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日産自動車の「本社硬式野球部」「九州硬式野球部」が活動再開 「横浜F・マリノス」との連携も

2023年9月12日 発表

日産自動車株式会社 常務執行役員(グローバルコミュニケーション本部担当)濱口貞行氏

 日産自動車は9月12日、2009年に休止した「日産自動車本社硬式野球部」「日産自動車九州硬式野球部」の活動を再開すると発表。両チームで日本野球連盟に申請を行ない、承認を得た上で、九州野球部は2024年から、本社野球部は2025年から活動を開始する予定となっている。

 日産の硬式野球部は、本社野球部が1959年、九州野球部が1986年に創部され、半世紀に渡る活動のなかで数多くのプロ野球選手を輩出してきた社会人野球の企業チーム。追浜工場のある神奈川県横須賀市を本拠地とする本社野球部は、これまでに都市対抗野球大会で2回、日本選手権大会で1回の優勝を飾った実績を持つ。

 また、福岡県京都郡を本拠地とする九州野球部は、2010年以降はクラブチームの「苅田ビクトリーズベースボールクラブ」として活動を継続しており、所属する29人の選手のうち、17人が日産自動車九州に在籍するメンバー構成で、2024年からはクラブチームを解散して社会人チームに移行することになる。

2009年の神奈川県大会予選

野球部と「横浜F・マリノス」の連携も視野に

 同日に開催されたオンラインレクチャーでは、日産自動車 常務執行役員(グローバルコミュニケーション本部担当)濱口貞行氏が活動再開の概要について説明。

 濱口氏は、両野球部の活動再開後の目標について都市対抗野球、日本選手権の両大会に出場して勝利を収めることとしつつ、企業市民の一員として、地元地域での野球教室開催、地域で開催されるスポーツイベントへの参加といった活動をつうじて地域社会、日本のスポーツ文化の発展に少しでも寄与することも目的として述べた。なお、両野球部の監督や選手といったチーム体制は、正式決定後に発表するとのこと。

 参加した報道関係者との質疑応答では、長く活動を休止していた野球部を復活させる意義についての説明が求められ、これに対して濱口氏は「私たちが事業を進めていくにあたって、事業構造改革ではいろいろな策を講じており、決めたことをやるべきこととして進めていくのですが、結局、何をするにしてもすべて人が行なうことです。会社というものは人が財産で、その人の心や意識が事業を進めていく上で非常に重要な本質の部分になると思います」。

「今後の自動車業界を考えていく上では、いろいろな課題に失敗を恐れずチャレンジしていくこと、上も下も関係なく意見を言い合えること、そうした企業風土をベースの部分に持っていなければ厳しい時代に勝ち残っていけないと、社長を務めている内田(誠氏)も意識をしているところです。野球自体はわれわれの事業と直接関係しているわけではありませんが、野球部を応援するといった行動が社員の意識向上、意識変革につうじるのではないかという意味合いから今回の決定になったと考えています」と答えた。

自身も小学生から大学卒業まで野球に取り組んでおり、こうした発表ができることは感無量だと語る濱口氏

 チーム体制がクラブチームから社会人チームに変わる九州野球部については、2010年からこれまで13年の活動で日産以外の地域企業からサポートを受けるようになっており、これについてはチームの財産であると考え、社会人チームの移行後も生かしていきたいと説明。日産自動車九州以外の企業に所属する選手については、選手本人の希望、所属企業の意向などを相談の上で決めていくと説明した。

 本社野球部は活動休止後に練習などを行なうグラウンドを手放しており、選手なども移籍して残っていないことから新たなチーム作りが必要になる。このため、横須賀市内にある追浜工場の敷地内など、日産で所有する敷地に練習用グラウンドやクラブハウスなどを整備していく構想を持っているとのこと。

 地域貢献では野球部単体ではなく、会社全体での社会貢献活動の一環として位置付けており、将来を夢見る子供たちに対して野球教室を開催したり、地域で開催されるスポーツイベントへの協力、社会課題になっている学校で行なわれる部活動の支援などにも積極的に関わっていきたいと説明。また、日産がスポンサーを務めているプロサッカーチーム「横浜F・マリノス」との連携、ほかの企業チームとの連携や協力なども実施して地域貢献を進めたいとアピールした。

 なお、ルノーグループとのアライアンス契約が変化したことについては「まったく関係のない話です」と述べている。