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三菱ふそう、大型観光バス「エアロクィーン」「エアロエース」2019年モデルの試乗会

緊急停止ボタンや左折巻き込み防止機機能を体感

2019年3月8日 実施

スーパーハイデッカータイプの大型観光バス「エアロクィーン」

 三菱ふそうトラック・バスは、2月に発表した大型観光バスの2019年モデル「エアロエース」「エアロクイーン」の試乗会を同社の喜連川研究所において実施。新たに搭載した安全装備、アクティブサイドガードアシストや緊急停止ボタンなどを試すことができた。

安全装備を追加した2019年モデル

 今回の2019年モデルではフェイスリフトしてLEDヘッドライトを搭載し、最新の「ふそうブラックベルト」デザインを採用したことが見た目の違いだが、三菱ふそうが強調するのは安全装備の追加であることは既報のとおり(関連記事)で、主に新搭載した安全装備は以下のものとなる。

・アクティブサイドガードアシスト
・アクティブ・ブレーキ・アシスト4(ABA4)歩行者検知機能追加
・新型LEDヘッドライト、フォグランプ
・ドライバー異常時対応システム(国交省準拠)
・バスコネクト(BusConnect)
・火災延焼防止装置

 試乗会では、アクティブサイドガードアシスト、ドライバー異常時対応システムによる緊急停止、アクティブ・ブレーキ・アシスト4の自動ブレーキを体験することができた。

左側方の安全確認を助けるアクティブサイドガードアシスト

 アクティブサイドガードアシストは左折時の巻き込みを防ぐ機能。左後輪の前にミリ波レーダーを2基装備し、左側方の対象物を捉え、運転席左側やメーターパネル内に黄色の表示で注意を促す。さらに、そのままウインカーやステアリング操作をすると赤色で警告、シートバイブレーターも動作してドライバーに回避行動を促すという仕組みだ。

アクティブサイドガードアシスト用のミリ波レーダーは後輪の少し前にある黒い部分
左側に人がいて、さらにステアリング操作をしようとすると赤が点灯する
左側に小型トラックが走行しているため、メーターパネル内と運転席左側に三角計の部分が黄色に点灯している
メーターパネル内にも赤く表示
三角形の表示、左側に何もなければ消灯している

 左側方に人がいればミラーやカメラで確認はできるが、常時左だけを見て走行することは無理なため、不意に人などが近づいた場合に黄色のアラートが出ることはドライバーにとって安心。走行中やアクセルを踏もうとした状態でウインカーやステアリング操作をすると赤色点滅とシート左側が激しく振動するため警告を逃すことがない。

左側方に人がいる状態でウインカーを出してアクセルを踏むと、赤色点滅の警告とシートバイブレーターが作動する
走行中、左に人がいる状態でウインカーを出すと、赤色点滅の警告とシートバイブレーターが作動する

乗客用の緊急停止ボタンでバスを停止

 ドライバー異常時対応システム(EDSS)は実際にボタンを押して停止状況を体験した。乗客用の非常ブレーキボタンは最前列シートの荷棚のところにあり、カバーを引き上げてボタンを押す仕組み。走行中にボタンを押すと3.2秒間、車内警告ブザーや警告灯が作動した後、ブレーキがかかる。

ドライバー異常時対応システムの乗客用ボタン
カバーを引き上げてから押し込む
室内灯内部に仕込まれた赤色の警告灯が点滅すると同時にブザーが鳴る
乗客用の非常ブレーキボタンを押した後、ドライバーが解除すればブレーキに至らない。反対に、ドライバーが自ら非常ブレーキボタンを押せばすぐに減速する

 誤操作やいたずら防止の観点から3.2秒の間にドライバーが解除すればブレーキに至らず、3.2秒を過ぎてブレーキがかかり始めた後でも、ドライバーによる解除操作でブレーキも解除される。

 乗客がボタンを押すとすぐに車内の室内灯内部に仕込まれた赤色の警告灯が点滅。車内にはブザーが鳴り響く。3.2秒後にホーンが連続で鳴り車外にも警告をしながら停止する。停止の減速度は0.25Gで、少し強めのブレーキという印象。シートベルトを装着して正しく座っていれば、どこかに体をぶつけるといったことは起こらない。荷物が投げ出されるということもなかった。

 また、車外でホーンを鳴らしながらハザードランプを付けて減速するため、何か異常があって停止することが分かるようになっている。

乗客用の非常ブレーキボタンを押して緊急停止する車内の様子
非常ブレーキボタンによる停止を車外から見たところ。減速に入る前にハザードランプが点滅している

自動ブレーキによる停止

 アクティブ・ブレーキ・アシスト4(ABA4)による自動ブレーキは歩行者検知機能が追加された。今回の試乗では人を検知しての自動ブレーキの確認はできなかったが、先行車が停止した状態を見立てた自動ブレーキを体験することができた。

ミリ波レーダーはフロントバンパー下部中央に装備。ナンバープレートはその分だけ左にオフセットされる
車線逸脱警告用のカメラは車両正面から見て右側。歩行者検知にカメラは使っていない

 走行状態で前方に停止したクルマに見立てたものを発見すると、早めに減速し、最後のほうで急激にブレーキが強まって停止する。バスの場合は乗客の安全という観点から急ブレーキも慎重になる必要があるが、停止直前で若干ブレーキを緩めて停止の衝撃をわずかに弱めている点も特徴的だ。

前方に障害物を検知するとメーターパネル内に警告が出て、ブレーキがかかって停止する

AMTによるスムーズな走行を実現

 エアロエース、エアロクイーンはすでに2017年の改良において全車が8速機械式自動トランスミッション「ShiftPilot」を採用している。クラッチ操作やシフト操作がなく、アクセルを踏むだけで変速が自動で行なわれるというもの。

 発進は大型車の定石である2速からスタートし、アクセルを一定に踏んでいくと変速しながら加速していく。変速時にはアクセルの途切れによるショックがわずかにあるものの、何の操作も必要なく変速していく。

 必要ならば手動で変速操作することもできるため、従来のMTのように加速感の途切れはあるものの、ショック感を少なくして変速していくことも可能。慣れればドライバーの意のままに変速が可能であると感じた。

外装にデザインラッピングを施したスーパーハイデッカー仕様のエアロクィーン
後輪とミリ波レーダー
「ふそうブラックベルト」デザイン
LEDヘッドライト
ABA4のミリ波レーダーはバンパー中央下部
ターボチャージャー付き直列6気筒 7.7リッター「6S10」型エンジン
8速機械式自動トランスミッション「ShiftPilot」のため、運転席にはシフトレバーはない。左側コラムレバー内をひねることで前進後進とニュートラルを切り替える
客席は11列仕様で計57人乗り
乗客用座席は3点式シートベルトを装備

車いす用エレベーター付きモデル

 17年型からカタログモデルとなった「エアロエース」の車いす用エレベーター付き仕様も展示され、車いす用エレベーターの実演が行なわれた。歩道などからスロープをかけて車いすを車内に入れ、90度向きを変えてから上昇させる。車いすの転回スペース確保のために奥の荷室とのシャッターを開くことができるほか、昇降時に雨に濡れないようなロールカーテンも装備される。

車いす用のエレベーターが付いた仕様もエアロエースに用意される
左側面の扉を手動で開ける
車いすをエレベーターに載せたらロールカーテンを下げて雨の吹き込みを防ぐこともできる
エレベーターが上昇しきった位置
室内のフロアと同じ高さまで車いすが上がってきた。車いすは固定できるので、このまま走行できるほか、座席に移ることもできる
エレベーター下降時に落ちないようチェーンも備えられる

 エレベーターの移動には60秒ほどかかり、外部から見ると遅く見えるが、実際に車いすに乗って上下すると早く感じない適切な速度だと感じる。観光用、路線用などで実際にオーダーが入っているという。

車いす用エレベーターで降りてくる様子。90度向きを変えるために奥側のシャッターを開くこともできる
エアロクィーンと大型トラックのスーパーグレート