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三菱自動車、「アウトランダーPHEV」フルモデルチェンジ 7名仕様登場で価格は462万1100円から

2021年12月16日 発売

462万1100円~532万700円

新型「アウトランダーPHEV」を12月16日に発売

 三菱自動車工業は10月28日、クロスオーバーSUV「アウトランダー」のプラグインハイブリッドEV(PHEV)モデルをフルモデルチェンジし、12月16日に発売すると発表した。価格は462万1100円~532万700円。

 約8年半ぶりにフルモデルチェンジして3代目となった新型アウトランダーPHEVでは7名乗車仕様を用意したことが新しく、グレード展開としては運転支援技術と予防安全技術を備えたベーシックな「M」(5人乗り)、20インチホイールやコネクティッド機能など充実装備の「G」(5人乗り/7人乗り)、そのうえで専用の上質な内外装とし、BOSEプレミアムサウンドシステムなどを標準装備した上級仕様の「P」(7人乗り)の3モデルを用意する。

 また、10月28日より発売に先駆けて先行注文を受付開始し、発売までに注文した人への特典として4種類の「選べるオプションプレゼント」を用意する。

新型アウトランダーPHEVは最上級仕様のPグレード、充実装備のGグレード、基本装備のMグレードの3グレード展開
モデルエンジン駆動方式乗車定員価格
M直列4気筒DOHC 2.4リッターツインモーター4WD5名4,621,100円
G5名4,904,900円
7名4,996,200円
P7名5,320,700円

アライアンス3社で開発した新世代プラットフォーム採用

 アウトランダーは2001年に発売した同社初のクロスオーバーSUVで、3世代にわたってグローバルに幅広く展開し、近年は販売台数の約2割を占めるコアモデルの1つとなっている。先代より設定したPHEVモデルは2013年に日本で発売した後、欧州、豪州、北米、アセアンなどに順次展開し、累計で約29万台を販売するなど、PHEVカテゴリーを牽引してきた。

 今回の新型アウトランダー PHEVは仏ルノー、日産自動車、三菱自動車のアライアンス3社で開発した新世代のプラットフォームをはじめ、独自の電動化技術や四輪制御技術、先進技術を活用したフラグシップモデル。「威風堂堂」をコンセプトに、ボディやシャシー、パワートレーンなどすべてを刷新し、全方位で大幅に進化させた。これらにより、力強い走りやゆとりある居住性と多彩な使い勝手といったSUVとしての魅力、力強く滑らかな加速とあらゆる走行状況で安全・安心な走りといった、電動車としての魅力を大幅に高めたという。

新型アウトランダー PHEVのボディサイズは4710×1860×1745mm(全長×全幅×全高。Mグレードの全高は1740mm)、ホイールベースは2705mm

 新型アウトランダー PHEVでは、新開発のプラットフォームと高剛性な衝突安全強化ボディ「RISE(Reinforced Impact Safety Evolution)」によって高次元の安全性と操縦安定性を実現。フロントボディ剛性とねじり剛性を大幅に高め、操縦安定性の向上に大きく貢献したほか、従来の鋼板強度を超える同社初のホットスタンプ式超高張力鋼板(1470MPa)をキャビンまわりに採用し、変形の少ない高耐力キャビン構造とした。また、衝突リスクを複数のセンサーで事前に検知し、安全なドライビングをサポートする最新の運転支援機能「e-Assist」も採用する。

 デザインについて、エクステリアでは「DYNAMIC SHIELD(ダイナミック・シールド)」を新世代化させ、存在感のあるフロントデザインを実現。また、サイドでは20インチの大径ホイール、それを包み込む筋肉質なフェンダーフレアを採用し、飛行機の垂直尾翼をモチーフとしたDピラーとフローティングルーフによって力強く軽快な走りをイメージさせている。また、リアまわりでは背面式スペアタイヤをモチーフとした「HEXAGUARD HORIZON(ヘキサガード・ホライズン)」を採用し、六角形の形状をもつテールゲートと水平基調でボディの左右両端まで広がるテールランプなどにより、ワイドで安定感のあるスタイリングを実現した。

エクステリアでは存在感のあるフロントデザインをはじめ、飛行機の垂直尾翼をモチーフとしたDピラー、六角形の形状をもつテールゲートなどが特徴

 ボディカラーは、硬質で高輝度かつ鮮明なダイヤモンドカラーシリーズとして「ホワイトダイヤモンド」「レッドダイヤモンド」、新たに追加する「ブラックダイヤモンド」の3色に加え、「スターリングシルバーメタリック」「チタニウムグレーメタリック」「ブラックマイカ」「コズミックブルーマイカ」「ディープブロンズメタリック」を用意。2トーンカラーとして「ホワイトダイヤモンド×ブラックマイカ」「ブラックダイヤモンド×ディープブロンズメタリック」も設定する。

ボディカラーはダイヤモンドカラーシリーズの「ホワイトダイヤモンド」「レッドダイヤモンド」「ブラックダイヤモンド」の3色を軸に展開

 インテリアでは、走行時の車体姿勢の変化をつかみやすい水平基調で力強い造形のインストルメントパネル「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」を進化させて採用し、芯が通った力強さと開放感を表現。フロアコンソールは幅広で存在感があり、高級感のあるデザインを採用した。また、触感がよく質感の高いソフトパッドを随所に採用したほか、ステッチをあしらうなど上質感にもこだわった仕上がりになっている。モニターやメーターは視認性に、セレクター、ダイヤル、スイッチ類は操作時の節度感にこだわった「MITSUBISHI TOUCH(三菱タッチ)」との考え方に基づいてデザインし、視覚だけでなく触覚にも訴える上質さを実現したという。

 また、インフォテインメントシステムではドライバーの視線移動を少なくし、運転に必要な情報にアクセスしやすいよう工夫するとともに、12.3インチのフル液晶ドライバーディスプレイでは大画面と鮮明な画像により多くの情報を見やすく表示。また、10.8インチのウインドシールド投写型ヘッドアップディスプレイや、大型スマートフォン連携ナビゲーションを合わせて採用している。

インテリアでは水平基調で力強い造形のインストルメントパネル「HORIZONTAL AXIS(ホリゾンタル・アクシス)」を進化させて採用。12.3インチのフル液晶ドライバーディスプレイ、大型スマートフォン連携ナビゲーションなども搭載する

 居住空間については全幅および室内幅の拡大によってフロントシートのカップルディスタンスを広げ、ホイールベースの延長によりクラストップレベルのフロントシートとセカンドシートの足下スペースを確保するなど、広々としたゆとりある居住空間を実現。また、ミッドサイズSUVのPHEVモデルでは数少ない選択肢となる、サードシートを採用した3列7人乗りレイアウトを実現。このサードシートの設置に必要なリアフロアスペースを確保するため、リアモーターコントロールユニットをリアモーターと一体化してコンポーネントを最適にレイアウト。燃料タンクは容量を増加させつつ、成形の自由度が高い樹脂製として最適配置した。

 フロントシートは2層ウレタン構造として形状を最適化。座り心地がよく長時間でも疲れにくいだけでなく、コーナリング時のホールド性も大幅に高めた。運転席には8ウェイパワーシート、パワーランバーサポート、メモリーシート(シートポジションとドアミラーの位置メモリー)を設定し、プレミアム感も高めている。セカンドシートはウレタンパッドの硬度と形状、厚みを最適化するとともに、サポートワイヤーの最適配置などで高品質な乗り心地を実現した。なお、フロントシート、セカンドシートともに3段階の温度調節ができるシートヒーターを装備して快適性を向上。サードシートは形状を薄型コンパクトとしながら、クッション内に尻型に合わせたサポート材を設定。座骨への圧力集中を軽減することで優れた座り心地を追求しているという。

 また、セカンドシートではワンアクションで折りたためるフォールディング機構を採用するとともに、クォータートリムにあるレバーでラゲッジルームからリモート操作できるようにした。セカンドシートは4:2:4分割可倒式の採用で、長尺物を積みながら大人2名の乗車を可能にしたほか、機構の変更によりセカンド&サードシート折りたたみ時の荷室長を拡大。左右一体式となるサードシートは、ヘッドレストを外すことなく折りたたんで床下に収納でき、フラットな荷室へアレンジ可能。ダンパーと補助スプリングの採用により、快適な操作性を実現している。

新型アウトランダーPHEVのシート。5名乗車仕様または7名乗車仕様を展開

 ラゲッジルームでは開口部床面の幅を広げるとともに段差をなくしたことで、大きく重い荷物もスムーズに出し入れ可能とした。また、トノカバーの設定位置を高くしてホイールハウス後方のトリム形状を改善することで、大型スーツケースなら3個、9.5インチのゴルフバッグなら4個をトノカバーの下に積むことが可能。トータルのラゲッジ容量は、3列目使用時は258~284L、3列目収納時は634~646L、2・3列目収納時は1373~1390Lとしている。

 なお、テールゲートはキックモーションセンサーをリアバンパー中央下に設定。つま先をバンパー下にかざすだけで開閉ができ、開閉速度も4.5秒(先代モデルは8秒)に短縮し、利便性を高めた。また、ゲートが開く高さを天井が低い駐車場などに合わせて任意に設定できる。開閉機構にはスピンドル式ユニットを採用し、すっきりとした見栄えとしている。

ラゲッジ容量は3列目使用時が258~284L、3列目収納時が634~646L、2・3列目収納時が1373~1390L

 そのほか、もともと静粛性に優れるPHEVモデルはタイヤノイズが目立ちやすいため、リアサスペンションのクロスメンバーはブッシュを介してボディに取り付けることで、良好なロードノイズレベルと乗り心地を目指した。また、フロントドアには遮音フィルムを挟んだ合わせガラスの採用や、Aピラーのガーニッシュ形状を最適化して風切り音を低減。さらにリアコントロールユニットをリアモーターと一体化するなどして、電気自動車特有の耳障りなノイズとして発生するインバーターからの高周波をシャットアウトするなど、高い静粛性を実現している。

新旧アウトランダーPHEVサイズ比較

新旧サイズ比較新型アウトランダーPHEV先代アウトランダーPHEV
全長×全幅×全高4,710×1,860×1,745mm4,695×1,800×1,710mm
ホイールベース2,705mm2,670mm
トレッド(前/後)1,595/1,600mm1,540/1,540mm
室内長×室内幅×室内高2,445(7人乗り)・1,925(5人乗り)×1,505×1,240mm2,580(7人乗り)・1,900(5人乗り)×1,495×1,265mm
フロントショルダールーム1,470mm1,437mm
フロントシートカップルディスタンス750mm725mm
フロント・セカンドシート足下スペース903mm875mm

駆動用バッテリは総電力量を20kWhに大容量化

 PHEVシステムではコンポーネントを刷新し、EV航続距離を延長しつつEVらしい加速感を向上。フロントおよびリアモーター、駆動用バッテリの出力を約40%高めることで、アクセルを強く踏み込むシーンでも極力エンジンを始動せずにEV走行の維持を可能とし、高出力なツインモーター4WDならではの滑らかで力強く気持ちのいいモータードライブを実現した。また、駆動用バッテリは総電力量を20kWh(先代車13.8kWh)と大容量化し、EV走行換算距離(等価EVレンジ、WLTCモード)を87km(Mグレードでの数値。PおよびGグレードでは83km)とすることで、エアコンなどを使用した場合でも十分な航続距離を確保。ハイブリッド燃料消費率(WLTCモード)は16.6km/L(Mグレードでの数値。PおよびGグレードでは16.2km/L)としつつ、ガソリンタンク容量が従来の45Lから56Lに増えたことで総合航続可能距離が大幅に拡大したという。

 モーターについてはフロントのパワードライブユニットに昇圧機能を新採用し、フロントモーターへの供給電圧を高めることで強力な駆動力を発揮。同時にジェネレーターの発電効率も高めることで電費の低減にも貢献する。また、リアモーターとコントロールユニットを一体化することで、サードシート設置に必要なフロアスペースを確保し、7人乗りシートレイアウトを実現するとともに、ユニットの搭載位置をキャビン外側としたことで高周波ノイズをシャットアウトするなど、高い静粛性の実現にもひと役買っている。

 モーター出力はフロントモーターではジェネレーターとともにマグネット配置や巻線を最適化し、冷却効率の高い油冷システムなど最新技術を導入。最高出力は60kWから85kW、最大トルクは137Nmから255Nmへと大幅に向上させた。リアモーターはステーター側のコイルを角型断面とすることで巻密度を高め、最高出力を70kWから100kWに向上(最大トルクは先代車と同じ195Nm)させている。

 駆動方式は前後それぞれに1基ずつの駆動用モーターを搭載するツインモーター4WDで、これをベースとした車両運動統合制御システム「S-AWC(Super-All Wheel Control)」に新たに後輪側にもブレーキAYC機能を追加。これにより、前後輪の駆動力を路面状態や運転状況に応じて最適に配分しながら、左右輪のブレーキ制御によるトルクベクタリングも前後輪で行なうことを可能とした。これにより、ドライバーの思い通りのハンドリングと高い操縦安定性を実現しているという。

 走行モードは路面状況や運転スタイルに応じて選択できる7モードを設定。舗装路での通常走行に最適な「NORMAL(ノーマル)」を基本とし、乾燥舗装路でキビキビと加速するアクセルレスポンスと高い旋回性を発揮する「TARMAC(ターマック)」、未舗装路や濡れた舗装路での操縦性と走破性をバランスさせた「GRAVEL(グラベル)」、雪道などの滑りやすい路面で車両挙動を安定させる「SNOW(スノー)」、泥濘路や深雪路で車速に応じてタイヤのスリップ率を最適化することで高い走破性を実現し、スタック時に優れた脱出性を発揮する「MUD(マッド)」のほか、力強い加速が必要な場合の「POWER(パワー)」、環境に優しく経済的な「ECO(エコ)」といった運転スタイルによるモードも設定。これら7つのドライブモードにより、さまざまな天候や路面で快適な走りを実現する。

 駆動用バッテリは電池パック構造の見直しやコンパクトな冷却システムの採用により、体積を小型化しながら容量を高めたリチウムイオン電池を採用。従来の電池セル80個から96個として総電圧350V、総電力量20kWhの大容量駆動用バッテリを構成(先代車は総電圧300V、総電力量13.8kWh)。また、駆動用バッテリに合わせた冷却システムは、冷媒で各セルを直接冷却するヒートシンク構造とすることで省スペースで優れた冷却効率を確保し、電池性能をより安定化させている。さらに電池温度調節システムを搭戟することで、低温時での充電中の電池温度を最適化しているという。

 なお、新型アウトランダーPHEVでは駆動用バッテリの電気をフロアコンソールボックスとラゲッジルームにある合計2か所のコンセントから取り出せるようになっている。100V AC電源(1500W)なので、アウトドアでも家庭の電化製品がそのまま使用でき、停電時や災害時には非常用電源としても活用できる。

 また、電気自動車と住宅の相互電力供給をするV2H(Vehicle to Home)にも対応し、V2H機器を経由して駆動用バッテリの電力を住宅への供給を可能にしている。新型アウトランダーPHEVでは総電力量や発電量を増加させたことで、エンジンでの発電を組み合わせればガソリン満タンで最大約12日分(先代モデルは約10日分。1日当たりの使用電力量を約10kWh/日として算出)の電力供給ができるという。

駆動用バッテリの電気をフロアコンソールボックスとラゲッジルームにある合計2か所のコンセントから取り出すことが可能

進化した「MI-PILOT」搭載

 そのほか先進の安全装備については、進化した高速道路同一車線運転支援機能「MI-PILOT」を搭載。レーダークルーズコントロールシステムとレーンキープアシストを統合したこの制御は、車間距離と車線中央をキープしながら走行することで運転をサポート。また、新機能である標識認識システム(TSR)によって速度標識を認識して設定速度を自動で切り替えるほか、ナビリンク機能による地図情報を活用した、高速道路のカーブや分岐などで適切な車速に自動で調整。渋滞時でも停車後約30秒以内の自動発進を実現する。

 また、安全・安心で快適なドライブをサポートする「三菱コネクト」を採用しており、万が一の際のSOSコールや、駆動用バッテリの走行可能距離の確認、充電時刻の設定や充電し忘れ通報、車両を駐車した位置をスマートフォンアプリの地図に表示させて自車位置の確認などが行なえる。加えて車両の運転状況の通知を受けとることで、家族や友人などの運転管理を行なうことを可能とする機能も採用している。

新型アウトランダーPHEV主要諸元(抜粋)

グレードMGP
駆動方式4WD
乗車定員5577
ボディサイズ(全長×全幅×全高)4,710×1,860×1,740mm4,710×1,860×1,745mm
ホイールベース2,705mm
トレッド(前/後)1,595/1,600mm
最低地上高195mm200mm
室内サイズ(室内長×室内幅×室内高)1,920×1,520×1,240mm2,450×1,520×1,240mm
最小回転半径5.5m
ハイブリッド燃料消費率(WLTCモード)16.6km/L16.2km/L
EV走行換算距離(等価EVレンジ)87km83km
交流電力量消費率(WLTCモード)227Wh/km239Wh/km
エンジン直列4気筒DOHC 2.4リッター「4B12 MIVEC」
エンジン最高出力98kW/5,000rpm
エンジン最大トルク195Nm/4,300rpm
モーター(前/後)S91/YA1型
モーター最高出力(前/後)85/100kW
モーター最大トルク(前/後)255/195Nm
駆動用バッテリリチウムイオン電池
駆動用バッテリ総電圧量20kWh
サスペンション形式(前/後)マクファーソンストラット式/マルチリンク式
主ブレーキ形式(前/後)ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
タイヤ235/60R18255/45R20