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【SUPER GT 最終戦もてぎ】最終戦もてぎ優勝&2017年シリーズチャンピオン記者会見
2017年11月12日 21:16
- 2017年11月12日 決勝
11月11日~12日に開催されたSUPER GT最終戦「2017 AUTOBACS SUPER GT Round 8 MOTEGI GT GRAND FINAL」は、別記事でも紹介している通りGT500は23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)が、GT300は65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)がそれぞれ優勝した。
注目されていたシリーズタイトル争いは、GT500はこのレースで2位に入った37号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)が、GT300はこのレースで3位に入った4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)がそれぞれ獲得した。
決勝レース終了後には観客も参加してのシーズンの締めくくるグランドフィナーレが行なわれた他、その後には優勝クルー、そして年間チャンピオンを獲得したクルーによる記者会見が行なわれた。
最終戦の優勝会見。GT500クラス優勝のクインタレッリ選手、他のマシンと接触した時に「今日のレースは終わったと思った」
記者会見の前半では今日のレースに優勝した23号車 MOTUL AUTECH GT-R(松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI)と65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組、BS)のドライバー4人が登壇し、今日のレースやシーズンを振り返った。
司会:各ドライバーに今の気持ちを教えて欲しい
クインタレッリ選手:優勝できて嬉しい。が、昨日の予選では優勝狙いだけだと言ったものの、本当はチャンピオンも獲りたかった。今日のレースは昨日の予選の続きでよかったけど、スタートの直前には後で何があったか聞かれると思うが、ああいうことがあって、ミラーを見たら煙が上がっててまずいかと思ったけど、その後はよくなり、完璧な走りをすることができた。シーズン序盤のパフォーマンスを考えるとここまでこれでよかったと思うし、チームのみんなの努力に感謝したい。
松田選手:ロニーが言ったように、王者を目指してここに入った。予選で1点取ったので、ぜひ勝ちたいと思っていたが、37号車が2位に入ったことで、2点及ばなかった。1年を振り返ると、開幕戦ではレクサスが1~6位を独占して、1秒以上の差がついている中で苦しいシーズンを予想していた。そんな中で全スタッフが一生懸命車を作ってくれて、新しい空力規則になってからテストではなかなか調子が上がらずに苦労していたけど、車とタイヤを合わせ混むことができて、その集大成として勝つことができた。今年はこれまでGT-Rは一回も勝つことができなくて、ロニーと2人で意識を高め合ってきた。チャンピオンを獲ってきた年と比べてもより高めあって来れたので、今年はチャンピオンは獲ることができなかったけど、チームも僕たちもいいレベルに来ているという状況。来年は取り返せるように頑張っていきたい。
黒澤選手:シーズン通して、メルセデス・ベンツ、ブリヂストンというパートナーにお世話になり、いいタイヤや車を用意してもらって感謝したし、来年につながるレースになったと思う。尚弥選手もいいドライバーになってきたので、2人で高めあって、彼に見習って走っている部分もあり、2人で戦えている。シリーズは2位という結果だったが、最終戦に勝ったことは、ブリヂストンにスイッチして初年度だったことを考えれば上出来。来年はデータもある程度採れている状態で戦えるので、来年は強くなって帰ってきたい。
蒲生選手:レースは自分なりにはよい内容で、今年1年の集大成を見せられた。シリーズを考えると、2位という結果には悔しさがあって、取りこぼしたレースがあったのでそこをよく反省して来年につなげていきたい。今日のレースに関してはブリヂストンタイヤと車がよくて、フルプッシュし続けられるパッケージになっており、最後に(55号車に)追いついて抜くことができた。
――クインタレッリ選手にフォーメーションラップでは何が起こっていたのか?
クインタレッリ選手:正直に言えば、ビデオとかを見てみないと自分でも何が起こっているのかわからない状況だった。普通にタイヤを温めていたら、車がスピンするぐらいの衝撃があった。その後ミラーを見ていたら煙が上がっていて今日のレースは終わったと思ったほどだった。だが、パンクはなくて、その煙も3周ぐらいすると消えてしまったので、車のバランスなどにも影響はなく、無線でチームと連絡を取りながらタイヤの内圧などを常にチェックしながら走行を続けることができた。
――LEONのお2人に、55号車をオーバーテイクした時の状況を教えて欲しいのと、タイヤ交換は2輪交換だけに見えたが、それはレース前からの作戦だったのか、それとも4号車のピットストップを見てから決めたのか?
蒲生選手:55号車のタイヤがキツそうに見えたので、並びかけてイン側を選んで入り追い抜いた。
黒澤選手:レース前から2輪交換で行こうと決めていた。タイヤはフロントがキツいことがわかっていたので、フロントだけを交換した。
――両チームともに非常に惜しいところでチャンピオンを逃したが、シーズンを通してこれが結果的に勝負を別けたというところがあれば教えて欲しい。
松田選手:他にも鈴鹿1000kmレースでのペナルティとか、タイ戦で大量ポイントを獲れなかったりなどもあったが、最大のモノは序盤の出遅れだと思う。
クインタレッリ選手:次生が言ったように、3~4戦までレクサス勢だけでなく、ホンダにも負けていた。なんとか追い上げて、鈴鹿1000kmが終わった時点でトップまで来れた。ハンデウェイトがなければ、レクサスがもっとリードしていたとも考えられる。普通は1年でここまで巻き返すことは難しいのだが、短い時間で開発を進め、最終戦でノーウェイトという実力勝負で勝てたことはすごい。来年は最初からどんどん勝ってリードしたい。
黒澤選手:タラレバを言ったらキリは無いが、自分がイギリスで修行している時に何かがあったときに”This is race”(それがレースさ)といつも言われていた。勝てなかったのは自分たちの力が足りなかった、チームにも、ドライバーにも何かが足りなかったということだと思う。だがシーズンの最後には勝てたし、来年はもっと手強くなりたい。
蒲生選手:同じく、This is raceです(笑)。いやな事も一杯あったけど、よいことも一杯あって、得たことも沢山有る一年だったので、よい一年だった。
GT500クラスとGT300クラスのシリーズチャンピオン会見
優勝クルー会見の後には、両クラスでチャンピオンを獲得した37号車 KeePer TOM'S LC500(平川亮/ニック・キャシディ組、BS)と4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG(谷口信輝/片岡龍也組、YH)のドライバー4人と監督2人が登壇し、それぞれの感想や今シーズンを振り返った。
司会:今シーズンのチャンピオンを獲得した、今のお気持ちを振り返って欲しい
関谷監督:正直、滅茶苦茶嬉しい。チームとしては9年ぶりで、獲れそうで獲れないシーズンが続いていたし、トムスが2台になってから、37号車が初めてチャンピオンを獲得した。しかも今シーズンは若いドライバー2人で獲ることができた。去年は取りこぼしが多かったけど、今年はすべてのレースでポイントを取ることができ、あわよくば三勝と思ったけど、それは阻まれてしまった。
平川選手:チェッカーを受けたら喜びがあふれてくるのかと思ったら、ほっとしたというのが自分の印象だった。1年間を通してチームもミスをしなかったし、ニックもすごくよい仕事をしてくれた。LC500はとても速い車で、僕らのブリヂストンタイヤは毎回いいパフォーマンスを発揮してくれた。完璧なシーズンでチームに感謝したい。
キャシディ選手:正直にいってほっとした。レクサスやトムスが僕らを信頼してくれたことに感謝している。今の車で走り出した日からスピードには問題がないと思っていたけど、ミスをしないことこそ重要だと思っていた。抑えるべき時には抑えて冷静にやることができた。そして僕たち2人の関係もレースごとに深まっていった。
片山監督:ありがとうと言いたい。今年のGT300はより厳しい戦い。GT300は以前はジェントルマンレースだったものから徐々に性格が変わってきており、メーカーやタイヤメーカーも力を入れているグローバルなレースになっている。そうした中で横浜ゴムも100周年ということもあり、現場もドライバーも頑張ってくれて、厳しい時にも耐えてくれたチャンピオンが獲れて嬉しい。
片岡選手:周りの多くの人に助けられた。GT500のドライバーとも普段からコミュニケーションしているので、おいていくときにもうまく抜いてくれて走りやすい環境で走ることができた。開幕戦で横浜さんと開発してきたタイヤが効果がでて優勝できて、今シーズンほど車両から手応えを感じることはなかったぐらいだ。うまくやれば獲れるだろうというのはあったが、逆に言えば獲って当たり前でプレッシャーも強かった。特にこの最終戦は9点差で来ていたので、周りは獲れて当たり前という雰囲気で、そうした空気感と自分の感覚にズレがあった。ただ、(トヨタの若手ドライバーのアドバイザーとして関わっており、午前中に行なわれた)F4の決勝ではチャンピオンを獲ってくれたので、自分もそれに続くことができてよかった。
谷口選手:ほっとしている。ポイントリーダーでツインリンクもてぎにきて、ポイント差もある中で来たが、全く余裕がなく何があるのかわからない中で、最善と最悪を避けるという両面作戦で、厳しい方に向かってしまったけど、14年にチャンピオンになったときのように3位を苦労して取るという形の最終戦になった。チャンピオンを獲って嬉しいというよりは、ほっとし、肩の荷が下りた。今年はメルセデス・ベンツにとって調子がいい年だったが、LEONもGAINERも速い中で負けないようにやってきた。チーム一丸になってチャンピオン獲れたということが、家に勝ったときに、年を越える時に徐々に実感するだろうと考えていたが、今も徐々に実感しつつある。
――全員に聞きたい、8レース振り返ってこの結果があるから王座につながったというシーンがあれば教えて欲しい。
キャシディ選手:岡山じゃないの?ここにいたドライバー全員が岡山の優勝会見にいたし(笑)
片岡選手:犬とぶつからなくてよかった。レース中にバックストレートで犬が走ってて…
谷口選手:ツインリンクもてぎに「ドックフラッグ」を用意して欲しいと言いたい…あ、これ生中継で流れている?(録画ですの声に)あーよかった(笑)
関谷監督:タイ戦の結果がチャンピオンにつながったと思っている。重量を積んでても勝てたこと、思ってもいない優勝をタイ戦で得たからだ。逆に今回は楽だと思っていたのに厳しかった。
平川選手:タイの予選で流れが変わった…
関谷監督:ウォームアップで流れが変わりかけたけど(笑)(筆者注:タイ戦で37号車は優勝したが、ウォームアップでキャシディ選手がコースアウトしてフロアを破損していた。メカニックがレースまでになんとか修復したため、事なきを得たが、あわやスタート前にリタイアすることになるところだった)。
平川選手:(笑)。昨日の予選ではニスモに流れが行ってる感はあったが、今日はチームの努力で流れが変わった。
キャシディ選手:同じだけど、菅生や鈴鹿はウェイトハンデで重さが課題でポイントを取るのが難しかった。しかし、ウェイトが近くなってきているタイ戦で結果を出せたことがここにつながっている。
関谷監督:岡山で勝つとチャンピオンを獲れないというジンクスを破ることができたので、それは嬉しい。
片山監督:タラレバはよくないが、岡山で勝って富士でぶっちぎっていたにもかかわらずトラブルで失ったりしている。、また、菅生ではセーフティカーのタイミングで不利になったこともあったり、菅生でダンロップが、富士でブリヂストンが勝ったりしていた、タイに関してもあまりいい結果を期待していなかったのだけど、タイで大量にポイントをとって、もてぎにこれたということが大きかった。
片岡選手:開幕戦でよいスタートが切れたのに、シーズン途中で不運もあってトップから陥落してしまった。そうしたときに、ライバルもわるくて、ポイント差が開かなかったのが重要だっで、これなら絶対チャンピオンを獲りたいと考えていた。ただ、タイ戦ではRC-Fが勝って、若い2人が流れにのって、こちらには流れがこないというのが1つの予想だったけど、そのわるい予感が的中しなかったのはよかった。
谷口選手:タイだ。メルセデスが強くて、LEONがライバルだと思っているので、LEON(65号車)とVivac(25号車)がタイで取りこぼしたことが我々のチャンピオン獲得につながった。
――キャシディ選手はフォーメーションラップの終わりに前の2台が接触したのを目撃していると思うが、どんな状況だったのか?
キャシディ選手:確かに、一番最高の場所から見ていた。しかし、どういう状況だったかを僕がコメントする立場ではない。ただ、自分には影響をしないように、影響を避けながら走ることに集中していた。
――37号車の2人は23歳という非常に若いチャンピオンになった。このことはあなた方のレーサー人生にどういう影響を与えると思うか?
平川選手:もちろん若いうちに獲れるのはいいことだが、それに関しては特になんとも思っていない。将来的にはこれを1つの通過点として捉えて、まだまだ上のレベルはあると思うので、さらに努力して速さに磨きをかけていきたい。
キャシディ選手:僕はとってもすごいことだと思う。GT500がどんだけハイレベルのレースか、僕はとても理解しているつもりだ。ドライバーもチームもハイレベルなシリーズで、将来に大きな意味をもってくるのではないかと思う。これは僕のレーサー人生にいい影響があると思う。ただ、自分としては日本でレースをすることをとても好ましいと思っているし、これからもここでレースをしたいと思っている。
関谷監督:SUPER GTというレースは世界で一番面白いモータースポーツをやっているシリーズだと私は思っている。そういった目で、日本で行なわれているSUPER GTが世界に発信しても恥ずかしくないレースだと思って、報道関係の方にも発信していただけると嬉しい。