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【ボッシュ モビリティ エクスペリエンス 2017】2020年初頭にダイムラーと協力して市街地での自動運転を実現

2018年にコネクテッドモビリティプラットフォーム「Bosch Automotive Cloud Suite」を運用

2017年7月6日(現地時間) 発表

「ボッシュ モビリティ エクスペリエンス 2017」でキーノートスピーチを行なうボッシュ モビリティソリューションズ統括部門長 ロルフ・ブーランダー氏

 世界最大級の自動車部品サプライヤーであるボッシュ(ロバート・ボッシュ)は7月6日(現地時間)、ドイツ ボックスベルクにある同社最大のテストコース「ボックスベルク プルービンググランド」において「ボッシュ モビリティエクスペリエンス 2017」を開催した。

 ボッシュ モビリティソリューションズ統括部門長 ロルフ・ブーランダー氏は、キーノートスピーチを実施。ボッシュの描く、将来のモビリティ“ストレスゼロのアーバンモビリティ”がビジョンから現実のものになることを語った。

 ブーランダー氏は、2050年は60億人の人が都市に住むようになり、都市の交通量は3倍になるという。これを4輪車だけでまかなうのは無理なため、大都市はスマートシティとなり、新たなコンセプトが必要になるという。

 都市に住む人は、自家用車からできる限り容易にほかの交通手段に乗り換えられることがボッシュの重要な課題になるとし、都市に住む人はボタン1つで鉄道駅の近くの駐車スペースや駐輪場を予約できるようになり、自動車から鉄道や2輪車にスムーズに乗り換えられるようになり、このためにはシームレスなネットワーク化が必要になるという。

 それを“スマートシティ”と位置づけ、「例えばヨーロッパではロンドンが、アジアではシンガポールがスマートシティになりつつあります。2025年には、世界の80都市でスマート化が進むと予測されています。ボッシュは現在、14件のスマートシティ関連プロジェクトを推進しており、その半数は都市交通に関するプロジェクトとなっています。こうして、私たちは将来の事業分野をも開拓しています」と語る。

ボッシュがベルリンとパリで提供している電動スクーターシェアリングサービス「Coup」を紹介

 また、交通事故の低減についても触れ、世界では年間で120万人以上が交通事故で亡くなっており、その低減はボッシュの課題であるという。事故の90%がヒューマンエラーであり、自動運転を導入することでその低減を図っていくとし、2020年までにボッシュのレーダーセンサーを利用した高精度デジタルマップを作成することを目指し、TomTom、AutoNavi、百度、NavInfoと協力。ダイムラーと協力して2020年初頭までに市街地での自動運転を可能にするという。

 この自動運転が実現すれば救われる命は増えるといい、これはボッシュのコーポレートスローガンである「Invented for life」が意味するところを完璧に示す例であるとした。

 この自動運転の導入により、「ドイツ国内だけでも事故件数が3分の1以上減少すると予測されています」と語り、それにともなって大きな経済的な変化が姿を見せているとする。「自動運転車や完全無人運転車の数が増えるほど、自家用車のシェアは低下し、2030年までにシェアードカーが車両全体に占める割合が10%に達する可能性があります。 実際、ロンドン、シンガポール、パリなどの大都市はモビリティソリューションとして、「ポッド」や「ロボキャブ」と呼ばれる自動走行シャトルを後押ししています」と語った。

 電動化や48Vのハイブリッドシステムについても紹介し、今後のスマートシティ市場の成長について「スマートシティ市場は2020年まで毎年19%成長し、市場規模は7000億ユーロに達すると見られています。そして、私たちはこの市場に参入していきます。私たちの多様なポートフォリオには、エネルギー、建築関連、産業機器テクノロジーだけでなく、独自のIoTクラウドも含まれています」と語り、自動車業界の革新的なパートナーである車載システムのサプライヤーであり続けるだけでなく、道路利用者向けのサービスプロバイダーとしても進化するという。そして、モビリティの新しいコンセプトを打ち出すために、ボッシュの構想の見直しも進めているとした。

自動車の自動化についても語った