イベントレポート

デンソー、2035年に半導体の事業規模3倍に 約5000億円の投資など林社長が戦略発表

2023年10月26日〜11月5日 開催

デンソー代表取締役社長の林新之助氏

 東京ビッグサイトでスタートした「ジャパンモビリティショー2023」(一般公開10月26日〜11月5日)に出展しているデンソーブースのテーマは「デンソーが想像力とテクノロジーで描く未来社会」。

 プレスデーの10月26日は、同社の林新之助社長がプレスカンファレンスに登壇。「モビリティの進化」への貢献、「新価値創造」への挑戦、「半導体とソフトウェア」の強化、といったデンソーが取り組んでいく3つのチャレンジについて述べた。

半導体事業には、2030年までに約5000億円を積極投資

 林社長は「デンソーが進めていく3つのチャレンジの1つ目は“モビリティの進化”で、電動化製品とエネルギーマネジメントシステムを連携させた水平方向の製品から、パワーモジュールまで含めた垂直方向の製品まで、多様なニーズに応えていきます。2つ目は”新価値創造への挑戦”で、その1つとして水素ビジネスへの参入があり、水素を核に産業界をつなぎ、さまざまなエネルギーをつなぐことでカーボンニュートラルな社会の実現に貢献していきます。3つ目は新たなソリューションを生み出す基盤技術となる“半導体とソフトウェアの強化”です。2030年までに5000億円に上る積極投資を行ない、2035年には事業規模を今の3倍へと拡大させます。またソフトウェアの開発スピードは現在の2倍に、人材については2022年〜25年までの4年間で4000人の増強を考えています」との戦略を話した。

デンソーが進める3つのチャレンジ
モビリティの進化について説明するスライド
半導体とソフトウェアの強化に2030年までに約5000億円を積極投資
ソフトウェア開発の人材は、2022年〜2025年の4年間で4000人の増強

未来社会の実現につながる製品展示をするデンソーブース

 ブースでは、デンソーの得意分野であるミリ波レーダーとカメラの画像センサーを組み合わせた運転支援システムをはじめ、空飛ぶクルマ用の小型軽量電動推進ユニット、電圧の測定精度を向上してバッテリを無駄なく使い切ることができるバッテリマネジメントシステム、独自の半導体制御と冷却技術を採用して小型、高出力化を果たしたインバータ、独自の巻線技術と絶縁技術を生かした小型軽量のモータージェネレータなど、未来につながる現在の技術を展示している。

カメラとレーダーを組み合わせるデンソーの運転支援システム
空飛ぶクルマ用の小型軽量電動推進ユニット
小型軽量化したバッテリマネジメントシステム、インバータ、モータージェネレータなどの展示
モータージェネレータ
人協調システム

 さらにブースでは5人のSF作家とコラボして、モビリティのある未来社会における人々の幸せストーリーを紹介するコンテンツを用意。内容は、小川一水氏による未来のドライブ「親子の絆」、人間六度氏によるモジュールライブの「時速100キロのライブセッション」、揚羽はな氏によるセカンドライフをおくるシニアを描いた「クリエイティブなセカンドライフ」、藤井大洋氏による真夏のスイカを描いた「最高の味を追い求める農家」、菅浩江氏によるエピローグ「巡りながら次へ」。いずれも、没入感のある立体音響シアターやAR(拡張現実)グラスなどを使用して表現しており、未来社会で生き生きと暮らす人々の幸せな日常を体験することができる。

5人のSF作家とコラボしたコンテンツを用意

 ブースのスタッフが着用するTシャツは、デンソーなどさまざまな企業が廃棄するユニフォームを回収して、リサイクルした素材を使用。アンケート回答者には、再生アクリル樹脂を使用した「オリジナルデンまるアクリルスタンド」がプレゼントされる。

デンソーブース

 また、主催者プログラムの「Tokyo Future Tour」には、水素エネルギーを身近に感じることができる巨大な「H2」型ブランコを出展。思い切り漕ぐことで発生するエネルギーで電気を作り、固体酸化物型水電解用セル(SOEC)を利用して水素を貯めておくというエネルギーの利活用が体験できるという。

原 アキラ