンソン氏が概要を説明した。
「ポジション1」または「1位」を車名の由来とするP1は、オンロードとサーキットにおいて世界最高のパフォーマンスを発揮することを目標に、同社がこれまで培ってきたエアロダイナミクス技術、軽量カーボンファイバー技術などを集約した、「MP4-12C」「MP4-12C スパイダー」に続くハイパフォーマンスモデルの第3弾に当たるモデル。
注目点は多々あるが、まずパワートレーンはMP4-12Cなどに搭載するV型8気筒3799ccツインターボ「M838T」をベースに、エンジンブロックの高剛性化などを行うとともに、新型ターボチャージャーを組み合わせた改良型の「M838TQ」エンジンを搭載。これに179PS/130Nmを発生するモーター(重量は26kg)を組み合わせ、システム全体で916PS/900Nmもの出力&トルクを達成した。これにより、0-100km/h加速は3秒未満、0-200km/h加速は7秒未満、0-300km/h加速は17秒未満とし、「マクラーレン F1」の0-100km/h加速3.2秒、0-200km/h加速9.4秒、0-300km/h加速22秒よりも確実に進化しているとした。最高速は350km/hとなっている。
モーターとエンジンは直接マウントされ、7速デュアル・クラッチ・トランスミッション「SSG」を介して後輪を駆動する。モーターのみで10km以上(欧州複合モード)を走行できる「Eモード」が用意される。モーターの出力に関しては、F1マシンのKERSユニットでで使われるモーターの最高出力が82PSであることから、F1マシンの2倍以上の出力を発生していることになる。
バッテリーは各54セルからなる6つのモジュール(計324セル)で構成。パッセンジャールームの背後に搭載され、重量は96kg。エンジンによる充電(スロットルOFF時)のほか、2時間で充電できる外部充電も可能とした。また、ドライビング性能を追求したため、ブレーキによるエネルギー回生は行っていないと言う。
ボディーサイズは4588×2144×1188mm(全長×全幅×全高、全幅はミラー部含む)となっており、低くワイドなフォルムが目を引くとともに、ボディーサイドはえぐり取られたような形状とした。これは空力性能の向上とともに軽量化の意味が含まれる。さらに多くの個所にダクトが設けられているが、一例としてボンネットの通気孔を通過した走行風はダウンフォースを発生させる役目を担うとともに、ルーフ上のエンジン・インテーク・シュノーケルへ向かい、エンジンの冷却用としても使用されると言う。また、前面投影面積はMP4-12Cよりもコンパクトとし、Cd値は0.34を実現している。
そのほか、専用設計となる純正装着の10スポークホイールは、MP4-12Cでオプション設定される超軽量ホイールよりも幅が広い(フロント19×9J/リア20×11.5J)にも関わらず、重量では下回ったと言い、フロントホイールは7.94kg/本、リアホイールは9.72kgとした。
これに組み合わせられるピレリと共同開発したPゼロ・コルサは、非対称形状(タイヤパターンにはマクラーレンのロゴが刻まれる)を採用。タイヤ・ベルト、ビード、サイドウォールの構造は特別設計されたもので、縦方向、横方向ともに一般的なスポーツタイヤよりも大幅に硬いのが特長と言う。その一方で、コンパウンドの剛性は高くなっても、レース以外の一般走行での快適な乗り心地をタイヤとサスペンションのセッティングにより確保したと言う。
なお、ブレーキシステムは曙ブレーキ工業製を採用しており、フロント6ピストン、リア4ピストンのアルミ・モノブロック・対向ピストンキャリパーに、フロント390mm、リア380mmのカーボンセラミックディスクを組み合わせた。ディスクはもっとも硬度の高い物質として知られるシリコン・カーバイド(炭化ケイ素)を含浸させ、制動力を高めている。
2シーター仕様のインテリアでは、ダッシュボード、フロア、ルーフ、ドアなどがカーボン製となっており、カーボンはラッカー塗装を行わないことでナチュラル仕上げとし、1.5kgの軽量化を図るとともに、無用な光の反射を防いでいる。カーペットはオプション設定となるものの、室内のトリムカバーなどは最小限にとどめられるとともに、吸音材を取り除くなど徹底した軽量化が行われている。
また、P1は「IPAS(インスタント・パワー・アシスト・システム)」および「DRS(ドラッグ・リダクション・システム)」を搭載。ステアリングに装備されるそれぞれのボタンを押すと、IPASはモーターに179PSの出力を瞬時に発生させ、DRSはリア・ウイングの角度を寝かせることで空気抵抗を23%減少させ、速度を高めることができる。
なお、フランク・ステファンソン氏はP1のエクステリアデザインは複数の動物からインスピレーションを受けたとし、一例として素早く動くことができるチーターを挙げた。このことについて、「チーターは非常にハングリーな動物で、獲物を捕まえるためスピードが必要となる。獲物に飛びかかるときの構えを想像できるかと思うが、クルマに関しても停まっていてもすぐに飛び出そうとする雰囲気が重要で、そのコンセプトはチーターに近い」と解説した。
主要諸元
マクラーレンP1 | |
---|---|
ステアリング | 左 |
駆動方式 | 2WD(MR) |
全長×全幅×全高 | 4588×2144×1188mm(全幅はミラー部含む) |
ホイールベース | 2670mm |
トレッド(前/後) | 1658/1604mm |
乾燥重量 | 1395kg |
エンジン | V型8気筒DOHC 3799ccツインターボ |
エンジン最高出力 | 737PS/7500rpm |
エンジン最大トルク | 720Nm/4000rpm |
モーター最高出力 | 179PS |
モーター最大トルク | 260Nm |
エンジン+モーター最高出力 | 916PS |
エンジン+モーター最大トルク | 900Nm |
トランスミッション | 7速デュアル・クラッチ・トランスミッション「SSG」 |
ブレーキ | 曙ブレーキ工業製カーボン・セラミック・ディスク(フロント390mm/リア380m) |
タイヤ | ピレリPゼロ・コルサ(フロント245/35 ZR19/リア315/30 ZR20) |
ホイールサイズ | フロント19×9J/リア20×11.5J |