まるも亜希子の「寄り道日和」
人生初! 夫から2輪用ヘルメットのプレゼント
2018年4月12日 06:00
東京はあまりに早く咲き、あっという間に若葉に覆われてしまった桜でしたが、皆さんはお花見されましたか? SNSを開くとあちこちの美しい桜がアップされていて、手のひらの中でもお花見気分が楽しめる、そんな時代になってきましたね。
クルマの免許を取ってから、私が一番好きなお花見席は運転席になりました。それを教えてくれたのが、学生時代にひょんなことから乗ることになった、フィアット「124 スパイダー」というイタリアのオープンカー。ボディやエンジンはまぁまぁきれいだったけど、幌が痛んでいて閉めると後ろがまったく見えなくなってしまうようなオンボロでした。もちろん、貧乏学生にセカンドカーなんて持てなかったので、年中無休でオープンにして走っていたんです。
冬の間はもう、どんなに厚着をしても悲惨な状況で、春が待ち遠しくて待ち遠しくて。やっと桜が咲いた! 春が来た! と喜びいっぱいで走っていたある日、通りがかったのが長い長い桜のトンネル。ヒラリヒラリと舞う花びらのシャワーが、あとからあとから私を包み込んでくれるような幻想的な光景は、涙が出るほど美しくて感動的でした。それ以来、春になるとオープンカーで桜のトンネルの下を走るのが楽しみで、結婚当初は夫が持っていた「ロードスター」(NC型)でもお花見ドライブをしたなぁ。
でもその後、ロードスターはミニバンを買うために売られてしまったので、今はオープンカーのない生活。かわいい娘のためですから、普段はまったく気にならないんですが、やっぱり桜の季節になるとお花見オープンカードライブが恋しくなっちゃいます。
そんな私の気持ちを知ってか知らずか、今年は夫があるプレゼントをしてくれました。それが、人生初の2輪用ヘルメット。私、2輪免許は持っていないので、これはつまり、2年前に大型2輪免許を取ってバイク生活を復活させた、夫の後ろに乗るとき専用ということですね。
実は10年以上前に、友人のバイクの後ろに乗ったのがそれはそれは辛い体験で、もう2度と後ろには乗るまい、と思っていた私はずっと渋っていたんですが……。ちょうど近所の桜は満開。クルリと1周だけならと、夫の後ろに乗ってみたのでした。
走り出して10mくらいで、あまりの振動ですでにオシリが痛いのにビックリ。なんでもハーレーの1.2リッターVツインってエンジンは、「鼓動を大事にする」ために振動が出やすい設計なんだとか!? それはいいけど後ろに乗る人の快適性も考えてくれ~と正直思いましたが、そのうちにブルブルが全身にゆきわたって、バイクと一体になっていくような気分になってくるから不思議ですね。
そして交差点を右折した途端に見えたのは、ずっとずっと先まで続く桜のトンネル。花びらを揺らす風がそのまま私の身体を撫でていくような、なにひとつ隔たりがない感覚はバイクならでは。オープンカーの時は肩から下はクルマのボディに覆われているので、開放感の中にも地に足が着いているという安定感もあるものですが、バイクは全身がむき出し。ピンク色の世界を浮遊しているかのような、初めての感覚に浸ることができて新鮮でした。
ピクニックシートを広げて寝転びながら。のんびりお散歩しながら。電車やバスの中から。夜空の下を歩きながら。いろんな桜の楽しみ方の中に、また1つ新しい場所が加わったこの春。これから毎年、まだしばらくはバイクの後ろが私のお花見指定席になりそうです。