長期レビュー
伊達淳一のスバル「XV」と過ごすクロスオーバーな日常
第4回「XVがタワーパーキングに入らない!?」
(2013/1/24 00:00)
初めてのタワーパーキング入庫で、想定外の事態が発生
予想外の事態が発生した。なんとスバル「XV」が車高1.55m制限のタワーパーキング(機械式立体駐車場)に引っかかってしまったのだ。スバルXVの車高は、ルーフレールなしでジャスト1.55m。仕様上はギリギリ入るはずである。そもそもXVを買ったのも、デザインもさることながら、タワーパーキングに入るという点がもっとも大きなポイントだった。それなのに、タワーパーキングに入らないというのでは、「話が違うよ~(泣)」である。
タワーパーキング問題が発覚したのは、慣らし運転の信州遠征から帰ってからのことだ。そういえば、まだタワーパーキングに一度も入庫させていないな~、と思い、京王線府中駅前にある「くるる」という商業施設で本当に1.55m制限をクリアできるかを確かめてみることにした。ここのタワーパーキングは1.55m以下だけでなく、1.7m以下、2m未満のハイルーフ車にも対応している「シャトルパーキング(平面往復方式)」なので、もし、1.55m制限に引っかかっても入庫できないという事態は避けられる。なので、最初の入庫テストをするにはピッタリだ。
係員の誘導に従い、パレットにクルマを駐め、駐車場外に待避。パレットに載ったクルマが横にスライドし、バース扉が開き、リフトに移載し始める。念のため、パネルを操作する係員に、1.55m以下のクルマとして入庫させていることは確認済みだ。ところがである。なんとバース扉に設置されているセンサーに引っかかってしまったのである。係員はパネルを操作し、1.7m以下のクルマとして入庫は問題なく完了したものの、ボクのほうは動揺を隠せない。え? なんで?? 車高1.55mなのにどうして??? クルマ選びで一番こだわっていた大前提が崩れ去り、頭の中は真っ白になってしまった。
タワーパーキングから出て、スバルXVを真横からじっくりチェックしてみると、どうやらルーフアンテナがネックになっているらしい。オプションのシャークアンテナに換装すると、1.55mを超えてしまうのは分かっていたが、標準装備のルーフアンテナを畳んでも1.55m制限に引っかかってしまうとは想定外だ。車高を下げるのでは本末転倒だし(それじゃインプレッサスポーツだ)、ルーフアンテナを取り去ってしまうのも、屋根に空いている穴を塞ぐ必要があるということで、かなりオオゴトになってしまう。
ディーラーに相談してみると、「アンテナをショートタイプのものに交換してみてはどうですか?」とアドバイスされた。なるほど。そういう手があったのか! ただ、ルーフアンテナの台座部分で1.55mを超えていたらお手上げだ。まず、それを確かめるべく、ルーフアンテナを外した状態で、もう一度、くるるの駐車場にリベンジしてみたところ、今度は無事1.55mの壁をクリアし、バース扉が閉まる。ホッ、どうやら最悪の事態は避けられたようだ。
スバル純正オプションとしては、ショートタイプのルーフアンテナは用意されていないので、カー用品店でショートタイプのルーフアンテナを探したものの、在庫している店はなし。仕方なくインターネットを検索して、できるだけ短く、それでいてある程度の受信感度が得られそうな製品を見つけた。JDMショートアンテナ60スパイラルタイプ(フォーチュン)だ。全長62mmのショートアンテナで、パッケージには「山間部や高層ビルの下などでは受信感度が低下する場合があります」との断り書きがあるものの、ヘリカル方式コイル内蔵(要はスプリング状のアンテナだ)により、ショート化しながら通常では問題のない受信感度を実現、とある。
さっそく、このショートアンテナに換装し、アンテナを倒した状態で、くるるの駐車場で最終チェックしたところ、1.55mのセンサーには反応せず、無事クリア! まずは第一関門、突破である。アンテナが短くなった分、標準装備のアンテナと比べると、若干、感度が落ち、FM放送のノイズが増えたものの、都内や多摩地区でもエフエム富士がしっかり受信できるので、個人的には問題なし。アンテナを立てればもう少し受信感度がよくなるかもしれないが、スバルXVはインプレッサよりも車高が高く、後部ドアを開けてタイヤに足をかけて登らないと、ルーフアンテナに手が届かない。そのため、基本的にはアンテナは常に倒しっぱなしだ。また、スバルXVの取扱説明書には、洗車機にかける際にはアンテナを取り外すように、と書かれているが、ショートアンテナを装着したままで何度か洗車機にかけている(もちろん、何かあっても自己責任だ)が、特にアンテナにも車体にもトラブルは発生していない。
唯一のトラブルといえば、撮影のため、標準装備のアンテナに付け換えようとしたら、ショートアンテナに付属していたM6のアダプターネジが台座に残ってしまって手ではどうやっても取れなくなってしまったこと。Car Watchの編集長に相談すると、ナットを2個装着して下のナットをレンチで回せば取れる、と言われ、さっそくトライ。あいにくM6ナットの厚みで2個装着できなかったので、ナットをヤスリで削って薄くして、なんとかダブルナットにして、ようやくM6ネジを外すことに成功した。そして、このような事態に二度と陥らないよう、ショートアンテナのネジ穴と付属のアダプターネジをロックタイトで固着。これで、タワーパーキングがない地方に遠征している間など、受信感度を重視して標準装備のアンテナにすんなりと戻せると思う(タイヤに足をかけてクルマによじ登る必要があるが……)。
数々のタワーパーキングにチャレンジしてXVの入庫性能を確認
さて、話が少し横に逸れてしまったが、その後、ショートアンテナを装着した状態でいくつかのタワーパーキングにチャレンジしてみたが、入り口で係員に「本当に1.55m以下ですか?」と聞かれることはあるものの、1.55m制限ギリギリでなんとか入庫できている。ただ、残念ながら1件だけ入庫できなかったのは、汐留シオサイトの隣にある立体駐車場(おそらく地下式パーキングだと思われる)。
ここは、浜離宮庭園に撮影に行くときによく利用していた駐車場なのだが、入り口にある車高1.55m以下であることをチェックする上からぶら下がっているプレートは無事通過できたものの、もうひとつ、車庫扉にあるプレートにわずかにアンテナ台座が触れてしまったらしい。「アンテナではなく、アンテナ台座?」と確認したのだが、確かに台座が触れたという。おそらく入り口の段差を乗り越えるときに車高が段差分だけ上がっただけなのだろうが、万が一、地下のパーキングエリア内のセンサーが反応してしまうと、それを解除するのに時間がかかり、他のお客様の迷惑になってしまうということで、入庫を断られてしまった。
車高確認プレートとアンテナの間隔がどれくらいだったのか? 本当にアンテナではなく、台座部分が触れてしまったのかは、運転している自分にはまったく見えないので分からない。そこで、Car Watch編集部のあるビルの立体駐車場が似たようなタイプなので、ここで確かめてみることにした。それがこの写真だ。
確かに、アンテナの先ではなく、台座とプレートの間隔はまさに紙一重。写真では触れているように見えるが、実際にはギリギリでセーフだ。ただ、アンテナ台座が通過するときに、タイヤが段差を超えたりブレーキを踏むなどして車体が上下に跳ねると、プレートに当たってしまう可能性はかなり高そうだ。
ちなみに、クルマを平地に駐めた状態では、車高がもっとも高くなるのは、やはりアンテナの先。アンテナを倒して格納状態にしてもわずかに上に傾いているので、全長が長い標準装備のアンテナだとルーフの頂点よりも高くなってしまう。府中のくるるの駐車場ではそれで引っかかってしまったのだが、立体駐車場によっては後輪が段差を超える際にアンテナがプレートに差し掛かると、お尻が少し持ち上がり、アンテナの先よりも台座が少し高くなってしまうケースがあるようだ。
おそらくもう少し走行距離が伸びれば、サスペンションが落ち着いて車高が少しだけ低くなるかもしれないし、トランクに機材をそこそこ積んでいればお尻が下がり、1.55m制限をもう少し楽にクリアできるようになるかも、と期待しているのだが。とはいえ、あと5mmアンテナ台座が低ければ、そしてアンテナを倒す方向が逆(後ろ側)なら、これほどナーバスにならずにすむので、ぜひこのあたりの改良パーツを用意してほしいと思う。
伊達淳一
1962年生まれ。作例写真家。学研「CAPA」、Impress Watch「デジカメWatch」等でデジタルカメラ評価記事を執筆。レビューする機材の自腹購入が多いヒトバシラーだ。これまで乗ってきたクルマはトヨタコルサ、三菱ランサー、日産ウイングロードと、すべて1.5リッターの2WD。都内を走ることが多く、どちらかといえば小回りが効き、できるだけたくさん荷物を積めるというのがクルマ選びのポイント。今回、自身初となる2.0リッタークラスAWD(4WD)の「スバルXV」を新しい相棒として選んだことで、果たして行動範囲はどう広がるのか? クロスオーバーな日常がスタートした。