ニュース
ゼンリンデータコム、片山右京率いるTeam UKYOと開発したロードバイク用フレーム「Reve Altitude」
「Team UKYO Reve」を結成して、世界に通用する選手の育成にも取り組む
(2014/11/5 19:41)
ゼンリンデータコムは11月5日、元F1ドライバーの片山右京氏が率いるサイクルロードレースチーム「Team UKYO」と共同で、ロードバイク用のカーボンフレーム「Reve Altitude(レブ アルティテュード)」を開発。同日から受注を開始すると発表した。趣味のサイクリストからロードレース選手まで幅広いユーザーをターゲットとしており、Team UKYOの選手も実際にレースで使用する。価格は仕様などによって異なり、29万8000円~31万8000円(税別)。全国の自転車専門店などを通じて販売する予定。
8種類のディメンション、4種類の“BB”に対応する超軽量フレーム
Reve Altitudeは、Team UKYOを長年スポンサーとしてサポートし続けてきたゼンリンデータコムが、片山右京氏らの監修のもとにおよそ2年の歳月をかけて開発したカーボンコンポジット素材を用いる自転車フレーム。2014年2月に発売した入門者向けロードバイクの「Reve(レブ)」に続く製品となる。
素材には700tカーボンを使用し、カーボン成型の最新工法とされる「EPS工法」を採用。カーボン成型時に発生する余分な樹脂素材を効果的に除去することなどによって高密度な圧縮成型を可能とし、さらに大部分を一体成型とすることで、軽量・高強度・高コストパフォーマンスを実現する。
フレームサイズ(ディメンション)は450~600mmの8種類から選べるほか、BB(ボトムブラケット)の形式についても注文時にBSA、BB30、PF30、BB86の4種類から指定可能となっており、体格や好みに応じてカスタマイズできる。カラーは「ホワイト/レッド」と「Team UKYO ブラック」の2種類が用意される。
シートステーは少しだけ弓なりにしならせることで、適度なクッション性による快適さとロスの少ない推進力の獲得を両立。フォーク部分についても全体がカーボン製なのはもちろんのこと、上部のコラムと下部のクラウンの接合部が存在しない一体成型によって剛性を高めている。
フレーム重量は500mmサイズで830g(誤差±50g)、フォーク重量は380g(誤差±20g)。シートクランプ、ヘッドセット、プレッシャープラグが付属する。納期は注文から1カ月前後。マカオで生産され、実際の初回デリバリーは2015年1月ごろになる見込み。
新チームで若い選手らをサポート。フレーム製品はその第一歩に
ゼンリンデータコムは、カーナビを中心としたソフトウェアベンダーとして活動する傍らで自転車関連製品の販売も手がけてきたが、同社の代表取締役副社長である藤沢秀幸氏は「ロードバイクの世界にも事業として取り組んでいきたい」と明言。Reve Altitudeを皮切りにロードレース関連製品の積極的な事業展開を進め、Team UKYOとの連携も強めていく構えだ。
発表会には片山右京氏も登場した。ロード用カーボンフレームについては「ないものは作る」という考えから、プロライダーによる試乗を重ねることなどで開発を進め、アジア人の体型にこれまで以上にマッチした、剛性感と軽さのバランスが取れた製品に仕上がっているという。
「(ロードレースで活躍している)新城選手のように、日本人の個々のパフォーマンスを見れば可能性はないわけではないが、レースで集団をコントロールすることを考えると、100人の新城選手がいるわけではない。もっとたくさんの選手を育てないといけない」と話し、世界レベルを目指すためには適切なプロダクトやアスリート育成環境の整備が急務であると強調。新チーム「Team UKYO Reve」の結成も宣言し、2015年以降、若い選手や本格的にレース参戦を目標としている人などを対象に支援していくことを明らかにした。
一方、今回はReve Altitudeをリリースしたわけだが、「フレームビルダーの分野にTeam UKYOが本格参戦する、というわけではまったくない」と片山氏は否定。「(世界を目指すうえで)コツコツと足りないピースを埋めるだけ。まずは小さな一歩かもしれないが、応援してほしい」と語った。
このほかに片山氏によれば、フレーム開発で重視したのは軽さ。「廉価なカーボンフレームもあるが、1kgを超えてくると競技用としては厳しい。(ロードレースのレギュレーションで最低車両重量は)6.8kgと決まっているけれど、それを下まわるポテンシャルがないと」と力を込める。
また、身長140~150cmの小柄な女性から2m近い大柄な男性まで、競技に参加するアスリートの体格はさまざま。使用するパーツについても異なるメーカー、異なる仕様の製品があふれている。そういった意味で幅広い体格に合わせられるようサイズパターンを用意し、4種類のBBへの対応などによって汎用性を持たせている部分もReve Altitudeの特徴だと説明された。
片山氏は今回の製品について、自身の満足度を「100点というのはどんなことでもありえないと思うが、及第点には来ていると思う」と話し、今後の製品開発では風洞試験などで性能評価するような手法が課題になるだろうとした。