日下部保雄の悠悠閑閑
新入りニャンコ
2019年11月25日 00:00
わが家にはいつもネコがいる。うちにやってきたきっかけはいろいろあって、ペットショップでこちらを見上げる目つきにほだされたこともあるが、大抵は拾ってきたネコだった。
ウチの管理下にあるネコは多い時は4匹もいたが、現在は老猫が1匹となっている。このページでも何回か登場しているサスケである。サスケは、真夏に何ということか兄弟でタッパーに入れられて捨てられていたのを娘が助けてきたネコだ。早めに救助できたのでその後はすくすくと育ち、大人になってからはネズミを捕ってきては家中大騒ぎになった。それもひと晩に何匹も捕獲するハンターなのである。
今は齢20歳になっているので、さすがにネズミを捕ることはなくなったが、時折本能が目覚めるのか、家の中を脱兎のごとく走り、こちらが驚かされる。ま、普段は“ネコ”というぐらいなので一日中寝ていることが多く、いたってのんきな老後を過ごしている。
しかし、その平和をじゃましそうな存在がやってきた。子猫である。もともとは同居する娘夫婦が殺処分になるところだったのをもらってきた、生後1か月半ぐらいのマンチカンとスコティッシュフォールドの雑種である。ネコの種類については詳しくないが、マンチカンは短足ぐらいしか知らない。また、脚は短くても脚力は強いので運動能力は意外と高いらしい。一方のスコティッシュフォールドは垂れ耳が特徴で、ウチのは長毛で愛らしい。
出張から帰った翌朝、「これどう思う?」と家人に言われて床を見ると、小さな黒いヌイグルミが動いているのが視界に入った。想像もしなかった事態に一瞬混乱したが、さらに畳み掛けるように「何ていう名前がいいと思う?」との質問に、これはわが家に来た新入りだと理解した。とっさにムクムク動く最初の印象から「ムク」と言ったのがこの子の名前になってしまった。
とりあえず元気そうなムクはわが家の一員になってくれたが、それからが大変! 同居する娘たちのネコのうち、デリケートな先住ネコのタイガーが、新入りを見たストレスから食事を受け付けなくなり、口から泡を吹く始末。まったく名前負けしている。呆れてばかりもいられず病院に連れていったのがタイガーにはさらにストレスになり、帰ってもソファーの下などに隠れてしまう。処方薬も飲ませるのに大変。どうにもならず連れていった2回目の病院の栄養注射が効いたのか、ようやく餌を自分で食べるようになった。当然、ムクとは面会謝絶である。
そうこうしているうちに、いつもお腹を空かしてミーミー鳴いているムクが突然餌を食べなくなってしまった。今度はムクを病院に連れて行く番だ。とにかく手のひらに乗るほどの小ささで心配の種は尽きない。先生に適切な処置をしてもらって元気になったが、しばらくは注意が必要だと感じた。
それにしてもちょこまかと短い脚でよく動き、ミーミーと鳴いてまとわりつく様は何ともかわいらしい。短足でショートホイールベース、チョロQのように走りまわるムクに今、わが家はメロメロである。
長老のサスケはそんなムクの存在を認めているようで、時折じゃれつくムクを適当にあしらっている。遊び相手にもならないが、こちらは問題なしでホッとした。
さて、お医者さんによるとスコティッシュフォールドは遺伝的に関節の異常などを発症しやすく、心臓病にも注意が必要という怖い説明を受けた。世界的に繁殖に対して懐疑的ということだ。なんともやりきれない話だが生まれてきた命、偶然にもわが家に来た縁もあり、ムクの体調に注意して暮らしていこうと思う。
今は「ムク」を中心に人間が走りまわっているという近況です。