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電子情報技術産業協会、カーナビやドラレコの2027年までの世界需要動向 自動車需要の回復にあわせてカーナビ需要も増加の見通し

2023年2月22日 発表

「AV&IT機器世界需要動向~2027年までの世界需要展望~」を発表

 電子情報技術産業協会(JEITA)AVC部会は2月22日、「AV&IT機器世界需要動向~2027年までの世界需要展望~」を発表。その中でカーナビゲーションシステムやカーオーディオシステム、ドライブレコーダーの需要動向について予測した。

 自動車の電動化とともに既存のカーオーディオシステムは減少する一方、自動車需要の回復にあわせて、カーナビゲーションシステムの需要が増加するとの見通しを示している。

 同調査は1991年から実施しており、今回で33回目。レポートの表紙が黒いことから、通称「黒本」と呼ばれている。ITやAVなど11品目の需要動向をまとめており、その中にカーAVC製品が含まれている。同協会の参加企業へのアンケートやヒアリング調査のほか、調査協力を行なった富士キメラ総研の自動車の需要予測なども反映した。

 富士キメラ総研 第二部の三橋慎吾課長は、「カーAVCは自動車販売台数の動向が大きく影響する」と前置きし、「コロナ禍で2020年の自動車販売台数は大幅に減少したが、2021年、2020年はプラスに転じ、需要が戻ってきている。だが、自動車分野における半導体不足が続いており、需要はあるが供給が追いつかない状況にある。コロナ前の水準に戻るには2年ぐらいかかりそうである」とした。

 富士キメラ総研によると、2022年には8156万5000万台だった世界の自動車販売台数は、2027年までの年平均成長率が6.0%という高い伸びを維持。2027年には9475万台に拡大すると予測している。

 また、「電動自動車の構成比が増加しており、2026年には約4割が電動自動車になると予測している。これはカーAVC製品にとっても明るい材料である。地域別では中国市場での電動化の伸びが急激である。中国では空気の清浄化、化石燃料の輸入量削減、自動車分野における世界的リーダーシップの獲得などを目的に、政府が手厚い補助金政策を行なっており、安い価格帯の自動車も登場している。これらも普及率の急速な拡大に貢献している」と述べた。

2022年には8156万5000万台だった世界の自動車販売台数は、2027年までの年平均成長率が6.0%という高い伸びを維持し、2027年には9475万台に拡大すると予測
市場動向について。電気自動車の普及は各国地域で進む環境規制の影響により加速している

カーナビの需要は2023年以降は電動自動車の普及や自動車需要の回復で右肩上がりで成長

 黒本からカーAVCの製品別需要動向を見てみよう。

 カーナビゲーションシステムは、2022年の世界需要が前年比2.0%減の3354万台、日本では7.6%減の440万台となった。2027年までの世界需要は年平均成長率が5.0%となり、2027年の世界需要は前年比2.8%増の4290万台、日本は1.6%増の508万台と予測している。

 カーナビゲーションシステムは通信対応のIVI、通信非対応のカーナビ、ハンディタイプのPNDを含めている。「カーナビゲーションシステムの需要には自動車販売動向が密接に関連する。2020年は需要が大きく落ち込んだが、2023年以降は電動自動車の普及や自動車需要の回復もあり、右肩上がりで成長する」とした。

カーナビゲーションシステム全体の市場動向
2027年の世界需要は前年比2.8%増の4290万台、日本は1.6%増の508万台と予測

 カーナビゲーションシステムのうち、IVIが高い成長を遂げ、2027年にはカーナビ全体の半分以上を占めると予測。2022年の世界需要が1124万台だったものが、2027年には2470万台と倍増以上に増加。日本でも2022年の215万台から、2027年には305万台にまで拡大すると見ている。

 これについて三橋課長は「電動自動車の普及により、自動車の情報と外部の状況をリンクさせてデータ処理することが重要になってくるため、外部との通信手段を備えたIVIが必須になってくる。たとえば、バッテリの状況と充電ステーションの位置情報との連動などが想定される。情報が遅延なく更新されることが求められるため、5G対応も加速することになるだろう」とした。

IVIシステムの搭載が拡大していくと予測
IVIは2022年の世界需要が1124万台だったものが、2027年には2470万台に増加

 カーオーディオシステムは、2022年の世界需要が前年比1.7%減の6665万台、日本では8.5%減の150万台。2027年の世界需要は前年比0.2%増の6917万台、日本は4.7%減の112万台と予測した。世界需要は2027年までの年平均成長率が0.7%と微増になる。

「自動車販売台数の増加はプラスではあるが、電動自動車の比率が増加することでIVIの採用が拡大。カーオーディオにはマイナスの影響が生まれる」としたが、「IVIシステムが搭載されないような低価格帯の車種においては、スマホとの連携によってエンタテインメント機能を実現するために、カーオーディオの需要が見込まれる」とした。

カーオーディオシステムの市場動向
カーオーディオシステムの2027年の世界需要は前年比0.2%増の6917万台、日本は4.7%減の112万台と予測

 ディスプレイ付きカーオーディオは、2022年には約4割だったが、2024年は約5割に拡大。2027年には6割近くに達すると予測している。また、ドライブレコーダーは2022年の世界需要が前年比3.7%増の2758万台、日本では15.1%減の449万台。2027年の世界需要は前年比5.5%増の4173万台、日本は2.9%増の535万台と予測している。世界需要における2027年までの年平均成長率は8.6%という高い伸びを想定している。

「ドライブレコーダーはアフターマーケットが中心となっており、セキュリティやセーフティに対するニーズの高まりが成長を下支えしている。ただ、自動車を買い替えても付け替えができるという点も、需要動向を見る上で考慮する必要がある」としたほか、「日本市場では2020年と2021年に需要が大きく伸びており、2022年は大きく減少した。市場には飽和感がある」と指摘した。

 また、「国によっては法規制で仕様が制限されたり、搭載に対する是非が議論されたりしている。セキュリティの側面が強い地域と、セーフティの訴求が強い地域があり、新興国では車上荒らしや盗難対策が中心となり、先進国では事故時の状況保存やあおり運転の抑止などの安全性のニーズが中心になっている」と、地域によってニーズの違いがあることを示した。

ドライブレコーダーの市場動向
ドライブレコーダーのニーズは地域によって違いがある
ドライブレコーダーの2027年の世界需要は前年比5.5%増の4173万台、日本は2.9%増の535万台と予測

 さらに、「AI対応が進展し、ドライバーの状態を把握し、適切なアラートを出すといった機能が搭載されたり、従来からの前方検知だけでなく、前後方の監視を行なう製品が増加したりしている。さらに商用車における安全運転管理や、テレマティクス保険への対応など、通信機能を活用したサービスが増加している。新たな機能を持ったドライブレコーダーは、今後も需要を拡大していくだろう」と予測した。