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三菱自動車、2021年度第1四半期決算発表会 2年ぶりに黒字化を実現

2021年7月27日 発表

決算説明会はオンライン形式で行なわれた

 三菱自動車工業は7月27日、2021年度第1四半期(2021年4月1日~2021年6月30日)の決算についての説明会を行なった。出席したのは代表執行役副社長(CFO)池谷光司氏、代表執行役副社長 長岡宏氏と矢田部陽一郎氏の3名。

 2021年度第1四半期の実績については、売上高が前年同期比88%増の4319億円、営業利益は販売台数増やコスト削減などの効果が出たことで106億円となったほか、経常利益は112億円、親会社の所有者に帰属する当期純利益は61億円、販売台数は前年同期比65%増の23万台となった。営業利益については2019年度第4四半期以来、当期純利益は2019年度第1四半期以来、2年ぶりに黒字を実現した。

 この黒字になった要因でもっと大きいのが、アセアンや北米での販売の回復で297億円。また、構造改革で107億円、為替変動で118億円のプラスとなり、最終的に106億円の営業利益となった。主力地域であるアセアンは一定の回復が見られ、前年同期比142%、北米では新型アウトランダーが好調で、前年同期比129%と販売を牽引した。

 池谷氏は「アセアン諸国で断続的に繰り返されるロックダウンや半導体の供給不足など、2021年度に入っても厳しい環境でのスタートになっているが、北米の新型アウトランダー投入や構造改革による継続的な効果により第1四半期は前年比で大幅に改善できた」とあいさつ。今後はデジタルマーケティングの強化を進め、新車販売効果をより高めていくとした。

業績サマリー
営業利益変動要因
販売台数実績
アセアン販売状況
豪州・NZ販売状況
北米販売状況

 第2四半期以降はほぼ当初の見通しのままとしながらも、第1四半期の好調によって通期の見通しについては上方修正を実施。販売台数を10万台上乗せして96万7000台とし、売上高2兆800億円、営業利益を400億円、経常利益を360億円、当期純利益を150億円としている。

 また、新型コロナウイルスの再感染拡大や、今夏より生産状況が好転すると言われている半導体不足の懸念、原材料の高騰、運送回復によるコンテナ不足などのリスクなど、以前環境は不安定であるとしながらも、池谷氏は「今後もデジタルマーケティングの強化や固定費削減などを粛々と行なっていく」とした。

2021年度 業績見通し
2021年度 販売台数見通し
2021年度 営業利益見通し変動要因

 この通期目標を達成するために、北米では2021年度春に新型アウトランダーを投入し、第1四半期で7700台を販売。エレガンスなエクステリアや安心・安全・快適を体現した運転のしやすさが好評という。また、北米ではクルマの質が上がっていることや、デジタルマーケティングの推進など、新たな販売方法を頑張ったことで客層もよくなっていると分析しているという。

新車投入戦略

 質疑応答では、EV軽自動車の開発状況を問われた長岡氏は「2022年度前半を予定している。また、バッテリサプライヤーは言えないが、日産との共同調達となる」と回答。さらに、車両価格に関しても、まだ言えないとした。

 また、トヨタ自動車やいすゞ、日野自動車、スズキ、ダイハツ工業らが協業して物流革命を目指しているCJP(Commercial Japan Partnership)について問われると、「現時点で特にコメントすることはないが、これまで唯一の軽商用EVメーカーとして実績を積んできているので、今後もしっかりと競争力のある商品を出し続けられるようにやっていきたい」と長岡氏は回答した。