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「34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3」応援レポート。セットアップも走りも最後まで諦めない! 苦戦の予想を覆し、難コースのオートポリスで表彰台ゲット

Round7 AUTO POLIS GT300km RACE

2018年10月20日~21日 開催

 10月21日の速報記事でもお伝えしたように、SUPER GTに参戦する34号車 Modulo KENWOOD NSX GT3が、大分県のオートポリスで行なわれたSUPER GT 第7戦でGT300クラスの3位に入賞。参戦1年目ながら表彰台の一角を獲得した!

 34号車と言えば、富士スピードウェイで行なわれた第5戦でクラッシュに巻き込まれてマシンが全損。一時は以後の参戦が危ぶまれるまで追い込まれたが、関係者の努力により、クラッシュから約3週間後に行なわれた「SUZUKA 10 HOURS ENDURANCE RACE」に新車を投入して見事復活。

 そして9月15日~16日に行なわれた第6戦スポーツランドSUGOでは道上龍選手がチャンスを作り、大津弘樹選手がそれに応える見事なオーバーテイク劇を見せ、最終ラップのゴール前では5位のポジションから一気に前の2台を抜きに掛かる。そして3位とほぼ同時ゴール。惜しくも約0.057秒差で4位となるが、この追い上げはサーキット全体を湧かせた。

34号車の2人が3位表彰台に上がる! SUPER GT第7戦オートポリスはチームにとって忘れられないレースとなった
NSX GT3という注目度の高いマシンに、ホンダを代表するドライバーの道上龍選手、そして注目の若手ドライバーである大津弘樹選手というパッケージは参戦当初から周囲に期待されていた。そしていよいよ見せ場を作ってきた

 そんな勢い持ったまま迎えた第7戦だが、土曜日(10月20日)の走り始めは苦戦から始まった。

 34号車はターボ車なのでストレートは速いが、オートポリス後半のテクニカルセクションでは前半の高速区間で作ったマージンをすべてはき出してしまう状態。また、アスファルトの表面が粗いオートポリスでは、クルマのセットアップが決まっていないとタイヤの負担が増え、その結果タイヤ摩耗が早く進む傾向。しかもコース上にはタイヤカスが多く出るので、それをマシンのタイヤが拾うことによるグリップダウンとバイブレーション(いわゆるピックアップ)に悩まされることとなった。

気温が低く、持ち込んだタイヤと路面のマッチングもよくない。ピットではタイヤを少しでも温めておくため、テント内の日向にタイヤを置いていた
公式練習で最初に乗ったのは道上選手。タイヤのグリップダウンに悩まされていた
タイヤの摩耗状態もよくなく、ピックアップにも悩まされた公式練習。この時点では、今回のレースはかなり厳しくなりそうな雰囲気だった
チョン・ヨンフン監督もタイヤハウスをのぞき込んでチーフメカニックと話し合う。土曜日の午前中は、いつもより厳しい状況ということが見ていて分かるほどだった
小まめにピットインしてセットアップを変更する。路面に見えているのがタイヤカス。アスファルトの表面が粗いオートポリスでは、他のサーキットよりタイヤカスを拾うことによる走りへの影響が出やすいという
大津選手もドライブするが、やはり苦戦。クルマを降りてすぐにチョン監督と話をする

 午前中の公式練習では厳しい状態だったが、午後の予選のときは気温も上がってタイヤにはいい条件となった。また、チームもドライバーのコメントを元にセットアップを換えて予選に備える。それでも連続アタックができるほどではないということで、34号車の予選アタックは両選手とも一発勝負となった。

 その結果、道上選手が担当したQ1は5位、大津選手が担当したQ2は7位。苦戦していながら決勝に向けて期待が持てるグリッドを獲得した。このあたりからも34号車が強くなってきていることを感じる。

Q1は道上選手が担当した。公式練習終了から予選までの短い間に、チョン監督はセットアップを練ってその仕様に変更
道上選手のアタック中、無線で状況を聞く大津選手。タイヤのことが気になっているようだった
セットアップの変更が効果を発揮して、Q1では5位のポジションを獲得。しかし、タイヤと路面のマッチングには問題があるようで横浜タイヤのスタッフと話し合う
Q2は大津選手が担当。チョン監督、道上選手が見守るなかピットアウトして7位を獲得した。予選後の会見では「ミスもしたけど、まとめられていても上位を取るのは難しかった」と語り、厳しい状況だったことを感じさせるコメントだった
Q2終了直後もすぐにセットアップについて話し合う。ここでドライバーから聞いたコメントをベースに、チョン監督がセットアップの方向を決めていく
ここからは、予選時に見かけた34号車の機械的な小ネタを紹介しよう。これはホイールのバルブ部に付けられたタイヤの空気圧モニター。センサーと送信機が一体式となっており、走行中のリアルタイムの空気圧をドライバーがコクピットで確認できる
NSX GT3はラジエターが車両前方にあり、そこからリアのエンジンへ冷却水パイプが伸びている。ラジエターを出た後のところでパイプに遮熱布が巻いてあったのが気になり、チーフメカニックの新保氏に理由を聞いてみると、フロア下を通る冷却水パイプからの熱でフロアが熱くなるので、ドライバーから対策の要請が出たためとのことだった
こちらはリアのレーンホースに付いているサイレンサーステー。ターンバックル式でメカ好きには魅力的な作りになっている。ただ、ターンバックルである理由はレースカーゆえに組み付け精度が今ひとつなので、最終的に位置の調整を行なうためという。「角度を変えると空力的に~」という感じの回答を期待していたが、いたって普通の理由だった
予選の後は、決勝に向けたセットアップの変更と各部の増し締めチェックなどを行なう。セットアップの変更だけなら使用工具は限定されるが、各部のチェックとなれば多くの箇所に工具を使う。そのため、レースウィークを通じて最も多くの工具がトレイに載るのはたいてい予選後だ
こちらは34号車のメカニックさんが使っていたドライカーボンのトレイ。GT500クラスのチームにいるときに、GT500マシン用の素材の余りで作ったワンオフ品とのこと。カッコいいのでつい撮影してしまった
予選日の最後にはピットワークの練習も行なう。ドライバー交代、燃料給油機の操作、タイヤ交換を行ない、それぞれでタイムを計測する
土曜日の昼にもピットウォークはあるが、お子さん連れの場合は夕方に行なうキッズウォークへの参加がお勧め。空いているので歩きやすく、多くのチームのピットを見に行けるはずだ

 迎えた決勝日(10月20日)。34号車は昨日のうちにドライバーの意見や走行データなどを元に導き出したセットアップに変更。決勝日のウォームアップ走行で確認したところ、これも今ひとつという結果。

 ウォームアップ走行から決勝レースが始まるまでの時間、再びデータとにらめっこしたチョン監督。そこでこれまでに試したことのないセットアップを見つけ、グリッド上で調整し直した。

新しいセットアップをウォームアップ走行で試すが、結果は今ひとつ。ギリギリまで修正点を探る
スタートグリッドの風景。日差しは強いが気温はさほど上がっていない。ターボ車にとっては有利な条件
今回、Moduloスマイルの安藤麻貴さんは64号車の応援にまわっていた
周囲は華やかな雰囲気だが、メカニックは黙々と仕事をこなす。グリッド上で最後のセットアップ変更を行なった

「強い34号車」を印象付けて3位表彰台獲得!

 決勝のスタートドライバーは道上選手。キレイなスタートを切った34号車は序盤にスルスルと5位まで順位を上げ、その順位をキープする。20周目にGT300クラスの30号車 TOYOTA PRIUS apr GT(永井宏明/織戸学組)が第3セクターでスピンしてグラベルでストップ。

 この処理のためにセーフティカーが導入された後にレース再開となるが、今回は決勝へ向けたセットアップが決まっていたので、34号車はタイヤが消耗している状況でも安定したラップが刻める状態。

快調なスタートを切った34号車。最後に施したセットアップがキマりバランスが向上。序盤で順位を5位まで上げる

 前を走る61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(井口卓人/山内英輝組)と10号車 GAINER TANAX triple a GT-R(星野一樹/吉田広樹組)を追いたてるが、セーフティカーが抜けた後の混戦では速さを生かせないと判断した道上選手は早めのピットインを選択。調子を上げている大津選手に後を託した。

 ピットインでタイヤを4本交換と燃料補給が素早く行なわれ、34号車はピットアウトして17位でコースに復帰。そして他チームがピットに入るたびに順位は上がり、サーキット全体からの注目度が高まる。

道上選手から大津選手へドライバー交代。タイヤの持ちも心配ないということで、大津選手は終始攻めの走りを見せた

 お膳立てができたあとに見せ場が来た。49周目からSUGOに続いて「大津選手のオーバーテイクショー」が始まったのだ。まずは65号車 LEON CVSTOS AMG(黒澤治樹/蒲生尚弥組)を抜き去って4位となったあと、残り4周の第1コーナーでは34号車の利点であるストレートの速さを生かして11号車 GAINER TANAX GT-R(平中克幸/安田裕信組)に並びかけ、インを突く。

 11号車と並走して1コーナーに入るが大津選手は一歩も引かない。2台は側面同士が軽く接触するが、攻めの気持ちが強かった大津選手がここで3位に上がる。このシーンは場内映像でも押さえられていたので、オーバーテイクの瞬間に34号車のピットは大きく湧いた。

 SUPER GTの歴史に残るようなSUGOでの連続追い抜きもすごかったが、今回は気迫ある走りの末の追い抜きで「強い34号車」の印象を見せつけるものだった。そして大津選手は残り周回で11号車との差を広げ、3位のポジションを守りきってチェッカー! 参戦1年目にして早くも初表彰台をもぎ取ったのだ。

SUGOに続いて見せてくれた大津選手のオーバーテイクショー。残り4周で3位にアップ。そしてチェッカー!
ゴール前の光景。チェッカーが近づくとModuloスマイル、Moduloプリティはすでに泣き顔になる
そしてチェッカー! チームクルーは大いに湧く
表彰台へ上がるのはチーム初のこと。それに道上選手もGT300クラスでは初、さらに大津選手はSUPER GTでの記念すべき初表彰台と、初づくしとなった今回の成績。道上選手、大津選手の笑顔が印象的だった
ベストパフォーマンス賞も受賞。表彰台に上がる光景をこれからもたくさん見せてほしい

「最後は“優勝”で終わりたい」と大津選手

会見場に3人が登場すると大きな拍手が湧いた。笑顔が多く、いい雰囲気で行なわれた会見だった

 歓びの表彰台の後に行なわれた会見。まずは今の気持ちを語ってもらった。道上選手は「今年の最初の感覚では、このシーズン中に表彰台に上がるのは厳しいかなと思っていたのですが、前回のSUGOからクルマのバランスがよくなって方向性が見えてきたなかでの今回のレースでした。とはいうものの、昨日の走り始めではクルマのフィーリングがよくなくて“厳しいな”という感じはありましたが、3位という結果になったことは大変うれしいことです」と語った。

 次にレース展開については「走り始めから路面状況のわるさとタイヤに関して問題があり、決勝日も気温が上がる予報でした。そんなところから、ボクのなかではタイヤは厳しいんじゃないかなという考えでした。ウォームアップ走行ではミディアムハードタイヤを選び、決勝を見据えて燃料を多く積んで走りましたが、やはりバランスはよくなかったです。柔らかめのタイヤを履いたらもっとわるくなると感じていたので、スタートギリギリまでチョン監督と話をして、セットアップを変更することにしたんです。そしてスタートしたらこれがバランスがよくて、これなら(タイヤが)持つという感触を得ました。今回は18周くらいでピットに入る予定でしたが、セーフティカーが入ったので25周くらいまで引っ張ることができ、その間に無線で大津(選手)も同じミディアムで行こうと連絡しました」とのこと。

ゴール後に最も笑顔だったのが道上選手。SUGOのレースからクルマのバランスが向上してきたという。次戦に向けては「NSX GT3はトルクもあるしストレートの伸びもいいので、そこを生かしていけるようにしていくことに加えて、コーナリングスピードも高めていけるように仕上げていきたいと思います。頑張ります」と語った

 続いて大津選手からは「昨日までのクルマはあまりいいフィーリングではなかったのですが、レースがスタートすると道上さんがいいペースで走れていて、タイヤもマッチングがいいようでした。交代してからはただ走っているだけだと前には追いつかないと思って、集中してミスなく攻めていくことを心がけて走りました。その結果、最後に抜けたのでよかったです」というコメントだった。

 レース内容については「結果はよかったのですが、実際はタイヤのグリップダウンは感じていました。ただ、滑っていると感じるわりにはまわりとタイムがあまり変わらない状況でした。途中、5号車に攻められて抑えるのに必死になったときもありますが、間に25号車が入ってからは楽になり、自分の走りに集中することができました」とのこと。

 また、大津選手はSUGOに続いて今回も見応えのある追い抜きを見せてくれたが、これについては「11号車は最終コーナーが苦手なようで、離れても最終コーナーで追いつくという感じでした。それにストレートでもスリップも入れたので、1コーナーで勝負を掛けました。最初はアウトから抜きにいきましたがこれはダメだったので、次はイン側に出てギリギリまで粘ったら抜けたという感じです」と状況を説明。

 このコメントに対して道上選手は「相手が平中選手なので手強いじゃないですか。ボクとしては、失敗してもいいし飛び出してもいいので“仕掛けてほしい”と思ってました。抜くときに少し接触がありましたが、完全に並んでからの接触なのでペナルティもなかったですしね。とにかく、スゴくいいオーバーテイクだったと思いますよ」と大津選手の走りを高く評価した。

静かに燃えるタイプ(!?)の大津選手。日ごろはあまり表情を変えないが、表彰台ではこれまでにない表情を見せた。次戦への意気込みは「富士のクラッシュからクルマに関わる全員が努力して来ました。そして1つでも上の順位を目指してきて、前回が4位、今回が3位です。これは本当にチームの力だと思うので、最後は“優勝”で終わりたいと思っています」という、聞きたかったひと言で締めくくってくれた

 チョン監督は「自分の個人的な目標として、今年1回は表彰台を獲得したいと思っていたので本当に嬉しいです。クルマについては、初日から路面の状況やクルマのバランスなどがあまりよくなく、対策としてやったことから得るものがあまりなかったので、方向を決めるのにけっこう悩んでいました。決勝日のウォームアップ走行でもパッとしない印象でした。そこでこれまでのデータをもう1度見直し、そこから考えた対策をグリッド上で施しました。これまでにやったことがないような内容でしたが、これがよかったのかなという感じです」と語った。

今回はとても悩んだというチョン監督。しかし、最後に導き出したセットアップが大正解。とても頼りになる監督だ

「Modulo Drago CORSEトークショー」での新田選手の発言が現実に!?

毎戦、イベント広場に展開しているホンダブース。白地に赤で書かれた「Honda Racing」が目印

 さて、レースの話に続いて、34号車をサポートするホンダアクセスがレース会場で毎回行なっていることについて改めて紹介しよう。

 各サーキットでは毎回、SUPER GTスクエアと呼ばれるイベント広場で、自動車メーカーをはじめとする協賛各社のブースや物販テントが並び、レース期間中は大勢の来場者で賑わう。その中に「ホンダ」のテントがあり、そこにはホンダアクセスが車両(オートポリスでは「S660 Modulo X」と「S660 Neo Classic」)を展示。物販コーナーでは34号車応援グッズをはじめとしたオリジナルグッズも販売している。

ホンダアクセスの車両展示。こちらは発売されたばかりの「S660 Neo Classic」(ボディキット装着車)
「S660 Modulo X」。トップキャリアやスカイサウンド インターナビなど、最新の純正アクセサリーも装着されている
こちらは軽自動車「N-VAN」を使ったModuloオフィシャルショップ
絵柄が毎戦変わる「ご当地くるタム」のトートバッグ。今回は大分県の名物である温泉から“ゆげタム”

 テント内にあるステージでは、Modulo Xシリーズの開発秘話などを紹介する「Modulo Xトークショー」(登壇者はホンダアクセス Modulo開発責任者 福田正剛氏とModulo開発アドバイザーの土屋圭市氏)や、34号車に華を添える存在のModuloスマイル、Moduloプリティ、KENWOODレディが登場する「Moduloスマイル on STAGE」が開催されている。

土屋圭市氏と福田正剛氏の「Modulo Xトークショー」。MCは水村リアさん。最後には土屋氏からのプレゼントとサイン入りModuloオリジナルトートバッグがもらえるジャンケン大会も行なわれた
Modulo X開発アドバイザーの土屋圭市氏
ホンダアクセス Modulo開発責任者の福田正剛氏
大人気の「Moduloスマイル on STAGE」。こちらも最後に全員のサイン入りトートバッグを掛けたジャンケン大会がある

 決勝日の朝一番には、道上選手と大津選手による「Modulo Drago CORSEトークショー」を開催。このステージでは、毎回GT300クラスのライバルチームに所属するドライバーをゲストに招いているが、オートポリスでは今回のレースでGT300クラスの優勝を飾った96号車 K-tunes RC F GT3に乗る新田守男選手と中山雄一選手が登場。

日曜日の朝イチに行なわれる人気ステージが「Modulo Drago CORSEトークショー」。今回は96号車の新田選手、中山選手がゲスト出演

 人柄のいい新田選手はメーカーやチームの垣根を越えてファンが多い選手で、道上選手は以前から先輩、後輩の関係だが、今年からSUPER GTに参戦している大津選手とは「今回初めて話すよね」という状況。さらに「ピットもレクサス系とホンダさん系はいつも離れてますから、会う機会もないんですよね」ということで、大津選手は大先輩を前に恐縮した感じ。

 ただ、新田選手の相方である中山選手とは以前からの知り合いとのこと。中山選手の実家は東京でカート場を経営していて、大津選手は5歳の時に父親に連れられてそこを訪れたという。これが大津選手がレースを始めるきっかけになった。

 また、中山選手の父親と道上選手も関係があることが語られた。中山選手の父親もレースをやっていて、デビューしたばかりの道上選手も同じレースに出場していたが、そのレースで道上選手は中山選手の父親がドライブするマシンに追突してクラッシュさせてしまったという。

 道上選手は「そのときのことを今でもよく覚えていて、ピットへ謝りに行きました」と語ると、中山選手は「ウチでは話が違っていて、父は“自分がデビューしたばかりの道上選手をコースアウトさせた”という武勇伝になってます」と言うと、ステージ、会場から大きな笑いが起きた。

 このようにレースの話題だけでなく、レースから離れた裏話も聞ける「Modulo Drago CORSEトークショー」だが、今回はトークショーの最後に、新田選手から「この2台で表彰台の一角を取れるように頑張れればなと思います」という発言があり、なんとそれが現実となった。こうした流れは現場で話を聞いていた人にとって印象深いものとなり、レースを見に行った思い出としてずっと心に残るだろう。そんな貴重な経験もできてしまうのが「Modulo Drago CORSEトークショー」だ。

大津選手がレースを始めたきっかけや、道上選手のデビュー戦でのエピソードも語られた。ドライバー同士の意外な関係が分かって面白いステージ
新田選手の発言が現実になった今回のレース。トークショーを聞いていた人にとっては「おぉ!」となる結果だっただろう

高い一体感となった「GT300を盛り上げよう!! Let's Enjoy GT300!!」

Moduloステージでは異色ながら、実は大きな意味を持つのが「GT300を盛り上げよう!! Let's Enjoy GT300!!」ステージ

 もう1つ、Moduloのステージには他にはない切り口のステージがある。それが土曜日、日曜日ともに開催される「GT300を盛り上げよう!! Let's Enjoy GT300!!」である。

 タイトルを見て分かるとおり、このステージは34号車の応援に特化したイベントではない。SUPER GTファンならご存じのとおり、GT300クラスにはNSX GT3を始めとするFIA-GT3車両やJAF-GT車両、マザーシャシーなどバラエティに富んだクルマが参戦。しかもエントリー台数も多いので、とても見応えのあるレースが毎戦繰り広げられている。

 また、GT300クラスはより市販車に近いスタイルのマシンが走っているので、レースに詳しくない人でも応援しやすいといった面もある。そこでGT300クラスを通じてSUPER GTファンをもっと増やしていくために行なわれているのが「GT300を盛り上げよう!! Let's Enjoy GT300!!」だ。

 登壇するのは自動車メディア関係者が多いが、今回は新しい試みとして、ライバルチームである61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTの応援団長を務めるマリオ高野氏をゲストで招いた。熱心なファンが多い61号車の応援団長だけに、61号車を応援する心を熱く語ってくれた。素直に「なるほど!スゴイ!」と思えるお話は、たとえホンダのテントで聞いていてもとても楽しめるものばかりで、61号車がちょっと羨ましくなったり……。

 また、応援団長がステージに上がるということで、青い帽子を被った大勢の61号車ファンが駆けつけ、このステージの一体感ととても合っていた。なによりこの「スポーツの応援」という雰囲気がとてもいい。サーキットに行ったら「GT300を盛り上げよう!! Let's Enjoy GT300!!」ステージも忘れずに見ていってほしい。

モータージャーナリストやレースカメラマンなどのゲストからGT300クラスの魅力を聞く「GT300を盛り上げよう!! Let's Enjoy GT300!!」ステージ。土曜日の担当は三栄書房のクリッカー編集長 小林和久氏とモータージャーナリストの矢田部明子氏
日曜日のゲストは61号車 SUBARU BRZ R&D SPORTの応援団長を務めるマリオ高野氏
応援団長が登壇するということで、61号車ファンがステージ前に集まる。この一体感はさすがという感じ
GT300クラス全体を応援するためのステージなので、34号車ファンだけでなく、他メーカーのファンの人にも聞きに来てほしいと感じるステージ。メーカーの垣根を越えて一緒にGT300クラスを盛り上げよう
イベント広場には他にもいろいろなブースがあるので、見てまわるだけでかなり楽しめる。こちらは34号車も履く横浜ゴムのブース
SUPER GTのブースではGT500クラスのマシンで使われているカーボンモノコックや、装着されているパーツなどを展示
フードコートもイベント広場の楽しみの1つ。オートポリスでも美味しそうなご当地グルメだらけ。日曜日は午後までSUPER GTマシンの走行はないので、イベント広場でたっぷり遊べる
大分県応援団“鳥”の「めじろん」
ピットウォークではドライバーサイン会やチームグッズの無料配布などを実施
ホンダアクセスのツイッターフォローをした人を対象としたオリジナルグッズプレゼントも毎回行なっている
SUPER GTサポーターズクラブやSUPER GT公式モバイルサイトの会員を対象にした「サーキットエクスペリエンス」。大津選手がドライブする「シビック TYPE R」の助手席でサーキットを1周できる

 ということで今回のレポートは終わりだが、早いもので次戦の「MOTEGI GT250kmレース」が2018年のSUPER GT最終戦となる。調子が急上昇中の34号車には、もてぎでもこれまで以上の走りと結果が期待できるだけに、引き続き応援をお願いしたい。