ニュース

メルセデス・ベンツ、「GT ロードスター」「E 63 ステーションワゴン」など新型AMGモデル発表会

AMGのモータースポーツ参戦50周年を記念して開催

2017年8月25日 開催

発表会に出席したメルセデス・ベンツ日本株式会社 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏

 メルセデス・ベンツブランド傘下のハイパフォーマンスモデルであるメルセデスAMGは、モータースポーツの舞台でデビューして以来、今年で50周年となる。そこでメルセデス・ベンツ日本は、8月25日にAMG50周年の報告および新型AMGモデルの発表会を、東京都世田谷区にある「AMG 東京世田谷」で開催した。

会場は世界初のAMG専売拠点であるAMG 東京世田谷
プレゼンテーションを行なう上野社長

 発表会は、最初にメルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼CEO 上野金太郎氏のスピーチから始まった。上野氏は「本年も販売は前年を上まわる状況で推移しています。昨年発表した、最先端の安全技術を搭載したEクラスやSUVモデルなどを中心に台数を伸ばしておりますが、究極のハイパフォーマンスを追求するメルセデスAMGモデルもこれに大きく貢献しております。2016年のメルセデスAMGの販売台数は5608台と、過去最高の販売を記録しました。また、今年の1月には世界初のAMG専売拠点であるAMG 東京世田谷がオープンいたしました。そしてAMGの販売活動を積極的に推進する拠点、AMGパフォーマンスセンターは全国で38カ所となっています」と、販売が好調であることを報告。

メルセデス・ベンツのモデルだけでなく、AMGモデルの販売も好調。今年の1月には世界初のAMG専売拠点であるAMG 東京世田谷がオープン。AMGパフォーマンスセンターは全国で38カ所ある

 上野氏は続けて「1967年に始まったAMGは本年で創立50周年を迎えます。先日、AMG50周年の目玉の1つとして、メルセデスAMGの頂点に位置するメルセデスAMG GT Rを発表させていただきました。そのときはプレスリリースのみでの発表でしたが、本日はGT Rも展示してあります。AMG50年の歴史ですが、AMGは“モータースポーツこそが技術力の優秀性を何より端的に示す”という確固たる信念を基本に1967年に設立しました。当初はレース用エンジンの設計、デザイン、テストベンチを兼ねた小さなオフィスでした。転機は1971年、スパ・フランコルシャン24時間耐久レースで、300SEL 6.8というメルセデスのセダンに彼らが製作したエンジンを搭載。そのクルマが初出場にも関わらずクラス優勝を成し遂げたことです。この勝利によりAMGのエンジンが高性能であるということが証明され、AMGの名前がヨーロッパに広まりました」。

「その後、AMG社とダイムラー社で協定が締結されました。協定締結後の初めてのモデルが1993年に発売されたC 36 AMGです。開発初期からAMGが関わることで、AMGの高い要求にも応えられるクルマを製造できるようになりました。そしてダイムラー社の完全子会社となり、AMGの完全自社開発モデルのSLS AMGがデビューしました。2014年にはAMG自社開発モデルの第2弾として、メルセデスAMG GTがデビュー。本日発表するGT ロードスターはこのAMGをベースにしております。このほかにもラインアップは増え、現在、日本でのAMGは41モデルを展開するほどになっています。そして本日、AMG50周年を記念してイッキに5つの新型モデルと1つの限定車を発表させていただきます」と語った。

50周年を迎えるAMG。AMGは創立者の名前と地名から取った社名になる。1971年、スパ・フランコルシャン24時間耐久レースで300SEL 6.8がクラス優勝して名を上げた
C 36 AMGはデビューから20年以上経った今でもファンが多く、AMGの高い技術力を示している1台。SLS AMGにはAMGの原点とも言えるモータースポーツの世界で活躍するレーシングカーで、SLS AMG GT3も作られた
2014年には自社開発モデルの第2弾としてメルセデスAMG GTがデビューした
日本でのAMGは41モデルを展開。そしてAMG50周年を記念して5つの新型モデルと限定車が発表された
メルセデスAMG AMGプロダクトマネージャーのアルネ・ウィーブキング氏

 次に登場したのは、メルセデスAMGのAMGプロダクトマネージャーであるアルネ・ウィーブキング氏。ウィーブキング氏は、メルセデスAMG E 63 4MATIC+、メルセデスAMG E 63 S 4MATIC+、限定車のメルセデスAMG E 63 S 4MATIC+ Edition1、そしてメルセデスAMG GT ロードスター、メルセデスAMG GT Rなどのスペックの解説を行なった。

 AMG GT ロードスターとAMG GT C ロードスターは、オープントップモデルながらクーペと同等の走行性能を持っているとのことで、エンジンは4.0リッターのV8直噴ツインターボ。このエンジンは、軽量化と高剛性化のために砂型鋳造されたクローズドデッキのアルミ製クランクケースに鍛造アルミピストンを組み合わせたものという。また、メルセデスAMGペトロナスのF1マシンでも使われるシリンダーウォールにスチールカーボンを溶射コーティングしてフリクションロスを軽減する「NANOSLIDE」という技術も盛り込んでいる。さらにレーシングエンジン同様、オイル潤滑方式はドライサンプとのこと。AMG GT ロードスターの最高出力は350kW(476PS)、最大トルクは630Nm。AMG GT C ロードスターの最高出力は410kW(557PS)、最大トルクは680Nmだ。

 そしてメルセデスAMG GT Rは、専用開発された4.0リッターのV8直噴ツインターボエンジンを搭載。V8ツインターボというと、一般的にはバンクの外側にターボが配置されるが、このエンジンではバンクの内側に配置する「ホットインサイドV」レイアウトを採用。最高出力は430kW(585PS)、最大トルクは700Nmとなっている。そのほかのモデルのスペックについてはスライドの写真を参照していただきたい。

メルセデスAMG E 63 S 4MATIC+に今回ステーションワゴンが追加された。日常的な利便性を持った“世界最速のステーションワゴン”とのこと
エンジンは4.0リッターV8直噴ツインターボ。先代より排気量が1.5リッター少なくなっているが、最高出力は450kW(612PS)、最大トルクは850Nmを発生。先代比でパワーは27PS増、トルクで50Nm増となっている
トランスミッションはトルクコンバーターの代わりに湿式多板クラッチを使用した電子制御9速スポーツトランスミッションの「AMGスピードシフトMCT」。シフトモードはコンフォートからスポーツ性重視のスポーツプラスまで4パターンから選択できる
駆動系には前後トルク配分が50:50から0:100の範囲で可変トルク配分を行なえるAMG 4MATIC+を採用。サスペンションはAMGが開発したAMG RIDE CONTROLスポーツサスペンションを装備。コーナリングやブレーキ時は硬いスプリングレートに瞬時に切り替えることで、安定性と俊敏なハンドリングを実現する
AMG GT ロードスターの最高出力は350kW(476PS)、最大トルクは630Nm。AMG GT C ロードスターの最高出力は410kW(557PS)、最大トルクは680Nmだ
トランスミッションはAMG スピードシフト 7G-DCT。AMG GT C ロードスターのサスペンションは電子制御ダンピングシステムの“AIR RIDE CONTROLサスペンションで、LSDもAMGリミテッドスリップデフという電子制御式を標準装備。AMG GT ロードスターには機械式LSDが標準装備となる
AMG GT Rは4.0リッターのV8直噴ツインターボエンジンを搭載。最高出力は430kW(585PS)、最大トルクは700Nm
AMG GT Rに採用される新開発アクティブ・エアロダイナミクス・システム。エンジン下のアンダーボディにセットされるウイングがあり、レースモード時に速度が80km/hになると自動的に約40mm下降して、下面を流れる空気の気流を大きく変化させるものだ。これによって生み出されるベンチュリー効果によって、フロントアクスル揚力を250km/h時に約40kg低減できる
フロントにはもう1つの空力技術が組み込まれていて、それが「エアパネル」だ。約1秒で開閉可能でトップスピード時、高速コーナリング時はルーバーを閉じて空気抵抗を軽減するが、エンジンルームの温度が上がってくるとルーバーが開いて冷却を重視したフロントの空力デザインに変化する
シャシーやボディには各種アルミニウム合金を使い、テールゲートはスチール、フロントデッキにはマグネシウム、そしてカーボンというようにボディ各部で材料を使い分けて高剛性で軽量な作りを実現
AMGリア・アクスルステアリングは100km/h以下ではフロントホイールとは逆へ操舵して回頭性を向上させるが、100km/hを超えると同方向に操舵される。これはホイールベースを延長したのと同じ効果があるので操縦安定性が向上する。また、リアタイヤのグリップ力も向上するという
再び上野氏が登場して、AMG50周年を記念して発売された各モデルの価格を発表
AMGユーザーやファンに向けて、実際にAMGの魅力を体験する機会も用意
今週末は鈴鹿サーキットでSUPER GT第6戦が開催されているが、その場でユーザー向けの50周年イベントが開催される。レース終了後の8月28日には、オーナー自らのAMGモデルで鈴鹿サーキットを走行するメニューも用意
AMGはF1で2014年から3年連続コンストラクターズチャンピオンを獲得。そのF1のパワーユニットを搭載したハイパーカー「Project ONE」が、AMG50周年を記念してデトロイトモーターショーに出展された
プレゼンテーションのあとは、6月に発売されたメルセデスAMG GT Rを用いながらウィーブキング氏の解説が行なわれた
カーボン製の部分が新開発のアクティブ・エアロダイナミクス・システム。ここが下降することで下面にベンチュリー効果が発生して、フロントアクスル揚力を250km/h時に約40kg低減する
フロントグリルは「AMGパナメリカーナグリル」と呼ばれる形状で、メルセデス・ベンツの量産車としてはAMG GT Rで初めて採用された。クロームメッキを施した15本の垂直フィンデザインは、1952年にメキシコで開催された伝説の公道レース「カレラ・パナメリカーナ・メヒコ」で優勝したメルセデス・ベンツ 300SLにも採用されていた由緒あるもの。その下にある縦フィンがエアパネルだ
メルセデスAMG GT Rの下まわり
メルセデスAMG GT Rの価格は2300万円
タイヤサイズはフロントが275/35 ZR19、リアが325/30 ZR20
ステアリングは左のみの設定
4.0リッターV8直噴ツインターボエンジンを搭載。最高出力は430kW(585PS)、最大トルクは700Nm。オイル潤滑方式はドライサンプ。ツインターボがバンクの内側にセットされる「ホットインサイドV」レイアウト
メルセデスAMG GT C ロードスター
アコースティックソフトトップの動き。50km/hまでなら走行中でも開閉操作が可能。開閉の所要時間は約11秒。ソフトトップの色はブラック、レッド、ベージュから選べる
タイヤサイズはフロントが265/35 ZR19、リアが305/30 R20
AMG GT C ロードスターのインテリア
AMG GT C ロードスターの最高出力は410kW(557PS)、最大トルクは680Nm。AMG GT ロードスターの最高出力は350kW(476PS)、最大トルクは630Nmとなる
メルセデスAMG GT ロードスター
タイヤサイズはフロントが255/35 ZR19、リアが295/30 ZR20
メルセデスAMG E 63 4MATIC+ ステーションワゴン
メルセデスAMG E 63 4MATIC+ ステーションワゴンのインテリア。Sモデルになるとナッパレザーを張ったダッシュボードとベルトライン、フロントヘッドレストのAMGエンブレム、クリスタルグレーのシートパイピング、クリスタルグレーのシートベルトなどが追加される
4.0リッターV8直噴ツインターボエンジン。最高出力は450kW(612PS)、最大トルクは850Nmを発生
メルセデスAMG E 63 S 4MATIC+ セダン