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BMW、次世代のプレミアムブランド「BMW i」を発表
使用部材から生産体制、実走行まで「サステイナビリティ」を追求する
(2013/11/15 20:36)
ビー・エム・ダブリューは11月13日、次世代を見据えた持続可能性を提案するBMWのサブブランド「BMW i」を国内で展開することを発表。第1弾として「BMW i3」「BMW i8」という2台の革新的なモデルを2014年から順次発売していくとアナウンスした。
BMW iはEV(電気自動車)やプラグインハイブリッドなどの次世代車両をラインアップするBMWの次世代プレミアムブランドで、すでにドイツ本国では9月のフランクフルトモーターショーで市販モデルの発表が行われている。日本でも、2012年の秋に世界7都市を巡って開催された「BMW i BORN ELECTRIC TOUR」においてブランドの概要のほか、当時はコンセプトカーだったアーバンモビリティのBMW i3とハイパフォーマンスのプラグインハイブリッドであるBMW i8がお披露目された。
発表会でステージに登壇したビー・エム・ダブリューのアラン・ハリス社長は、「evolution(革新的)」「sustainability(持続可能性)」というBMW iのキーワードとなる2つの言葉を使い、どのようなブランドで、どんな哲学を持っているか、そして今までの自動車との根本的な違いを解説した。
BMW i3のパワートレーンは、電気モーターをリアに装備したEVと、長距離の走行も可能にするレンジエクステンダー付きの2モデル。レンジエクステンダーには直列2気筒の647ccエンジンを使う。一方のBMW i8は、フロントの電気モーターとリアの直列3気筒1499ccターボエンジンによるプラグインハイブリッドになる。
両モデルともボディーとシャシーに革新的な技術を用いていて、それが「LifeDrive構造」と呼ばれるもの。ボディーとシャシーを分割したコンポーネントで、「Drive Module(ドライブモジュール)」というシャシーはアルミニウム製で、バッテリーや電気モーターなどを収納している。このシャシー上部には「Life Module(ライフモジュール)」と呼ばれるボディーがあり、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製となる。量産車のモノコックでほぼすべてをCFRP製にするのはBMW iが初めて。このライフモジュールに使用している炭素繊維を生産するためにアメリカに工場を設けた。
CFRPモノコックを使用することは革新的だが、パワートレーンのスペックだけを見ると、他メーカーが生産しているモデルと比べて秀でているとは言えない。だが、BMW iが次世代のプレミアムブランドであるところは、生産工程、インテリアとエクステリアの使用素材、果ては工場で使用する電力や水まで、すべての分野に渡り環境への配慮がなされているところだ。つまり、生産段階からユーザーが走行する自動車が関わるあらゆる場面で再生可能な素材やエネルギーを積極的に使い、持続可能な社会を作り上げていくということになる。
例えば、BMW iの生産ラインのあるライプツィヒ工場では、従来の生産ラインと比べて使用エネルギーを50%、利用する水を70%削減している。50%に削減したエネルギーも工場内に建てた4基の風車によって賄っている。つまり、BMW iを生産するために使うエネルギーはすべて再生可能エネルギーとなる。また、ライフモジュールに使用する炭素繊維は、アメリカ・ワシントン州モーゼスレイクにあるSGL ACF工場で生産されており、この工場で利用するエネルギーは100%水力発電で賄われている。
インテリアで使用する素材にも持続可能性の考え方が取り入れられていて、BMW i3に使用されるプラスチックの25%はリサイクル材料か再生可能原料を用いる。シート生地では、PETボトルのリサイクル材を100%利用。ダッシュボードやドアパネルに一部では天然素材のケナフ麻の繊維を使用するなど、インテリアのあらゆる部分で環境に配慮した素材やリサイクルで生まれ変わったパーツを採用している。
このように、次世代のプレミアムブランドとして位置づけられたBMW iの2モデルは、単なるEVやプラグインハイブリッドのニューモデルではない。車両に使われている素材や部品は天然素材やリサイクル材を多く採用し、車両を生産する工場のエネルギーは再生可能な水力や風力を使用する。燃費やCO2排出といった自動車を運転するときの環境配慮だけでなく、使用部材から生産、実走行まで包括的に持続可能な社会を作り上げていくというのがBMW iが掲げるフィロソフィーであり、最大の特徴になる。