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パナソニック「ストラーダ」新製品発表会 2024年モデルのコンセプトは「つながるナビ」

2024年9月12日 開催

2024秋 ストラーダ新製品発表会が開催された

 パナソニック オートモーティブシステムズは9月12日、東京都内において「2024秋 ストラーダ新製品発表会」を開催した。

 新製品はFシリーズとなるフローティング大画面モデルが、10V型有機EL/HD「CN-F1X10C1D」、9V型液晶/HD「CN-F1D9C1D」の2タイプ。価格はオープンプライスで、店頭想定価格は前者が25万円前後、後者が16万円前後。発売は2024年11月下旬を予定。

 7V型液晶を搭載するスタンダードモデルとなるCASEシリーズは、ワイド2DIN対応の「CN-CA01WD」と2DIN対応の「CN-CA01D」の2タイプ。また、特定販路向けとしてワイド2DIN対応の「CN-CE01WD」と、2DIN対応の「CN-CE01D」を設定する。店頭想定価格は前者がともに12万円前後、後者がともに10万円前後となる。こちらは2024年10月発売予定。

10V型の有機ELディスプレイを搭載するCN-F1X10C1D(右)と9V型液晶ディスプレイを搭載するCN-F1D9C1D

 登壇したパナソニック オートモーティブシステムズ インフォテインメントシステムズ事業部 コネクテッドモビリティプロダクツビジネスユニット ビジネスユニット長 渡辺智雄氏は「近年、スマートフォンアプリによるナビゲーションサービスの普及や、自動車メーカーによる車載ナビゲーションシステムの標準装備化」などにより、カーナビゲーションを取り巻く市場環境が大きく変化していると前置き。最近では「車載機器のデジタル化やコネクティブ性の向上により、インフォテインメントは単なるカーナビゲーションシステムを超え、より多様な機能やサービスを提供する方法に進化」していると市場を分析。

パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 インフォテインメントシステムズ事業部 コネクテッドモビリティプロダクツビジネスユニット ビジネスユニット長 渡辺智雄氏

 こうした背景により国内市販カーナビゲーション市場においても「動向を的確に反映した新たな価値を提供する」ことが求められていることから、今回の新製品においてもそうした流れを汲んで「ユーザーニーズを拡大する機能を搭載した新モデル」であると説明。「この製品が国内市販カーナビゲーション市場に新たな息吹をもたらし、エンドユーザーの皆様や販売店様にとっても本当に価値のあるものになることを確信しております」と締めくくった。

 続いてパナソニック オートモーティブシステムズ インフォテインメントシステムズ事業部 コネクテッドモビリティプロダクツビジネスユニット 渡邉洋氏が登壇。

パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社 インフォテインメントシステムズ事業部 コネクテッドモビリティプロダクツビジネスユニット 渡邉洋氏

 イタリア語で“道”を意味するストラーダは「昨年2023年、おかげさまで20周年を迎えることができました」と前置き。2003年に誕生したこのブランドは「当初からAVメディアをクルマの中でも楽しむということに注力をいたしまして、さまざまな取り組みを行なってまいりました」と紹介。その後、2006年には「AV機能を中心にさらに強化しFrom Home to Carをコンセプトに、私どもパナソニックの強みである家電アセットの積極的な活用」で独自の価値を提案。2016年には「“みんなのクルマに大画面”と題しまして、フローティング構造の採用で多くのクルマに装着可能な汎用大画面の“Fシリーズ”を業界に先駆けて発売」し、大画面化&有機ELディスプレイの搭載などにより「徹底的に付加価値を向上」。そして2021年からはプラットフォームを一新し地図表現や基本のナビ機能を大きく進化させたと振り返った。

 こうした進化の背景には業界を取り巻く環境が大きく変化してきたことがあると述べ、中でも「通信インフラの劇的な進化とスマホ、タブレットの普及」「クルマ業界におけるCASEの進展」「契機としたユーザーの行動変容」の3つは「我々の業界に大きな影響を与えた」とコメント。そして「これからも環境変化はさらに加速度を増していくものと想定されます。ストラーダは、次の10年に向けて、これまで同様、時代の変化をしっかりと捉えながら、絶えざる進化を遂げていかなければなりません。そしてストラーダのブランドコンセプトである“お客様の心を動かす商品やサービス”を当社はこれからも提供し続けてまいります」と、今後もユーザーニーズを見据えた進化を続けていくことを約束した。

 新モデルの開発にあたっては、今後の市販ナビゲーションが「新車購入時の需要が大きく減る一方で、クルマの保有期間の長期間を背景に既販車の買い換え需要は堅調に推移する」と予測。そのため「台数規模を追うということではなく、着実にユーザー価値を高め、単価を維持または向上させるとともに、既販車ユーザーの買い替え需要を促進」していくことを目標に定めた。

 機能面では近年、ユーザーの車内での過ごし方が変化してきており、「食事や休憩など移動以外でも車室空間を利用するユーザーが33パーセント存在」しており、移動時間以外の隙間時間を有効に活用するために「インターネットや動画、それから音楽などのコンテンツの利用はクルマの中でも今や欠かせないツール」となっていると分析。こうしたユーザー動向を踏まえ、「つながるナビをコンセプトにした」という新ストラーダをアンベールした。

2023年に20周年を迎えた
20年の歩み
市場の変化
市販カーナビゲーションの市場動向予測
ユーザー意識調査
アンベールされた新ストラーダ

 新モデルは「インターネットにつながることで、より充実したコンテンツをナビの大画面で楽しむことができ、しかもそれを簡単に便利にすることで、 車室空間をより快適、安心で心地よいものにしていく」のがコンセプトだと説明。その特徴として「ネット動画サービスへの対応」「Apple CarPlay、Android Autoへのワイヤレス接続対応」「最新の地図コンテンツへの対応」の3つを挙げた。

 まず、ネット動画サービスへの対応は「映像ディスクの販売及びレンタルの市場がここ数年大きくシュリンクする一方で、有料の動画配信サービスの市場はこの10年で実に約10倍まで急拡大」しており、独自の調査でも「ネット動画や音楽再生が最も望まれている」とユーザー動向の変化を紹介。「YouTubeやPrime Video、TVerなど多くのユーザーの方々がご使用になっております配信サービスに対応し、スマホアプリ不要でwifi接続をすることにより、ナビの大画面でこの動画ネットサービスを視聴することができる機能」だと説明。「今やスマホやご家庭で当たり前になりつつあるオンデマンドの動画配信サービスを、クルマでも好きな時に使用できることは、ドライバーやパッセンジャーにとって非常に価値が高いものと考えております」と述べた。

新たな価値の提案
主な新機能
動画視聴環境の変化
ユーザーニーズ
7つの動画配信サービスに対応

 また「いつも使用するスマホアプリを買わなくても安全に使いたい」というニーズが高いことから、Apple CarPlay、Android Autoへも対応。従来からのケーブル接続も可能だが「ワイヤレス接続が圧倒的にオススメです」と紹介。なお、7インチモデルはバージョンアップでの対応になるが、これはその後のセッションで発売時期が7インチモデルが10月上旬、Fシリーズが11月下旬発売予定であることから、後者と同じタイミングでの利用開始となるとの説明がなされた。

Apple CarPlay、Android Autoに対応
ユーザーニーズ
ケーブル接続だけでなくワイヤレス接続にも対応

 3つ目の最新地図コンテンツへの対応は、「地図の無料ダウンロードですとか自動更新などの機能が特にニーズとして高い」ものの、「地図が古くなっても地図更新を行わないユーザーが実に70パーセントを超えている。その要因として更新が面倒であったり、地図更新のコスト負担が大きい」のが実態と説明。そこで、新型では「ワンタッチ地図更新」 「オンライン名称検索」と2つの新機能を搭載。前者は「ネットにつなぐだけでアプリを介さずに最長3年間、無料で簡単、お手軽に最新の地図にアップデート」が、後者は「最新のスポットやグルメ情報をネットで検索し、ナビの目的地として設定」することが可能となっており、「ネットにつながることで得られる大きな優位性」だと述べた。

地図におけるユーザーニーズ
手軽な地図更新を求めるニーズが高い
最長3年間無料で地図更新が可能
オンライン名称検索に対応

 そのほかの特長として“音”を挙げ「ストラーダサウンドエンジンということで、 音の解像度、広がりを実現する新たなパーツの選定と、パーツのポテンシャルを最大限に引き出す設定によりまして、よりクリアなサウンドへとアップデートしている」と紹介した。

そのほかの進化ポイント
2024モデルのラインアップ
国内新工場で全モデルを生産

2024年モデルのタッチアンドトライ

 発表会後に短い時間ながらも実機に触れる機会が用意された。あまり深く試すことはできなかったが、スタッフに聞いた話などを含めて紹介しよう。

 大きなポイントとなるネット動画の対応は現状では7つの配信サービスに対応する。対応していないサービスについては、今後対応する可能性が「なくはない」とのこと。とはいえ、動画配信サービス側の意向(移動体への配信を許可するか否か)が大きいため、今後の対応はなかなか難しそうではある。ちなみにPrime Video内で提供される他の動画配信サービスも視聴できないそうだ。このあたりは今後の緩和に期待したいところ。

 対応している配信サービスに関してはブラウザ上での視聴となるため、普通にパソコンで見ているようなイメージでとても快適に見ることができた。従来モデルでもアプリを入れたり、Fire TV stickのような機器を接続したりすれば視聴は可能だが、単体で複数のサービスに対応しているのはやはりお手軽。操作性に関しても拡大、縮小、全画面などが可能で、レスポンスも不満を感じないレベル。映像に関しては、とくに有機ELのHDパネル(1280×720ピクセル)を搭載するCN-F1X10C1Dでは文句ナシに美しく、10V型の大きな画面とあいまって迫力も十分だ。

 一方、新型ではBlu-rayやDVDといった光学メディアが非対応となってしまった。需要が減っているということもあるが、ちょっと残念な感じもする。そちらが欲しいユーザー向けには旧モデルをしばらく並行販売することで対応するという。とはいえ、期間も限られてしまうだろうから、Blu-rayプレーヤーが必須という向きは早めに旧モデルの購入を検討した方が良さそうだ。

 オンライン名称検索に関してはあまり多くを試すことはできなかったものの、ちょっとクセがあると感じた。というのも、施設や店舗などは見つけることができるものの、地名などは施設名に紐付いていないと探すことができないようだった。あくまでも「名称検索」な感じだ。もっとも、目的地を探すことが優先なのだから、この方が紛れが少なくなっていいのかもしれない。

 最近では採用例が多くなってきたオンライン地図更新は間違いなく便利な機能。道路データは2か月に1度(期間中最大18回)、地図情報は4か月に1度の更新となるとのこと。全地図更新は期間中1回のみだが、こちらはデータ量が大きくなるので、パソコンでデータをダウンロードしてSDカード経由でアップデートする従来方式の方がよさそう。もちろん、差分更新もSDカード経由でもOKだという。

 ナビまわりには大きな変更がないものの、オーディオまわりに関しては大きなアップデートが加えられている。オーディオはメカレスとなったこともあり、基板から新設計となったという。CN-F1X10C1Dではサンプリング周波数192kHzに対応したデジタルアンプのほか、専用のカスタムコンデンサなどを採用することにより、低音の迫力や立体感、広がりなどがアップしているという。なお、192kHzでのサンプリングはSDカードとUSBメモリーの音源が対応するとのこと。

 今回の新しいストラーダ、フローティングタイプならではの大画面や画面の角度調整は受け継いでおり、対応車種は540車種以上となった。Apple CarPlayやAndroid Autoのワイヤレス接続など、今回試すことができなかった機能はあるものの、新モデルらしい魅力は十分だと感じられた。

CN-F1X10C1D
有機ELディスプレイを採用しているため角度があっても映像は美しい
ディスプレイ上のハードキー
新モデルはメカレスとなった。マイクロSDカードは対応
フタを開けると充電用のUSB端子(15W3A)がある。フタの構造(開閉機構)は変更になるとのこと
WiFi接続は画面上のアイコンで確認できる
Apple CarPlayやAndroid Autoのワイヤレス接続に対応
7つの動画サービスに対応。従来からの自宅のレコーダー映像をリモート視聴できるレコーダーリンク機能も搭載
YouTubeを見てみた
CarWatchチャンネルを表示
全画面表示ももちろん可能
2トップメニューを継承
AVメニュー
ナビメニュー
音の匠も引き続き搭載される
スタンダードモデルとなるCN-CA01WD。ワイド2DINタイプは右側にハードキーが用意される