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ホンダ、初夏発売の新型「アコード」用パワートレーン「スポーツハイブリッド i-MMD」

2モーター ハイブリッドと、2モーター プラグイン ハイブリッドを用意

直列4気筒2.0リッターアトキソンサイクルガソリンエンジン+走行用モーター・発電用モーターからなる電気CVT
2013年3月15日開催

スポーツハイブリッド i-MMD統括責任者 本田技術研究所 四輪R&Dセンター 島田裕央氏

 本田技研工業は3月15日、初夏に発売する新型「アコード」のパワートレーン「スポーツハイブリッド i-MMD」の技術説明会を開催した。スポーツハイブリッド i-MMDは、直列4気筒2.0リッターアトキソンサイクルガソリンエンジン+走行用モーター・発電用モーターからなる電気CVT、PCU(パワーコントロールユニット)、リチウムイオンバッテリーからなり、ハイブリッドとプラグインハイブリッドが用意される。

 スポーツハイブリッド i-MMDの目的は、モーター、ガソリンエンジンそれぞれ特性の異なるパワーユニットを最大効率で利用すること。そのため、モーターは、走行用モーター、発電用モーターの2つを搭載。エンジンは、直列4気筒 2.0リッター i-VTECエンジンで、アトキンソンサイクルのプロファイルを持つ燃費カムと、オットーサイクルのプロファイルを持つ出力カムをVTEC機構で切り替え可能なほか、VTC(バリアブルタイミングカム)機構も搭載する。このエンジン単体で10%の燃料消費率低減を果たしている。

HONDA SPORT HYBRID i-MMD New Accord (映像の車は北米仕様の新型アコードになります)
スポーツハイブリッド i-MMD搭載試作車
スポーツハイブリッド i-MMD プラグイン搭載試作車

 それぞれのカムでのエンジン最高回転数は、出力カムが6500rpm、燃費カムが4500rpm。4300rpm近辺の領域に燃費カムと出力カムの切り替えポイントがあるもの、VTC機構もあり「違いによるエンジンフィーリングの違いは分からない」とのことだ。

クラスごとに、1モーター、2モーター、3モーターのハイブリッドシステムを使い分けていく
ミドルクラスに投入する2モーターハイブリッドのスポーツハイブリッド i-MMD
システム概要
主要諸元
システム最高出力146kW(199PS)
エンジン最高出力105kW(143PS)/6200rpm
エンジン最大トルク165Nm(16.8kgm)/4500rpm
走行モーター最高出力124kW(169PS)
走行モーター最高トルク307Nm(31.3kgm)
バッテリー1.3kWh リチウムイオンバッテリー

 走行用モーターと発電用モーター、それにエンジン直結湿式多板クラッチを組み合わせて電気CVTを構成。この機構により、多彩な走行モードを作り出している。

 走行モードは、以下の3モードを用意。

・EVドライブモード
 バッテリーエネルギーをPCU(パワーコントールユニット)で最適な電力に制御し走行用モーターを駆動。エネルギー回生時は、逆の流れとなる。

・ハイブリッドドライブモード
 エンジンが発電用モーターを回し、作られた電気をPCUへ。PCUで最適な電力に変換し、走行用モーターを駆動。いわゆるシリーズハイブリッド駆動となる。

・エンジン直結ドライブモード
 エンジン直結クラッチにより、エンジン動力をそのまま駆動力へ。同時に走行用モーターを使ってアシストや回生が可能。

3つの走行モード
スポーツハイブリッド i-MMD構成デバイス
駆動力の流れ
エンジン効率と、各走行モード

 低速域ではEVドライブモードで、加速時にはエンジンからの発電を加えるハイブリッドドライブモードで、高速巡航時はエンジンの駆動力をそのまま使うエンジン直結ドライブモードで走行。電気CVTは、エンジン直結時は固定ギアとなり、「100km/h巡航時で2200rpm~2300rpm程度」のギア比になっていると言う。

2.0リッター アトキンソンサイクルガソリンエンジン。カムプロフィールの違いに注目していただきたい
スポーツハイブリッド i-MMDのポジショニング
エンジンによる発電が加わった加速は、従来のハイブリッド車に比べて優れると言う
直列4気筒2.0リッターアトキソンサイクルガソリンエンジン+走行用モーター・発電用モーターからなる電気CVT
左が走行用モーター、右が発電用モーター
ベルトレスのエンジンとなっている
ヘッドカバーには、EARTH DREAMS TECHNOLOGYのロゴが刻まれる
ヘリカルギアの右に見えるのが、エンジン直結用の湿式多板クラッチ
クラッチを湿式多板にしたのは、オイル潤滑を行うエリアにコンパクトに配置するという意図もあるとのこと
発電用モーター
発電用モーターの巻線
走行用モーターの巻線
直列4気筒2.0リッターアトキソンサイクルガソリンエンジンのエンジンヘッド部。プロファイルの異なるカムが配置されているのが分かる

 また、エネルギー回生の効率向上と、エネルギーロス低減のため、電動ウォーターポンプと、電動サーボブレーキを採用。電動ウォーターポンプの採用により、エンジン部分はベルトレスとなり、すっきりした外観を持つ。一方電動サーボブレーキは、4輪市販車初の電動ブレーキシステムとなり、電動パワートレーンと協調することで、減速エネルギーを高効率に回収。回生効率を8%向上している。

電動サーボブレーキ。電気的なブレーキコントロールを加えて回生効率を向上させている。フェイルセーフのために油圧のみでの動作も可能

 このスポーツハイブリッド i-MMDには、2モーターハイブリッドの通常システムに加え、6.7kWhの大容量リチウムイオンバッテリー、充電用回路「オンボードチャージャー」、充電リッドを加えた2モータープラグインハイブリッドも用意。新型「アコード プラグイン ハイブリッド」は、官庁、法人向けのリース販売が予定されている。

スポーツハイブリッド i-MMD プラグインのシステム概要
プラグインハイブリッドで追加されるデバイス
大容量リチウムイオンバッテリー
多数のバッテリーセルが並んでいる
オンボードチャージャー
多数のコンデンサーが林立している
基板上にはカスタムIC
DC/DCコンバーター
DC/DCコンバーターの基板
端子部
プラグインハイブリッドデバイスの横に展示されていた普通充電器

 3つのモードを使い分けて、世界最高効率と言う2モーターハイブリッドシステムを搭載した新型アコード ハイブリッドのEPA燃費は、市街地走行47MPGe(マイル/ガロン換算)、高速走行46MPGe、市街地・高速混合走行46MPGe。2モータープラグインハイブリッドシステムを搭載した新型アコード プラグイン ハイブリッドは市街地・高速混合走行115MPGeとなる。

 ホンダは、走りと燃費を高次元で両立させる新世代パワートレイン技術「EARTH DREAMS TECHNOLOGY(アース・ドリームス・テクノロジー)」搭載車両の
発売準備を進めており、3モーターの「SPORT HYBRID SH-AWD(SPORT HYBRID Super Handling - All Wheel Drive)」、1モーターの「SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive」と合わせて、サイズや出力クラスによって使い分けていく。

(編集部:谷川 潔)