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スーパーフォーミュラ開幕戦富士、リアム・ローソン選手が初出場で初優勝

初めてのサーキットで初出場ながら初優勝したリアム・ローソン選手(15号車 Red Bull MOTUL MUGEN SF23)

 スーパーフォーミュラの開幕ラウンドが、4月8日~9日の2日間にわたって富士スピードウェイ(静岡県駿東郡小山町)で開催されている。初日となった4月8日には2回行なわれるレースのうち、レース1の予選、決勝が行なわれた。

 決勝レースは、予選でポールポジションを獲得した野尻智紀選手(1号車 Red Bull MOTUL MUGEN SF23)が序盤にトップに立ったものの、リアム・ローソン選手(15号車 Red Bull MOTUL MUGEN SF23)が、タイヤ交換をチームメイトよりも先に行なうアンダーカット作戦に出て、野尻選手をオーバーテイクすることに成功。初参戦したスーパーフォーミュラで初優勝という最高の結果となった。

 2位は野尻選手で、3位はトヨタ勢で最上位となる平川亮選手(20号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23)。

序盤にトップに立ったものの、2位となった野尻智紀選手(1号車 Red Bull MOTUL MUGEN SF23)

2年連続チャンピオンの野尻選手がレースの序盤を支配

スーパーフォーミュラ開幕戦のスタート

 決勝レースはスタート後の1コーナーこそほぼ全車が無事に通過したが、2周目の1コーナーに大きなアクシデントが発生した。前を行く坪井翔選手(38号車 P.MU/CERUMO・INGING SF23)に、牧野任祐選手(5号車 DOCOMO DANDELION M5S SF23)が追突し、坪井選手はリアを破損。牧野選手がフロント部を破損するクラッシュが発生した。破片が1コーナー周辺に散らばったため、セーフティカーが出され、レースはセーフティカー先導で続くことになった。

 レースが再開されたのは8周目で、ポールからスタートした野尻智紀選手がレースをリード。予選4番手から抜群のスタートで2位に上がっていた大湯都史樹選手(53号車 TGM GP SF23)、予選3位からスタートしたリアム・ローソン選手がそれに続いた。

 しかし、1コーナーでローソン選手が大湯選手に仕掛けて、コカ・コーラコーナーまでに並んでインから抜こうとするが、2台ともアウト側に飛び出した。ローソン選手は2位を維持したままコースに戻れたが、大湯選手は順位を6位に下げてしまった。これで3位に上がったのは、山本尚貴選手(64号車 TCS NAKAJIMA RACING SF23)で、4位はその山本選手に抜かれた宮田莉朋選手(37号車 VANTELIN TOM’S SF23)。TEAM MUGENの2台が3位以下を引き離して1.5秒前後でトップを争うというマッチレースになっていった

 6位まで順位を下げた大湯選手は、10周となった時点で規定のタイヤ交換を行ない、タイヤ交換を行なった中でのトップを維持していた。しかし、同じ周にピット作業を行なった佐藤蓮選手(65号車 TCS NAKAJIMA RACING SF23)の方がペースよく、結局1コーナーで大湯選手をオーバーテイク。佐藤選手は、トップを走るレッドブルカラーのTEAM MUGEN 2台とほぼ同じかやや速いタイムで追い上げを見せる。

レース中盤に2位のローソン選手がトップの野尻選手をアンダーカット。トップに立ち、そのまま優勝

 レースが動いたのは22周目、2位を走っていたローソン選手がピットイン。翌周にトップを走っていた野尻選手もピットに入りタイヤを交換する。つまり、新しいタイヤでチャージすることで前のドライバーを追い抜くアンダーカット作戦に出たことになる。それに呼応した野尻選手が翌周にピットアウトすると、ローソン選手はすぐ後につけ、アドバンコーナーの手前でアウトから豪快に野尻選手をオーバーテイクしていった。

 ローソン選手の方は1周してタイヤが温まっていたのに対して、野尻選手の方はピットアウトした直後でタイヤが温まっていなかったため、この差になったと考えられる。義務づけられた1回のタイヤ交換組では、トップにはローソン選手、2位には野尻選手とTEAM MUGENが1-2体制に戻った。

 タイヤ交換を引っ張る作戦に出たのが宮田選手と平川亮選手(20号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23)。平川選手は宮田選手を抜き暫定のトップに立ち、TEAM MUGENと同じようなタイムで周回を続けた。32周目に平川選手がタイヤを交換すると、タイヤ交換組では3番手を走っていた山本尚貴選手にも抜かれ4位に落ちる。翌週に宮田選手がタイヤ交換を終えると、1位はローソン選手、2位は野尻選手、3位は山本選手、4位は平川選手、5位は宮田選手、6位は佐藤選手と続いた。

 レースはこれで終わるかと思われた35周目の1コーナーで4位の平川選手が3位の山本選手をオーバーテイクしたその直後、1コーナーで福住仁嶺選手(12号車 ThreeBond Drago CORSE SF23)とジュリアーノ・アレジ選手(36号車 VANTELIN TOM'S SF23)とが絡むクラッシュがあり、デブリが1コーナーに飛び散ったことなどからセーフティカーが導入された。

 結局セーフティカー導入のままレースは終了し、ローソン選手はスーパーフォーミュラのデビュー戦で初優勝を飾った。ローソン選手は、レッドブルの育成ドライバーで、2023年はレッドブル、アルファタウリのリザーブドライバーを務めながらスーパーフォーミュラに参戦している。

 レッドブルの育成ドライバーとしてスーパーフォーミュラに参戦するのは、本年からアルピーヌへ移籍したピエール・ガスリー選手と同じ形で、同選手でさえも成し遂げられなかった初レースで初優勝を成し遂げた形になる。

 2位はチームメイトで昨年のチャンピオンとなる野尻選手。3位はセーフティカーが導入される直前に山本選手をオーバーテイクした平川選手で、ホンダ勢による表彰台独占を辛うじて防いだ。

 4位は山本選手、5位は宮田選手、6位は佐藤選手、7位は大湯選手、8位はこちらもデビューレースとなるジェム・ブリュックバシェ(55号車 TGM GP SF23)、9位は大嶋和也選手(14号車 docomo business ROOKIE SF23)、10位は小高和斗選手(4号車 REALIZE Corporation KONDO SF23)で、ここまでがポイント獲得となった。

順位カーナンバードライバー車両名エンジン周回数
115リアム・ローソンRed Bull MOTUL MUGEN SF23H41
21野尻智紀Red Bull MOTUL MUGEN SF23H41
320平川亮ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23T41
464山本尚貴TCS NAKAJIMA RACING SF23H41
537宮田莉朋VANTELIN TOM’S SF23T41
665佐藤蓮TCS NAKAJIMA RACING SF23H41
753大湯都史樹TGM GP SF23H41
855ジェム・ブリュックバシェTGM GP SF23H41
914大嶋和也docomo business ROOKIE SF23T41
104小高一斗REALIZE Corporation KONDO SF23T41
1119関口雄飛ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23T41
1218国本雄資Kids com KCMG Elyse SF23T41
1350松下信治BYOBUGAURA B-MAX SF23H41
145牧野任祐DOCOMO DANDELION M5S SF23H41
156太田格之進DOCOMO DANDELION M6Y SF23H40
1651ラウル・ハイマンBYOBUGAURA B-MAX SF23H40
1739阪口晴南P.MU/CERUMO・INGING SF23T36
R12福住仁嶺ThreeBond Drago CORSE SF23H35
R36ジュリアーノ・アレジVANTELIN TOM’S SF23T35
R38坪井翔P.MU/CERUMO・INGING SF23T1
R7小林可夢偉Kids com KCMG Cayman SF23T0
R3山下健太REALIZE Corporation KONDO SF23T0
3位に入った平川亮選手(20号車 ITOCHU ENEX TEAM IMPUL SF23)