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トヨタ、WRC 第9戦でタナック/ヤルヴェオヤ組が4勝目。ラトバラ/アンティラ組も3位で1-3フィニッシュ

ランキング首位のタナック/ヤルヴェオヤ組は2位との差を22ポイントに

2019年8月1日~4日(現地時間)開催

WRC 第9戦 ラリー・フィンランドで優勝したオィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組の8号車「ヤリスWRC」

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(トヨタ自動車)のオィット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC #8号車)は、8月1日~4日(現地時間)に開催されたWRC(世界ラリー選手権)第9戦 ラリー・フィンランドでシーズン4勝目を挙げた。

 このほか、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamの#10号車をドライブするヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)も今季最高位の3位でレースを終え、チームとしての1-3フィニッシュを実現。クリス・ミーク/セブ・マーシャル組(ヤリスWRC #5号車)はラリー デイ3でリタイアとなり、ラリー2規定に基づいて再出走したもののリタイアとなっている。

 TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは3年連続で2台のマシンによる表彰台獲得を達成。シーズンランキングで首位になっているタナック/ヤルヴェオヤ組は、2位のセバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア組(シトロエン C3 WRC #1号車)とのポイント差を4ポイントから22ポイントに拡大している。

表彰台で喜びを全身で表現するオィット・タナック選手(写真中央)
TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamは1-3フィニッシュを飾り、マニュファクチャラーズランキングで首位のHYUNDAI SHELL MOBIS WORLD RALLY TEAM Hyundaiに24ポイント差まで迫った

 最終日のデイ4にはサービスパーク東側にある2つのステージを各2回走行し、計45.74kmのSS(スペシャルステージ)を実施。前日のデイ3で首位に立ったタナック選手は、デイ4最初のSS21でベストタイムを記録して2位との差を22秒に拡大。このステージ優勝はタナック選手にとってWRC通算200回目のステージ優勝となり、ヤリスWRCでは今季50回目、通算120回目となった。その後もタナック選手は速いペースをキープ。最終的に2位と25.6秒差でフィニッシュし、シーズン4勝目を獲得した。さらにタナック選手は最終SSのパワーステージでもベストタイムを記録し、選手権ポイントのボーナスとして5ポイントを獲得している。

 総合2位のオジエ選手と12.4秒差でデイ4をスタートしたラトバラ選手は、2本目のSS21で今大会8回目のベストタイムを記録。最終的に逆転にまでは至らなかったものの、総合3位でラリーを終えて今シーズン初のポディウムフィニッシュを獲得。タナック選手との1-3フィニッシュでチームのマニュファクチャラーズ選手権ポイントを上積みし、首位との差を24ポイント差に縮めている。

タナック/ヤルヴェオヤ組のヤリスWRC #8号車
ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(ヤリスWRC #10号車)
クリス・ミーク/セブ・マーシャル組(ヤリスWRC #5号車)

レース後のコメント

チーム代表 トミ・マキネン氏

チーム代表 トミ・マキネン氏:チームにとってのホームラリーで、今年も素晴らしい結果を残すことができました。このラリーでの3連勝は格別です。オィットは本当に強く、われわれのクルマと彼の組み合わせは抜群だったと思います。パワーステージの走りを見ても分かるように、物事はすべて彼の思い通りに進み、全開で走らずともフルポイントを獲得できるほど余裕がありました。また、ヤリ-マティが表彰台に上がったこともよかったと思います。それによってマニュファクチャラー選手権1位のチームとの差を縮めることができましたし、オィットのドライバー選手権争いにとっても助けになりました。このいい流れを、この後のラリーでも維持できることを期待しています。

オィット・タナック選手(写真中央)

オィット・タナック選手:優勝を飾り最高の気分です。フィンランドで好結果を残すことは、両選手権にとって非常に重要でした。シーズン後半戦の初戦であるこのラリーの結果は、完璧だといえます。チーム全体が勢いに乗ったので、この後も攻め続けなければなりません。今日の最初の3本のステージではクリーンな走りを心がけましたが、最後のパワーステージではプッシュしました。ミスをすることなくクリーンな走りでいいタイムを狙い、最大ポイントを獲得できました。次のドイツも、今回と同じアプローチで戦うつもりです。

ヤリ-マティ・ラトバラ選手(写真右)

ヤリ-マティ・ラトバラ選手:ラリー・フィンランドで表彰台に復帰することができて、とても嬉しく思います。最後に表彰台に立ったのは約9か月前だったので、本当に長く感じました。2位フィニッシュの可能性もあったと思いますが、今回はリスクを冒さないほうが賢明だと判断しました。この後のことを考えると、自分にとってだけでなく、チームにとってもポイント獲得が非常に重要でした。今日は、昨日の午後よりもリラックスして走れましたし、速さもありました。今日の結果により、この後のラリーでも表彰台争いができるという自信を持つことができました。

クリス・ミーク選手(写真左)

クリス・ミーク選手:再出走を果たし、今日は出走順がよくなかったので、無理な走りをするつもりはありませんでした。しかし、最終ステージの1つ前でミスを冒し、自分に腹が立ちました。長い左コーナーでクルマがドリフトした際、少しためらいがありアクセルペダルを少し戻したところ、クルマが予想以上にイン側に巻き込んでしまいました。そして、草の中にあった大きな石に当たってしまったのです。このような厳しい週末は望んでいませんでしたし、次のドイツまでに立ち直らなければなりません。

チーム総代表 豊田章男氏:TOYOTA GAZOO Racing WRTは、もう1つの母国“フィンランド”で大勢の温かい地元応援団の声援を受け、3シーズン連続となる勝利を挙げることができました。開催地ユバスキュラの街は、今年も「Welcome to My Home Roads」の言葉でわれわれを迎え、「Hometown Hero」とわれわれのことを呼んでくれていたそうです。地元の方々をはじめ、声援をいただいた皆さま、ありがとうございました。

 前戦のイタリアでは本当に悔しい思いをしました。そこから6週間、WRCは夏休みの日々でしたが、チームは「次のホームラリーで雪辱を果たそう」「応援してくれる地元に恩返しをしよう」と、ヤリスを“もっといいクルマ”にする努力を続けてくれていました。表彰台の頂点に立ったオィットとマルティン、3位で続いたヤリ-マティとミーカ、そしてチームのみんなへも祝福と感謝の言葉を贈りたいと思います。おめでとう! ありがとう! 今年も君たちと一緒にポディウムに立ち、シャンパンでベトベトになりながら直接言葉を伝えたかったと心の底から思います。

 今回のラリーは表彰台に立った2台に加え、途中で戦線を離脱してしまったクリス、セブ組も含めた3台すべてが序盤からトップ争いを繰り広げる展開でした。一時は3台が1秒以内で総合首位を争うなど、それぞれのドライバーがヤリスWRCに乗ることを本当に楽しんでいるように思えました。3組6人の選手たちが楽しみながら、そして、思いっきりクルマを走らせられることが、ヤリスをさらに強くしていってくれると信じています。

 シーズンは後半戦に入りました。2年連続でのチームタイトルの獲得、そしてTOYOTA GAZOO Racing WRTからのチャンピオンドライバー輩出に向け、チームは戦いを続けます。皆さま、引き続き、応援よろしくお願いいたします。