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アストンマーティン、“究極のスーパーGT”新型「ヴァンキッシュ S」発表会

来日したアンディ・パーマーCEOはブランド初のEV(電気自動車)導入を予告

2017年4月24日 開催

発表会に出席したアストンマーティン・ジャパン マネージング ディレクターの寺嶋正一氏(左)と、英アストンマーティン 社長兼最高経営責任者(CEO)のアンディ・パーマー氏(右)

 アストンマーティン・ジャパンは4月24日、“究極のスーパーGT”をうたう新型「ヴァンキッシュ S」の発表会を都内で開催した。ヴァンキッシュ Sの価格は3457万9982円から。

 従来型「ヴァンキッシュ」の進化版となるヴァンキッシュ Sは、大型化したインテークマニホールドによって高回転域におけるエアの吸気量を増加させることに成功し、自然吸気のV型12気筒6.0リッターエンジンの最高出力は従来の576PSから600PSへと進化するとともに、より鋭いスロットルレスポンスを実現。英国および欧州仕様では最高出力444kW(600PS)/7000rpm、その他の地域では433kW(588PS)/7000rpmとなり、最大トルクは630Nm/5500rpmで共通になる。

 トランスミッションの8速AT「Touchtronic III」も設定が変更され、より素早いギヤシフトに加え、レスポンスに優れたシフトフィールを実現するために低速時の洗練性を向上。サスペンション、ダンパー設定、スプリングレート、アンチロールバーのブッシュも再調整され、従来からのしなやかな乗り心地を犠牲にすることなく、よりスポーティでダイレクトなサスペンション特性に仕上げたという。

ヴァンキッシュ Sのアンベール

 4730×1910×1295mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2740mmという体躯を備えるヴァンキッシュ Sのエクステリアでは、空気抵抗を低減するカーボンファイバー素地を露出させたフロントスプリッターとリアディフューザー、4本出しのエキゾーストパイプ、カーボンファイバー・ボンネット・ルーバー、新しい鍛造5スポーク・ダイヤモンド旋削ホイールなどをパッケージ化した「エアロダイナミック・パッケージ」を設定。

 また、インテリアではシートやドアの内貼りに新しい「フィログラフ」キルト・レザーや「サテン・チョップド・カーボンファイバー」フェイシア・パネルを採用。バング&オルフセンのオーディオシステムなども標準装備される。

ヴァンキッシュ Sのボディサイズは4730×1910×1295mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2740mm。エアロダイナミクスにスポットを当てた新デザインのエクステリアでは、カーボンファイバーのフロントスプリッターとリアディフューザーが特徴となる
V型12気筒6.0リッターエンジン(日本導入モデル)の最高出力は433kW(588PS)/7000rpm、最大トルクは630Nm/5500rpm
インテリアでは、シートやドアの内貼りに新しい「フィログラフ」キルト・レザーや「サテン・チョップド・カーボンファイバー」フェイシア・パネルを採用。ボンネットフードやトランクフードにもカーボンを採用していることが分かる

アストンマーティン初のEV(電気自動車)、ミッドシップカーを今後発表

 発表会ではアストンマーティン・ジャパン マネージング ディレクターの寺嶋正一氏がヴァンキッシュ Sの概要を紹介するとともに、英アストンマーティン 社長兼最高経営責任者(CEO)のアンディ・パーマー氏も登壇。

アストンマーティン・ジャパン マネージング ディレクターの寺嶋正一氏
英アストンマーティン 社長兼最高経営責任者(CEO)のアンディ・パーマー氏

 パーマーCEOはアストンマーティンブランドの歴史を振り返り、104年間で約8万台のモデルを生産してきたことに触れ、「これはおそらくトヨタであれば2日で生産できる量かもしれないが、アストンマーティンが製造した車両の95%が今でも現存していることは今でも誇りに思う。これはアストンマーティンのオーナーの皆様が所有するクルマをこよなく愛している証でもある」とコメント。

 また、「私たちは富裕層の取り込みやラグジュアリーカーのセグメントにおいて堅調な成長を記録しているが、これらの成長は明らかに米国、日本、中国などへの輸出によってけん引されている。今年のはじめに、弊社は第4四半期の業績および通期で過去最高の業績を記録した。3月にはアストンマーティン史上、最高の月間販売台数を記録した」と報告するとともに、「高級ラグジュアリーセグメントは、ロールス・ロイスやベントレーに代表されるスーパーラグジュアリーセダンと、フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンに代表されるスポーツカーに2極化されている。ラグジュアリーカーとスポーツカーの両面を備えたアストンマーティンは、世界有数のGTカーメーカーとして多くの会社の中間に位置する存在とみなされている。中間というと“平均的”と捉えがちだが、それは私たちにはまったく当てはまらない。これらを念頭において、私たちはブランドと会社を定義する明確なビジョンを設定した。アストンマーティンとは、世界でもっとも美しく熟練した技術によって自動車の芸術作品を生み出す偉大な英国の自動車メーカー」と、アストンマーティンの立ち位置について説明する。

 2015年のジュネーブモーターショーで発表した次世代モデルへの切り替えを推し進める「セカンドセンチュリープラン」についても触れ、同プランには次世代の4ドアスポーツセダンなどが属する「ラグジュアリースポーツ」、同社の既存のスポーツカーラインアップが属する「スポーツ&スーパーカー」、そして現在開発が進められている新型SUV「DBX」が属する「クロスオーバー」からなる3本の柱について紹介するとともに、新型車や既存モデルの更新、スペシャルプロジェクトによって製作されるモデルを含め、「今後9カ月に1回、ニューモデルを発表することになる」と今後の展開についても発表を行なった。

 また、2019年にウェールズのセント・アサン工場で生産を開始する予定の新型DBXについては、「ラグジュアリーGTセグメントの既成概念を打ち破るために作られたモデルで、ブランドの魅力を広げ、これまでに以上にさまざまな世界のお客様に訴求するクルマ。より実用的でファミリー志向、環境にも配慮した設計になっている。最終的な生産バージョンはコンセプトからかなり異なったものになり、(コンセプトのように2ドアではなく)4ドアモデルになる予定。また、すべてのアストンマーティンモデルと同様、非常に美しいクルマになる」と予告している。

 そして新型ヴァンキッシュ Sについては、「アストンマーティンラインアップのなかで独自の存在感を示し、DB11とは明確に差別化される。あらゆる面で目を見張る性能を発揮するこのモデルは、0-100km/h加速3.5秒、最高速は323km/hに達する。私たちは常にヴァンキッシュを“スーパーGT”として位置付けてきており、極めて早いだけでなく、快適でスタイリッシュに長距離を移動できる。今回、パフォーマンス、ハンドリング、そしてスタイリングがさらに進化したヴァンキッシュ Sは、アストンマーティン史上最高の“スーパーGT”に仕上がっている」と、その完成度に自信をのぞかせた。

 なお、アストンマーティン・ジャパンは4月1日よりSKY GROUPが東京エリアで唯一の正規販売代理店になることを2月に発表。パーマーCEOはこのことについて、「私たちは日本に対するさらなる投資活動の一環として、4月1日付けでSKY GROUPを東京の専属ディーラーに任命した。SKY GROUPはラグジュアリービジネスを展開する日本有数の企業であり、東京、神奈川、新潟にディーラーを持っている。彼らがアストンマーティンファミリーの一員に加わってくれたことを非常に嬉しく思っている」とし、東京 麻布にアストンマーティン東京の仮ショールームを開設するとともに、東京 青山にはランドマークとなる新しいショールームを建設中であることを報告。この青山のショールームは2017年後半にオープンする予定で、英国以外の地域で初となるアストンマーティンのブランドセンターも併設されるという。

 最後にパーマーCEOは、「私たちはこれから製品ラインアップのすべてを刷新し、現在の4車種のラインアップから少なくとも7車種に拡大する。2カ所のモダンな工場を稼働させ、生産能力を現在の2倍の1万台以上/年に引き上げる。そしてアストンマーティン初のEV(電気自動車)、ミッドシップカーを今後発表する。新しいパフォーマンスブランド『AMR』を立ち上げる。ラゴンダモデルを再投入する計画を発表する。そして最後に、2020年までに完全自動運転車を発売する計画はないが、私たちは常に3ペダルのMT車をラインアップに設定する」と、今後のさまざまな展開について語り、プレゼンテーションを終えている。

アストンマーティンの歴史は1913年にスタート
104年の間に約8万台を生産してきた
2015年のジュネーブモーターショーで「セカンドセンチュリープラン」を発表
セカンドセンチュリープランの3本の柱
新型DBXは2019年にウェールズのセント・アサン工場で生産を開始する予定
これまでアストンマーティンが製作してきた数々の特別なモデルたち
セント・アサン工場
4月1日よりSKY GROUPが東京エリアで唯一のアストンマーティン正規販売代理店になる
パーマーCEOは今後ブランド初のEVを導入することを発表
会場にはポール・マッカートニー氏が所有していた「DB6」も展示されていた