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アウディ、2017年新春会見で「A5」「Q5」のフルモデルチェンジと新型SUV「Q2」導入を予告
“プレミアムコンパクトの新たなスタンダード”新型「A3」「S3」も公開
2017年1月26日 21:39
- 2017年1月26日 開催
アウディ ジャパンは1月26日、都内で2017年の新春会見を開催。この会場で同日から商品改良を施した新型「A3」「S3」の販売を開始することを発表し、A3のスポーツバックとセダン、S3 スポーツバックの3台を展示した。
A3は1996年に初代モデルが登場し、現行型モデルで3代目となっているコンパクトカー。今回の商品改良は、スポーツバックでは2013年9月以来で、セダンは2014年1月の発売以来初めての実施となる。価格はA3 スポーツバックが293万円~429万円、S3 スポーツバックが606万円、A3 セダンが311万円~447万円、S3 セダンが624万円となっている。このほかのグレード体系などといった詳細は、関連記事の「アウディ、『A3』『S3』を商品改良。A3クワトロモデルに新開発の“ライトサイジング”エンジン搭載」を参照していただきたい。
2017年は新型「A5」「Q5」、ブランニューモデルの「Q2」を日本導入
新春会見では、まずアウディ ジャパン 代表取締役社長の斎藤徹氏によるプレゼンテーションが行なわれ、2016年の振り返りと2017年以降の事業戦略などについて語られた。
斎藤氏は、2016年にはイギリスのEU離脱やアメリカで新しい大統領が誕生したことなど、社会の変化を告げるできごとがあったことを取り上げ、自動車業界でも自動運転が大きな注目を集め、年初に米国で行なわれた「CES 2017」では自動車メーカーとTI企業の自動運転分野での提携が加速する発表が数多く行なわれ、一方でライドシェアサービスである「Uber(ウーバー)」が世界で広がりを見せているなど、モビリティ全体で大きなパラダイムシフトが起きると予見されているとコメント。これを受け、ドイツのアウディ本社では2016年の夏に「2025年戦略」を発表し、「自動車メーカーからモビリティサービスプロバイダーに進化することを新たな経営ビジョンとして掲げました」と語る。
この新しいビジョンを実現するためのキーワードとして、「先進性こそがお客さまに対する私たちの約束です。アウディは、個人の質の高いモビリティを、持続可能な形で提供します」という言葉を紹介。「都市化」「持続可能性」「デジタル化」といった社会的な大きなトレンドを背景に、前出の自動運転やライドシェアなどの形で表面化していると分析し、アウディでもこうした時代に「アウディ AI」「e-tron」「マイアウディ」といった顧客体験、サービスなどを提供していくことで「モビリティによる人間の自由をさらに拡大していきたい」との考えを示した。
戦略の1つであるアウディ AIでは、代表例としてアウディが古くから取り組んでいる自動運転について紹介。2010年に米国 コロラド州のパイクスピークで自動運転の「TT」によってコースを完走したことなどを挙げ、「常にこの分野のリーダーでした」とアピール。さらに1月のCESでは、AI(人工知能)を用いた「Q7 ディープラーニング・コンセプト」のデモ走行を実施していると語り、自動運転を「より安全で快適なモビリティを可能にする将来のコアテクノロジー」と位置付けた。すでに市販モデルでも「レベル2」と定義する、ドライバーの運転をアシストする技術を製品導入しており、さらに今年発表を予定している新型「A8」では、高度な自動化となる「レベル3」に分類する「トラフィックジャムパイロット」を世界で初めて導入する見込みであるとした。
こうした先進的な技術開発が進められていると語る一方で、「このような“10年先を見据えた新しい戦略”は、今すぐに私たちのビジネスに劇的な変化を与えるものではありません。アウディ ジャパンでは、現在のビジネスの枠組みを将来の製品やサービスに向け、徐々に変化させていくことにこれからの数年で取り組んでいきます」と自社のビジョンを明かした。
具体的なビジネスの内容では、2016年は欧州や中国、北米などの市場で好調だったことから、グローバル販売は前年比4%アップの187万台を達成し、7年連続の記録更新となった。日本国内でも「Q7」「A4」といったニューモデルの販売が好調に推移したことから2万8500台を販売。量販車種の「A3」「A5」「Q5」などがモデル末期となっていたことから、伸び率としては前年から若干の上積みにとどまっている。また、認定中古車では1万1500台を販売して記録を更新した。
販売戦略では、2016年に推し進めた「先進的で魅力ある製品の提供」「販売ネットワークパワーの強化」「ブランドコミュニケーションの強化」「顧客ロイヤリティーの向上」という4つに加え、新たに「デジタルサービスの強化」を5つめの戦略として追加した。
斎藤氏は2016年を「アウディの新しいプラットフォームを搭載した新世代製品群の導入元年だった」と振り返り、新型A4でアウディとして初めて「インポートカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞するなど高い評価を得たことをアピール。2017年も新世代製品群の導入をさらに加速させ、同日に発売するA3シリーズのほか、「A5」「Q5」のフルモデルチェンジを行ない、さらにブランニューモデルとなるコンパクトSUV「Q2」を新たに導入。
2017年はこのA3、A5、Q5、Q2という4つの新規モデルに加え、スポーツラインアップの「Sモデル」「RSモデル」の追加などを実施。合計で19の新車導入を予定していることを明らかにした。
新戦略のデジタルサービスの強化では、1月10日に発表した「アウディコネクト」の新機能「セーフティ&サービス」でのコールセンターサービス、スマートフォンからのカーロケーター、定期メンテナンスのオンライン予約といった新しいオンラインサービスの提供により、現時点で約1万人ほどとなっているマイアウディの会員を、10倍以上に増やしていきたいという意気込みを紹介した。
最後に斎藤氏は、以上のような戦略、施策を展開することで、2017年は新車販売を前年から5~10%増やして「販売台数を再び3万台以上のレベルに乗せる」ことや、中古車販売でも過去最高となる1万3000台を目指すといった数値目標を示した。
「新型A3はプレミアムコンパクトの新たなスタンダード」
新春会見に続いて行なわれた新型A3の発表会では、アウディ ジャパン マーケティング本部 本部長のミクシェ・シルケ氏が解説を担当。
シルケ氏はA3が「プレミアムコンパクトのパイオニア的存在」であると語り、コンパクトなボディサイズでありながらさまざまな用途に活躍する懐の広さを持ち、適切な価格設定によって世界的に高い人気を持つモデルになっていると説明。3世代目となるA3はアウディラインアップにおける最量販車種の1つとなっており、日本市場でも幅広いユーザーから支持を集め、2014年のセダン追加以降はアウディ ジャパンの最量販車種で、これまでに累計7万7000台以上を販売していること、世界での累計販売台数は400万台を超えていることなどを紹介した。
また、さまざまなバリエーションを持つこともA3の魅力であり、多彩な選択肢から選べることも幅広いユーザーから指示される理由であると述べ、セダンとスポーツバックの2つのボディのほか、プラグインハイブリッドモデルのe-tron、高いスポーツ性能を求める人に向けたS3やRS3などをラインアップしていることを解説。A3のコアターゲットを「都市圏や都市周辺に住む30代~50代の都市型ファミリー」と分析。自分の生活をワンランクアップさせてくれる走りと質感を備えており、自分の豊かさや若々しさ、センスのよさなどを象徴する上質な輸入車を求める人に必ず気に入ってもらえると信じていると語った。
新型A3はこれまでどおり幅広いユーザーニーズに応えるクルマとなっており、アウディらしい最先端のテクノロジー、洗練されたデザインといった高次元のパッケージングを備え、「プレミアムコンパクトの新たなスタンダードと言える」とシルケ氏はアピールしている。