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日産、今夏に正式発表される「GT-R」2017年モデル発表会。右ハンドル仕様登場
内外装の変更、エンジン出力向上、空力性能を改善するなど大幅に改善
(2016/4/2 00:00)
- 2016年4月1日 公開
日産自動車は4月1日、3月に行なわれたニューヨーク国際自動車ショーで世界初公開した「GT-R」の2017年モデルを、日産グローバル本社ギャラリーで公開。この発表会では2017年モデルを今夏に正式発表することが明かにされ、会場には6台の2017年モデルが展示された。なお、同ギャラリーでは4月1日以降も2017年モデルを展示、展示期間については同ギャラリーの公式サイトを参照いただきたい。
2017年モデルでは、2007年の発売以来最大規模で変更が行なわれ、内外装のデザイン変更、エンジン出力の向上、それに伴ない空力性能を改善するなど大幅に手が加えられた。ただし、今回の発表会は正式発表前の先行披露の場とのことで、公開内容は限定された。展示モデルのうち5台は北米向けのモデル(左ハンドル仕様)だが、メインステージ上には右ハンドル仕様を1台だけ展示している。
その2017年モデルだが、エクステリアでは冷却性能向上と空気抵抗の低減を目的にVモーションの加飾を与えたフロントグリル(マットクローム仕上げ)の開口部を拡大するとともに、フロントスポイラーの形状を変更。超高速域での変形を抑制するためエンジンフードには補強が施され、さらにY字スポークの新デザインとなる20インチ鍛造アルミホイールを採用した。リアディフューザーまわりでもシルバーフィニッシュが与えられた新しいものに変更している。ボディサイズは2015年モデルから40mm長くなり、4710×1895×1370mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2780mm。
発表会には日産自動車 代表取締役副会長 チーフ コンペティティブ オフィサー(CCO)の西川廣人氏、専務執行役員 チーフ クリエイティブ オフィサー(CCO)の中村史郎氏、GT-R 2014年モデル以降に開発責任者を務めるニスモビジネスオフィス(兼)商品企画本部 第一商品企画部 チーフ・プロダクト・スペシャリストの田村宏志氏が出席してそれぞれ挨拶を行なった。
あらゆる点でアグレッシブかつ洗練されたモデルになった
まずはじめに登壇した西川CCOは、「本日はニューヨークショーで発表した2017年モデルを紹介したい。日本で生まれ、日本で育てられた2017年モデルをいち早く日本の皆様にもお見せしたかった」と、ニューヨークショーでの公開から間もなく日本で披露した理由について説明。
そして2017年モデルについては「日産のクルマづくりに対するパッションを詰め込んだクルマ」と表現するとともに、「2016年は技術の日産をさまざまな形で具現化して、魅力ある商品を提供していく。GT-Rをはじめ、さまざまな商品をお届けする年にしたいと思っている。ぜひご期待ください」と、2016年度への抱負を語った。
次に登壇した中村CCOは、「GT-Rは1969年に最初のモデルを発売したが、常にヘリテージを継承しつつ、時代をリードする先進技術で進化させてきた。R35はフラグシップとして究極のドライビングプレジャーを追求し、グローバルで好評をいただいている。今回はパフォーマンスと洗練をさらに進化させ、エンジン出力アップ、静粛性と車体剛性の向上などに加え、デザインの大幅改良を行なった」と述べるとともに、フロントではVモーションデザインを加えた、エンジンパワーアップに対応するための冷却効率の高いグリルを採用したと紹介。またバンパーからサイド、リアにかけてデザインを変更したことについては、「単にデザインを変更しただけでなく空力性能も向上させ、高速域でより高い安定性を実現している」と説明した。
インテリアではプレミアムスポーツに相応しいものを目指し、インパネを中心により広がりのある空間を感じられるデザインにしたという。インパネには高品質なレザーを採用するとともにステッチを入れることで上質感が向上し、そして固定式のパドルを採用することであらゆるコーナーで安定したコントロールが可能になったことを説明。「この新しいGT-Rは、まさにスーパースポーツとしていつでもどこでも常に高性能が楽しめる。性能、快適性、デザインなどあらゆる点でアグレッシブかつ洗練されたモデルになった」と完成度に自信を覗かせた。
チームに恵まれたからこそ実現した2017年モデル
そしてGT-R 2014年モデル以降に開発責任者を務めている田村氏からは、2017年モデルの概要について紹介された。田村氏によると、2017年モデルは2015年モデルの延長線上に位置付けられ、さらなるプレミアム性と走行性能の向上が図られたという。
田村氏のいう「深化」のポイントだが、まず空力性能では「エンジン出力を上げると冷却性能も高めないとならない。エンジンルーム内に空気をより通すことを目的に、Cd値とダウンフォースが変わらないようにグリルとバンパーの開口面積を拡大した」と説明するとともに、サイドシルのデザイン変更、ボディ剛性を上げることを目的にアッパーキャビンも変更したことが紹介された。
さらにCピラーまわりの形状をなだらかなデザインに変更したほか、サイドシルを張り出させることでフロア下への横風の侵入を防ぎ、ダウンフォースの安定化を図った。加えてリアバンパーサイドの形状を「GT-R NISMO」で得られたノウハウをもとに変更するなどし、フロントからリアまでの空気の流れを改善したという。
そして出力が向上したエンジンでは、GT-R NISMOからフィードバックした「気筒点火時期制御」により最高出力は2015年モデルから20HPアップの565HP、最大トルクは4lb-ftアップの467lb-ftを実現(スペックは北米仕様)し、広範囲でのトルク向上により中間加速を改善したという。また、6速デュアルクラッチトランスミッションも改良を受け、よりスムーズで切れ目のない加速を実現し、日常使いで体感できるフィーリングを向上させることがプレミアムにつながっていくと説明した。
キャビンまわりではフロントウィンドウフレームを強化するなど車体剛性の向上を図り、フロントとリアの変形量の差を抑えることでボディの一体感を高めた。その結果としてサスペンションが効率よく動き、接地荷重が上がり、超高速域での直進性の向上や安定性に寄与したとしており、スラロームスピードや高速安定性が向上したという。さらに「不快なものを取り除き、心地よい音を乗せる」という考えのもと、フロントウィンドウに遮音ガラスを採用したほか、バルクヘッドまわりやリアホイールハウスに吸音材、トランクまわりに吸音効果のある制振材を追加。さらにエンジンのこもり音を低減することを目的とした「アクティブノイズコントロール」機能、電子制御バルブ付きのチタン合金製マフラーなどを採用していることが紹介された。
田村氏は最後に、「2017年モデルは仲間、チームに恵まれたからこそ実現できた。“究極のドライビングプレジャーの追求”という言葉をR32 GT-Rの時代から使い続けているが、究極という言葉を使うのは怖かった。だからこそ“追求”と加えたわけだが、(2017年モデルを)お見せした瞬間からクルマは陳腐化がはじまり、そこから飽くなき挑戦が続くのだろうと思う。とはいえ、日産のDNAを皆様にお届けすることができ、GT-Rがこうやって並ぶこともなかなかないので喜ばしい限りです」と結びの言葉を述べてプレゼンテーションを終えている。