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プジョー、新型「3008」や今秋に発売予定の「5008」も公開されたSUV戦略発表会
今夏に「ブルーHDi」搭載の3008を導入。新型5008は「5008 GT ブルーHDi」「5008 Allure」の2本立て
2017年4月11日 00:00
- 2017年4月10日 開催
プジョー・シトロエン・ジャポン(プジョー)は4月10日、「新型5008お披露目&SUV事業説明会」と銘打った発表会を都内で開催した。
同社は“2017年の重要なブランド戦略”として「SUV」を掲げており、SUVモデルに力を入れている。今回の発表会では2016年9月に発売したSUV「2008」、3月に販売を開始した新型SUV「3008」に加え、今秋に日本へ導入予定である7シーターの新型SUV「5008」が公開された。
新しいSUVが持続的な成長を支えてくれる
発表会の冒頭に登壇したプジョー・シトロエン・ジャポン 代表取締役社長のクリストフ・プレヴォ氏は2016年の販売状況などについて振り返り、2016年4月に本国の社名を「Groupe PSA」に変更するとともに、新経営戦略「Push to Pass」を発表したことを説明。「Push to Passが始まって以降、2016年は素晴らしい結果が出た。自動車部門では資本利益率が6%(2015年は5%)に、売上高が315万ユーロ(2015年比で5.8%増)に、累積キャッシュフローは81億円(2015年比で27億円増)となった。厳しい環境下でも素晴らしい成績を上げられるということを示している」と述べるとともに、米ゼネラルモーターズ子会社の「オペル」「ヴォクスホール」を傘下に迎え入れたことで年間の販売台数が433万台に迫ろうとしていること、欧州市場でのマーケットシェアが17.1%で2位(1位は22.5%のフォルクスワーゲングループ)になったことについて紹介を行なった。
また、「日本において、プジョーはGroupe PSAのなかでリーダー的な存在で、我々のグループ全体の売上のなかの69%がプジョーによって達成されている。新しいプロダクトポリシーを2015年に導入し、2016年には2007年の記録を打ち負かす25%の成長を示した。また、2016年の半ばには『308』や『508』にブルーHDi(同社の最新のディーゼルエンジン)技術を導入し、これによってプジョーに新しいお客様を呼び込むことができた。こうした製品戦略は確かに私たちの成長サイクルを支えてきたが、ほかにも私どもの販売ネットワークの効率アップにも取り組んできた」「2017年第1四半期の登録台数は前年比で6%増となっている。新しいSUVが私どもの武器として利益を伴う持続的な成長を支えてくれるでしょう」として、プジョー・シトロエン・ジャポン マーケティング部長のジャン・ミッシェル・オモン氏にバトンをタッチ。
オモン氏はSUVモデルについて触れ、「SUVの人気には2つの理由がある。まずお客様はこういうタイプのスタイルを好まれていて、サイズでも走行中の姿勢でもほかのモデルとは違う乗員にとってのステータス性もあるし、堅牢なボディで乗員を保護してくれる。しかし本当のSUVの強みは何といっても新しい経験を体現してくれるということ。その大きなハンドルとグランドクリアランス、広いショルダー、まさに現実から離れさせてくれると言えるだろう。しかし、ドライビングエクスペリエンスで見るとどうしても車高が高く、車体が四角く、大きなホイールを備えるということで扱いやすい車両ではなかった。結果として快適な運転体験ではなく、さらにインテリアのデザインはエクステリアとマッチするものではなかった」と、これまでのSUVモデルについて振り返る。
その観点からプジョーのモデルはというと、「運転する喜び、シャシーの正確さ、妥協のないハンドリング性能、ワクワクする感覚などがプジョーのDNAなので、私たち自身のSUVにもそうしたDNAを感じてもらおうと考えた。しかしそれだけにとどまらず、すべての感覚に訴えるようなものにしたいと考えた。エルゴノミクス、素材、接続性とすべての面で人間の五感を刺激するデザインにしようと考えた。我々のSUVモデルはプジョーの新しいビジョンを体現化するもので、そのビジョンというのはお客様を驚かせ、お客様を大事にし、そしてお客様が運転することを活き活きとさせようというもの」と述べ、ベールに包まれていた新型2008/3008/5008を公開した。
新型3008はこれからの成長の試金石
次に登壇したプジョー・シトロエン・ジャポン プロダクトマネージャーの上村学氏からは、新型SUVのラインアップについての紹介が行なわれた。
まず2016年9月にフェイスリフトした2008については、「262万円から買えるお手頃なSUVであり、デザイン、アクティブなドライビングがセールスポイント。2016年は対前年比で39%増という販売を記録したモデル」と紹介。
エクステリアではボンネット前方側を高くして水平に近い形状に変更。これまでボンネットに設定されていた“ライオンエンブレム”の意匠変更を行なうとともに、フロントグリルに移動し、見る角度で光沢が変化するデザインとした。また、前後バンパーにアンダーガードが装着され、フェンダーアーチにブラックバンパーを追加。リアコンビネーションランプはライオンの爪をデザインに盛り込んだ新らしい「3D LEDリアコンビネーションランプ」を採用している。
そして3月に発売されたばかりの新型3008については、「単なる新型モデルの登場とは異なり、プジョーのこれからの成長の試金石になる、大変重要なモデル」とし、同モデルの特徴を紹介。
まずは新世代「New i-Cockpit」を導入したことを大きな注目点として挙げ、12.3インチの「デジタルヘッドアップ・インストルメントパネル」を全グレードに標準装備したこと、インパネ中央にタブレットのような8インチタッチスクリーンを採用したこと、フラットボトムのコンパクトなステアリングを採用したことを説明。
エクステリアデザインについては、「新型3008のデザインはクロスオーバーと呼ばれるハッチバックとSUVの中間的存在から真のSUVへの明確な転換を図った」とコメントするとともに、直立したフロントエンドと大型フロントグリルを採用したほか、長くフラットなボンネット、高いウェストライン、ワイドなプロテクトパーツ(バンパースカート、ホイールアーチなど)、大径ホイール、高めにデザインした地上高、先進的なLEDのヘッドライトとリアコンビネーションランプのデザインなどをポイントとして挙げる。ボディサイズは4450×1840×1630mm(全長×全幅×全高)で、先代モデルから85mm長く、5mm広く、5mm低いサイズになった。ホイールベースは先代比で60mm増の2675mm、最低地上高は15mm増の175mmとなっている。
パワートレーンについては、新型3008では最高出力121kW(165PS)/6000rpm、最大トルク240Nm(24.5kgm)/1400-3500rpmを発生する直列4気筒DOHC 1.6リッターターボエンジンと6速ATを全グレードに搭載しており、上村氏は「パワーやハイテクだけでなく、そのハンドリングや軽快でしなやかなフットワークによって“ドライブすることのワクワク”を提供していきたい。また、オートマチックシフトの制御を機械式から電気式に切り替え、見た目の新しさだけでなくスムーズなシフト操作など、大幅にクオリティを高めている」とその特徴について語った。
また、新プラットフォーム「EMP2(Efficient Modular Platform 2)」を採用し、ホイールベースを60mm延長しながら従来モデルから約100kgの軽量化を達成したことについて触れ、「軽量化を達成したパーツについては、フロアカーペットやエンジンの遮音材が約16%、テールゲートやトランクフロアへのプラスチック素材の採用が約14%、フロントフェンダー&フロントサスペンションアーム、リアシートフレームなどへのアルミニウムの採用が約11%などとなっており、結果、エントリーモデルの『Allure』の日本仕様はわずか1460kgとなった。これは輸入車CセグメントのSUVモデルとして最軽量の部類」と述べている。
そのほか「アクティブセーフティブレーキ」「レーンキープアシスト」「アクティブブラインドスポットモニターシステム」「インテリジェントハイビーム」「ドライバーアテンションアラート」「スピードリミットインフォメーション」「アクティブクルーズコントロール(ブレーキサポート付)」「ワイドバックアイカメラ」「フロント&バックソナー」といった最新の先進安全装備を搭載したことについても触れられている。
なお、会場ではこの新型3008に最新のディーゼルエンジン「ブルーHDi」を搭載したモデル「3008 GT ブルーHDi」を追加することが発表された。これは2016年に308や508に搭載した直列4気筒DOHC 2.0リッター直噴ターボエンジンと同じもので、最高出力180PS/3750rpm、最大トルク400Nm/2000rpmを発生し、JC08モード燃費は18.7km/Lを実現する。
納車の開始タイミングについては今夏を予定しており、価格が426万円であることがアナウンスされた。
今秋に新型SUV「5008」導入
発表会の最後に紹介されたのは、今秋に導入予定の新型SUV「5008」。
上村氏は新型5008をもって「いまだ発展途上である7人乗りSUV市場に参入する。今後、7人乗りのSUV市場は注目すべきポイントだと考えている。そのフロントフェイスは新型3008と同様にスポーティで力強く、存在感を主張する。サイドビューは新型3008に比べ伸びやかで堂々としており、高級感、エレガントさが漂う。リアデザインも特徴的で、大型のリアスポイラー、スクエアなデザイン、大きなテールゲートが5008の高い積載能力を創造させてくれる」と、その特徴について説明。
ボディサイズは4640×1840×1650mm(全長×全幅×全高)で、新型3008と比べ190mm長く、20mm高いサイズとなる。ホイールベースは165mm増の2840mmとしている。
また、インテリアについては「2列目シートは3座独立でしっかりとした座席幅を確保し、約150mmのスライドと5段階のリクライニングを実現し、大変快適な空間を作り出す。3列目シートはリトラクタブル式で簡単に収納でき、広大なラゲッジスペースを作り出せる。また、同時に完全に取り外すことも可能で、それにより39L増の最大780Lの容量を生み出す。まさにユーティリティ性能でプラスαの価値を提供できる」とアピールを行なった。
なお、日本に導入されるのは2.0リッターディーゼルエンジン(180PS)を搭載する「5008 GT ブルーHDi」と、ガソリンの1.6リッターターボエンジン(165PS)を搭載する「5008 Allure」の2本立てを予定している。