ニュース

水素カローラは液体水素への技術チャレンジを開始 トヨタ、スバル、マツダがカーボンニュートラルレースで会見し、マツダは2.2リッターの300馬力エンジンを投入へ

32号車 ORC ROOKIE Corolla H2 Concept(水素カローラ)。2022年シーズンは気体水素から液体水素への燃料切り替えにチャレンジしていく

 3月19日、鈴鹿サーキットで行なわれているスーパー耐久第1戦で、トヨタ自動車、マツダ、スバルによる共同会見が行なわれた。トヨタ自動車 豊田章男社長、スバル 中村知美社長、マツダ 丸本明社長が登壇し、それぞれのカーボンニュートラル車でワークス参戦することについての思いを語った。

 トヨタは、32号車 ORC ROOKIE Corolla H2 Concept(水素カローラ)に加え、1.4リッター直列3気筒ターボを搭載する28号車 ORC ROOKIE GR86 CNF Concept(以下、カーボンニュートラルGR86)も加える。このGR86はカーボンニュートラル燃料を用いて走るもので、フルシーズンの参戦を通じて次世代エンジンとFRスポーツカーの開発を進めていく。

 スバルは、新型BRZをベースに参戦。2.4リッター水平対向4気筒エンジン搭載を用い、トヨタのGR86と同じカーボンニュートラル燃料での参戦となる。

 マツダは、ユーグレナのバイオディーゼル燃料「サステオ」を用いるMAZDA2で参戦。こちらのカーボンニュートラル燃料となる。

会見写真

 水素カローラの参戦以来、川崎重工業、大林組など水素の「つくる」「はこぶ」「つかう」の仲間を増やしてきたが、2022年シーズンの開幕戦となる鈴鹿でも新たな仲間が加わった。今回の水素カローラには、福島県浪江町のFH2R由来の水素に加えて、山梨県、東京電力ホールディングス、東レが連携して製造する太陽光由来の水素を使用する。

 また、「はこぶ」についても、FCEV(燃料電池車)であるMIRAI(ミライ)の技術を使った樹脂ライナー製の水素運搬可能なタンクを使用。タンクを金属製から樹脂ライナー製に変更したことで、タンク圧力を20MPaから45MPaまで上げ、水素運搬量は前回大会に比べて約4倍になった。今後はMIRAIでも実証されている70MPaに上げ、さらなる効率化を目指していく。

 水素カローラの「つかう」についても改善。水素カローラでは航続距離や水素充填時間が課題となっていたが、航続距離に関しては燃料効率を改善することで、20%向上したという。また、気体水素から充填効率のよい液体水素へ燃料を切り替えるための技術的チャレンジを始める。液体水素になれば、体積当たりのエネルギー密度が向上するため、大幅な航続距離の延長が実現する。

 水素充填時間についても、充填時の昇圧率をさらに高くする「大流量充填」に挑戦。充填口と配管を変更することで大流量充填を実現し、充填時間を2分弱から1分半まで短縮したとのことだ。

 さらに、会見ではサプライズ情報があった。マツダの丸本社長は、エンジニアからスバルやトヨタの強力さを聞いたということで、後半戦には300馬力の2.2リッターディーゼルを投入していくという。

 スーパー耐久シリーズは開幕戦が鈴鹿、最終戦も鈴鹿ということで、開幕戦のカーボンニュートラルの姿と、最終戦のカーボンニュートラルの姿はずいぶん違っていくかもしれない。