ニュース

スズキ、新型「GSX-8R」説明会 カウルを脱いでも美しい進化したスズキスポーツバイク

2024年2月28日 発表

新型「GSX-8R」

 スズキは2月29日、1月25日に発売された新型「GSX-8R」の新商品説明会を開催した。

 同説明会では、新型GSX-8Rのチーフエンジニアである加藤幸生氏のほか、スズキ 二輪事業本部からデザインについて遠藤勇太氏、エンジンについて八木慎太郎氏と柴野謙氏、車体について岡村拓哉氏、走行性能について佐藤洋輔氏が登壇して、新型GSX-8Rの特徴などを説明した。

新型GSX-8Rの開発メンバー。左からスズキ 二輪事業本部の遠藤勇太氏、八木慎太郎氏、加藤幸生氏、柴野謙氏、岡村拓哉氏、佐藤洋輔氏
新型GSX-8R

進化したスズキスポーツバイクを表現するスタイリング

新型GSX-8Rのチーフエンジニアである加藤幸生氏

 新型「GSX-8R」は、スズキ800ccクラスの新型モデルとして登場した、新型「V-STROM 800DE」「V-STROM 800」「GSX-8S」と共通で、新設計の並列2気筒 775cm3エンジンを搭載。「GSX-8S」をベースに、スポーツライディングに適したカウリングやセパレートハンドルを装備し、日常使いやスポーツ走行、ツーリングにも適したモデルに仕上げられた。

 新開発の並列2気筒 775cm3エンジンは、量産二輪車で初めてクランク軸に対して90°に一次バランサーを2軸配置した「スズキクロスバランサー」を採用することで、振動を抑えながら軽量・コンパクト化を実現させたことを特徴としている。

プロダクトコンセプト
進化したスズキスポーツバイクを表現するスタイル

 新型GSX-8Rのチーフエンジニアである加藤幸生氏からは、新型「GSX-8R」のコンセプトについて、スポーツバイクの新機軸になることを掲げ、1番目の特徴に「進化したスズキスポーツバイクを表現するスタイリング」を挙げた。そのほかにも、カウリングを採用することによるスポーツ性やツーリング性能の向上、基本性能の追求と最新電子制御システムといった特徴を紹介した。

スポーツ性・ツーリング性の向上
スポーツ性・ツーリング性の向上
走る、曲がる、止まるの基本性能の追求と、基本性能を活かす最新の電子制御システム

ストリップ状態でも美しく緊張感のある車体

スズキ 二輪事業本部 二輪営業・商品部 デザイングループの遠藤勇太氏

 新型「GSX-8R」のデザインを担当したのは、スズキ 二輪事業本部 二輪営業・商品部 デザイングループの遠藤勇太氏。第43回東京モーターショー2013の出品車両「Recursion(リカージョン)」や2016年の「GSX250R」を担当し、「GSX-8R」のベースとなる「GSX-8S」も遠藤氏が手掛けたモデルとなる。

遠藤氏の経歴

 スズキ800ccクラスの新シリーズについて、遠藤氏は「このシリーズは現在までに計4機種展開されております。私はこのプラットホーム開発の最初期からプロジェクトに参加してまいりました。ストリートファイターとフルカウルスポーツ、さらにはオフロードも想定されたアドベンチャー。これら、かなり幅の広いカテゴリーを1つのプラットフォームで満足させる。それがわれわれ開発に課せられたミッションでした」と明かした。

 加えて、遠藤氏は「当然、求められるスタイリングの方向性も全く異なります。プロジェクトに指名された時、正直かなり大変だなと思いました。しかしその一方で、これがちゃんとできたらすごいぞと、ワクワクしたのを覚えております。今回のプロジェクトでよかったのは、まったくの新開発ということ。車体をレイアウトする時点からデザイン的な視点を盛り込めたのです。このシリーズは機能とデザインが絶妙にバランスしないとうまくいかないということは最初から分かっていました。設計チームの何度も議論を繰り返し、方向性を合わせていきました」と、開発時の様子を話した。

 まず、プロジェクトで初めに行なったのは、どのカテゴリーにおいても美しいと思えるプラットフォーム自体のプロポーションの作り込み。遠藤氏は「アドベンチャーの走破性を満たすためにホイールベースが長くなるのは避けられません。しかし、その上で普通に部品をレイアウトしてしまうと、とても大柄な車体になってしまい、オンロードスポーツにとっては不向きです。そこで車体に関しては、跨ぎを極力細く、前後長は短くすることを目指しました。上物を小さくすることで、踏ん張り感のある力強いシルエットを実現しております」と、各モデルに共通する特徴を話した。

ストリップ状態で美しいプロポーションを実現させた

 遠藤氏は「デザインキーワードの1つにビジュアルストラクチャーというのがありますが、これはこの試行錯誤の中で生み出されたものです。少しでも体積を小さくするために、エンジンやサブフレームなどの機能部品は最初から外観要素として拠出させ、カバー分のボリュームを排除しています。それによって外観だけではなく、驚くほどのまたぎの細さも実現しています」と、機能部品も見せることを想定した開発が行なわれたことを明かした。

 さらに「ケーブル類やエンジンの配管も、この時点で見栄えを考えてレイアウトされています。性能だけではなく、高い外観品質も要求されるので、設計者の皆さんはかなり大変だったと思います。しかし、とても積極的に参加してくれました。特徴的なショートマフラーも、実はエンジン設計さんからの提案です。これらの積み重ねによって、ストリップ状態でも美しく緊張感のある車体ができたのではないかと自負しております」と、これらの取り組みによりカウルを外した状態でも美しいプロポーションを実現させたことを話した。

 そのほかにも、デザインの特徴として“人機一体”が掲げられており、ライダーとマシンが一体となった時の美しいスタイリングも確認してほしい。

カウリングの空力特性
“人機一体”とライダーがバイクに跨った時のスタイリングも確認してほしい
新型「GSX-S1000GX」と新型「GSX-8R」の説明会が同時開催された

【お詫びと訂正】記事初出時の登壇者のお名前について、表記に誤りがありました、お詫びして訂正させていただきます。