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スーパー耐久仕様の「クラウン」がシェイクダウン。「富士24時間レース」でデビューへ

埼玉トヨペットが富士スピードウェイで初走行

2020年7月20日 公開

トヨタ自動車「クラウン」のレーシングカー

 7月20日、SUPER GT開幕戦の興奮冷めやらぬ富士スピードウェイに、トヨタ自動車「クラウン」のレーシングカーが突如として姿を現した。

 この見慣れないレーシングカーを走らせたのは7月19日に行なわれたSUPER GT第1戦でGT300クラス初優勝を遂げた埼玉トヨペットGreen Brave。9月4日~6日に富士スピードウェイで開幕するスーパー耐久シリーズ(以下S耐)に参戦するためにシェイクダウンを行なったのだ。

 クラウンはS耐のST-3クラス参戦を見据えて開発したもの。ST-3クラスとは2001cc~3500ccの2WD車で争われるクラスで、レクサス「RC」や「フェアレディZ」「マークX」(2019年まで埼玉トヨペットなどが走らせていた)などが激戦を繰り広げている。ベースとなったグレードは2.0リッターの直噴ターボエンジン(8AR-FTS)を搭載するクラウン「RS」(ARS220型)。ST-3クラス唯一の4気筒、2.0リッターターボエンジンを搭載するマシンだ。

 クラウンのレーシングカーは、モービルガス・ラリー(1957年)に出場したラリーカー(トヨペット・クラウン)やD1グランプリ参戦車を除けばおそらく世界初。それだけにサーキット内外で話題を集めることは間違いない。

TNGAのFRシャシーを骨格に持つクラウン RS。Green Braveが2019年まで走らせていたマークXと比べ、ひとまわり大きいサイズとなっている。デザイン上の特徴である6ライトデザインはしっかり残されている。後方にはRSのエンブレムが輝く
エアロパーツは1分の1の風洞実験を行なって形状を決めたもの。リアウイングはレース用の専用品
エンジンはTRDと共同開発した8AR-FTSを搭載。TRDのロゴが目をひく
ホイールはTWS、ブレーキはエンドレス。2019年まで使用していたマークXと同じパッケージ
純正の雰囲気を色濃く残すインテリア。ダッシュパネルの赤ステッチも残されている。トランスミッションはマークXと同じレース用を搭載
走行は午後、計3回行なわれ、服部選手、平沼選手、吉田選手、服部選手、川合選手の順にドライブ。まずはマイナートラブルの洗い出しを行なった。今後、7月30日に富士で行なわれるS耐合同テストを経て、9月の開幕を目指していく

 チーム関係者によると、もともとはS耐の序盤戦をマークXで戦い、トヨタディーラーの全車種併売がスタートした5月以降のレースでクラウンRSを投入する計画だった。しかし、ほかのレースカテゴリーと同様、新型コロナウイルスの影響により、スーパー耐久も大幅に仕切り直しに。開幕戦が9月の富士24時間となったため、2021年1月までの全6戦をクラウン RSで戦うことになったとのこと。

 レースに不向きな4ドアボディを持つクラウンだが、埼玉トヨペットの旗艦車種でライバルに挑もうという決断はまさに大英断。開幕戦でライバルと互角のスピードを発揮できるのか。今後の活躍が非常に楽しみな1台だ。