【東京オートサロン2009】
ドリフトの祭典「D1」のキックオフデモランを開催

D1ドライバー9人が派手なデモ走行を競演

1月9日~11日
幕張メッセ


 「PROFESSIONAL DRIFT D1 GRAND PRIX SERIES(D1)」を主催するD1コーポレーションは1月9日、東京オートサロン2009のイベントの1つとして「東京オートサロン 2009 D1GP Kick Off Demo Run」を1月9日開催した。このイベントは1月10日と11日にも行われ、9:30~、14:00~の2回ずつ開催される予定。

 D1は、後輪または4輪を滑らせながら走るいわゆる“ドリフト走行”で勝敗を決める競技会。指定された走行ラインを走っているか、ドリフトの角度、スピード、エンジンの音、直線でのフル加速など、さまざまな視点で総合的に審査される。審査員長は“ドリキン”こと土屋圭市氏が、審査員は雑誌「OPTION」の生みの親でありD1の最高顧問である稲田大二郎氏が務める。そして解説の鈴木学氏と、副審の神本寿氏が審査席から見えづらい場所の判定人としてサポートする。

 東京オートサロン 2009 D1GP Kick Off Demo Runは、東京オートサロン2009の会場である幕張メッセの西1ホール横を特設コースにして行われた。今回参加したドライバーは今村陽一選手、末永正雄選手、野村謙選手、手塚強選手、熊久保信重選手、川畑真人選手、上野高広選手、吉岡稔記選手、田中一弘選手の9名。いずれもD1が誇るトップドライバーだ。雨が降りしきるという悪コンディション、またデモ走行のみではあったものの観客席には多くの人が集まり、その注目度の高さがうかがえた。

「グッドイヤーレーシングB324R with Bee☆R」の手塚強選手「グッドイヤーレーシングB324R」。フロントから見るとR34 GT-Rだが、実はR32 GT-R
「Team BOSS with POTENZA D-1 project」の今村陽一選手「BOSSシルビア」。エンジンを2.2リッターにボアアップし、社外(HKS GT3037S)タービンを取り付けている。ナイトラス・オキサイドガスをエンジンに噴射するシステム「NOS」でおよそ580PSを発生
「TEAM T&E with SUI:VAX」の上野高広選手「TE3006ソアラ」。スープラに搭載されていた2JZエンジンを換装し、社外(HKS TO4Z)タービンで650PSというパワーを誇る
「Team TOYO with GP SPORTS」の川畑真人選手「Team TOYO with GP SPORTS 180SX」。エンジンを2.2リッターにボアアップし、タービンは社外(トラスト TD06)をチョイス。600PSを発生し、さらに車重が1120kgと軽いのが特徴
「YUKE'Sチームオレンジ」の熊久保信重選手「YUKE'S クスコ チームオレンジランサー(CZ4A)」。この日はエンジンの出力が500PSに抑えられていたが、最終的には570~580PSまで引き上げたいとのこと。タービンは社外(トラスト TD06)
「トラスト雨宮 with TOYO」の末永正雄選手「RE雨宮 ストリートリーガル号」。420PSを発生する。走行距離は20万km越えと言う
「YUKE'S チームオレンジ」の田中一弘選手「YUKE’S シムス インプレッサ GDB」。エンジンは2.5リッターでタービンは社外(BLITZ K5-660R)。出力は600PSを誇る
「BLITZチーム」の野村謙選手「BLITZ DUNLOP ER34」。エンジンを2.8リッターに変更し、タービンを社外(BLITZ K5-700R)に。580PSを発生
「DRoo-Pチーム」の吉岡稔記選手一昨年まで乗っていた「AE86」。昨年から「ヨコハマトムス SC50 with 宮本(UZZ40)」で参戦している

 D1自体を詳しく知らない人のために、審査員がどういう形で審査を行っているかを紹介する意味で、本番と同様に1台ずつ走行する「単独走行」、1対1の勝ち抜き戦で行われる「追走トーナメント」の順でデモ走行が行われた。また、その後に4台と5台のパーティーに分かれ、グループ走行によるデモも行われ、それぞれのドライバーが持つテクニックを十分に発揮していた。

吉岡選手のAE86と今村選手のBOSSシルビアによる追走トーナメント形式のデモ走行。先行をそれぞれ1本ずつ走り、計2本で勝敗を決めるグループ走行のデモ。先頭からYUKE'S クスコ チームオレンジランサー(CZ4A)、YUKE’S シムス インプレッサ GDB、Team TOYO with GP SPORTS 180SX、TE3006ソアラ

 最後に、プレス向けに同乗走行の枠が用意されていたので、今回Car Watch編集部を代表して記者が同乗体験をした。試乗した車両は、手塚選手が駆るグッドイヤーレーシングB324R。R32 GT-RをベースにフロントマスクをR34 GT-Rに変更しているため、その名が付けられている。

 やや排気量を上げたエンジンと、社外(HKS製)シングルタービンが相まってパワーは500PS越え。助手席に座り、4点式シートベルトで体を固定されるとすぐにコースに入る……ところからいきなりドリフト! 内装・内張りは軽量化のためすべてはがされ、室内にはけたたましいエンジン音に排気音。そして社外ミッション(ホリンジャー製)の唸るようなサウンド。コース内で90%以上はドリフトしっぱなしだったので、ただただ驚くばかり。コースを2周したところでダウン寸前状態に……。しかしながら、派手な走行とは裏腹に、繊細なハンドリングとアクセルコントロールなど手塚選手のテクニックをたっぷり堪能できた。

グッドイヤーレーシングB324Rの外観
グッドイヤーレーシングB324Rのエンジン。大型のHKS製TO4Zタービンが鎮座する低めの位置にセットされたGTウイングには、アクリル製の整流板が装着されているタイヤはグッドイヤー製のEAGLE RS Sport。サイズは前後ともに255/35 R18

 なお、2009年度のD1のスケジュールも発表されたので、以下に記載する。

・ラウンド1(3月29日) エビスサーキット
・ラウンド2(4月26日) オートポリス
・ラウンド3(6月27日) 岡山国際サーキット
・ラウンド4(6月28日) 岡山国際サーキット
・ラウンド5(8月29日) エビスサーキット
・ラウンド6(8月30日) エビスサーキット
・ラウンド7(10月10日) 富士スピードウェイ
・ラウンド8(10月11日) 富士スピードウェイ

「ノーマルのランサー エボリューションXの完成度はかなり高い」と熊久保氏
 最後に、YUKE'Sチームオレンジのドライバー・熊久保氏のニューマシンについて紹介する。D1で初登場となるランサー エボリューションXをベースにしており、エンジンを縦置きにした4WD改FRマシン。この日がシェイクダウンだったのだが、完成したのは3日前だと言う。ドライバーの熊久保氏によるとかなり完成度が高く、初戦までにまだまだ時間があるので上位に食い込めるのではないかとのことだ。昨年乗っていたランサー エボリューションIXと比べると「エンジンのトルクがかなり太く、乗りやすさが際立つ」と言う。今シーズンもっとも注目したいマシンの1台である。

YUKE'S クスコ チームオレンジランサー(CZ4A)の外観
エンジンのレイアウトが縦置きに変わっているのが分かるFR化の際、センタートンネルも一から作り直したと言うリアにはブレーキキャリパーを2個装着し、ストッピングパワーを高めている

 今シーズンは、熊久保氏をはじめ新たなマシンに乗り換えて出場する選手も何名かいるようだ。マシンもパフォーマンスも派手で、見ていて飽きないD1。まだ見たことがない方はぜひ現場に足を運んでドリフトという魅力にどっぷり浸かっていただきたい。

URL
オートサロン公式サイト
http://www.e-autosalon.net/
PROFESSIONAL DRIFT D1 GRAND PRIX SERIES
http://www.d1gp.co.jp/

(編集部:小林 隆)
2009年1月10日