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今秋デビューのレクサス「LS」に搭載される「Lexus Safety System+A」体験レポート

将来の自動運転技術へとつながる高度運転支援技術などを紹介

新型「LS」に搭載される先進安全技術を北海道で体験

Lexus Safety System+Aを体験

 レクサス(トヨタ自動車)のフラグシップモデルでありビッグサルーンである新型「LS」は2017年秋に正式デビューを果たすが、その前に新型LSに搭載された「Lexus Safety System+A」をはじめとする先進安全技術の数々を体験する機会を得た。危険な状態を安全に体感するという目的があることから、取材は北海道の網走にある広大なテストコースにて行なわれた。

 冒頭、トヨタ自動車の先行技術開発カンパニー常務理事であり、先進安全先行開発部の部長である鯉渕健氏から、トヨタ・レクサスにおける安全についての考え方が示された。鯉渕氏は安全の考え方について「人/クルマ/交通環境という“三位一体の取り組み”と、事故の調査・解析/シミュレーション開発・評価という“実安全の追求”、この2つの取り組みをもとに【交通事故死亡者ゼロ】を目指す」という。三位一体の取り組みとは、安全なクルマを作ることはもちろんのこと、ドライバーや歩行者という人への啓蒙活動、交通環境の整備を働きかけることを意味し、実安全の追求とは実際の事故を調査して、それをもとに開発に活かしていくという技術開発手法だ。

左からトヨタ自動車 常務理事の鯉渕健氏、筆者、レクサス 第一先進安全開発部の鈴木浩二氏
新型LSの主査を務める旭利夫氏

 現在、日本では①歩行者事故(36%)、②逸脱事故(30%)、③交差点事故(21%)、④追突事故(5%)という4つの事故形態で交通死亡事故全体の約90%が占められている(2016年内閣府交通白書)が、トヨタ・レクサスではこれらの事故を分析して、それぞれに対応する先進安全技術を開発することが交通事故死傷者ゼロにつながると考えている。

 この先進安全技術の開発プロセスには、時系列を大枠に状況ごとの対応策を用いている。具体的には、車速域の低い「パーキング(駐車)」の領域から通常走行時における「予防安全」、衝突直前に被害を軽減する「プリクラッシュセーフティ」、衝突時の安全性を確保する「衝突安全」、衝突後に発生する「救助」という5つの分野で分類し、すべての段階における最適な技術を用いながら、それぞれを連携させることでより安全性能を高めていく。

 こうした交通事故死亡者ゼロ社会の実現には、市場で効果の高い安全システムをより早く開発し、そして多くの車種に普及させていくことが重要だ。また、世界トップの先進安全技術を開発するとともにそれを小型化し、さらにコストダウンを進めて普及させることが何よりも大切。そこでトヨタ・レクサス陣営としては、①ひきとわ高度なものを「先進技術」として開発しながら、②広く一般化させるものを「普及技術」として位置付け、それぞれの技術開発を同時並行的に進めることで、最終的な目標である交通事故死亡者ゼロ社会を目指すという。

2017年秋以降での発売が予告されている新型LS。新開発のV型6気筒3.5リッターツインターボエンジン(310kW/600Nm)を搭載する「LS500」、V型6気筒3.5リッターエンジンにハイブリッドシステムを組み合わせる「LS500h」(システム全体で264kWを発生)をラインアップ。ボディサイズは5235×1900×1450mm(全長×全幅×全高)

 ①先進技術のスタートラインは、日本で2006年に登場した「LS」からだ。この技術を共通化/小型化/低コスト化することで、②普及技術である「Toyota Safety Sense C/Toyota Safety Sense P」や「Lexus Safety System+」を導入(2015年)してきた。今回の新型LSに採用されたLexus Safety System+Aは、そこからさらに高度なセンサーや解析技術を用いることで交通死亡事故形態のカバー範囲を増やしていく。ちなみにLexus Safety System+とToyota Safety Senseは2017年7月現在、国内ではトヨタ・レクサス合わせて33車種に展開が進み、2017年末までに日米欧すべての地域の車両への展開が完了する見込みだ。

 すでに実用化されているLexus Safety System+やToyota Safety Sense Pでは、①追突事故/②歩行者事故/③走路逸脱事故の3点について抑制する先進安全技術がパッケージングされている。対して、新型LSが搭載するLexus Safety System+Aでは、これまでの3点に④自転車事故、⑤夜間歩行者事故、⑥出会い頭事故、⑦路外逸脱事故、⑧ドライバー異常時検出の5点が加わり、全8点の事故形態に対応する先進安全技術がパッケージングされた。

 このうち、今回の取材ではLexus Safety System+Aの代表的な先進安全技術のうち、以下を体感できた。

A:「パーキングサポートブレーキ」
B:「プリクラッシュセーフティ(歩行者注意喚起・アクティブ操舵回避支援)」
C:「フロントクロストラフィックアラート(FCTA)」
D:「ロードサインアシスト(RSA)」

 また、将来の自動運転技術へとつながる高度運転支援である「Lexus CoDrive」として、E:「レーントレーシングアシスト(LTA)」、F:「レーンチェンジアシスト(LCA)」、G:「ドライバー異常時停車支援システム(LTA連動型)」も同時に筆者自身がステアリングを握り、その動きを実際に試してみることができた。今回のレポートではA/B/E/F/Gを紹介したい。

パーキングサポートブレーキ

 A:「パーキングサポートブレーキ」は、近年取り沙汰されている「ペダル踏み間違い事故」を低減するためにすでに実用化されている「インテリジェントクリアランスソナー(ICS)」や、駐車場からの後退出庫時、左右から来る車両との衝突回避を目的とした「リヤクロストラフィックオートブレーキ(RCTAB)」に加えて、「対後方歩行者サポートブレーキ」の3点がセットになった先進安全技術。ICSは、車両の前後に装着した超音波ソナーで障害物などを検知し、衝突の可能性が高い場合はエンジン出力を絞ってブレーキを掛ける機能。現在、トヨタ・レクサス合わせて12車種に設定中だが、今後、販売台数の多い車種を優先的に採用し、2018年度末までに販売全体の90%のクルマに設定される。

 対後方歩行者サポートブレーキは、リアビューカメラと超音波ソナーを活用して自車が後退する際、自車から約5mに位置する歩行者(対応最低身長は80cmほど)や障害物があると、まずそれを検知したことをナビゲーション画面の表示と警告ブザー(警告後、消音)で注意喚起。そのまま後退を行ない、それらとの衝突の危険性が高まった場合には再度警告ブザーで注意を促すとともにブレーキ制御を行ない、衝突回避もしくは被害を軽減する。

 ここでの要はリアビューカメラと超音波ソナーだ。カメラは視野角約180度で約5m後方の障害物を映し出すことが可能。超音波ソナーは一般的なソナーの約2倍の測距性能があるICS専用品で、約6mまで高い測距性能を保つことができる。停止後、アクセル操作が続いていても約2秒は停車状態を保ち、その後はブレーキ圧が緩められ徐々に速度は上昇する。この際、アクセル開度が100%であっても10km/hまでしか速度は上がらない。これは、例えば踏切内で停車してしまった場合の緊急脱出性能を確保するためだ。

後退時に歩行者や障害物があると、ナビゲーション画面の表示とブザーで警告を行なうとともに、衝突の危険性が高まった場合にはブレーキ制御を行ない、衝突回避または被害を軽減する
インテリジェントクリアランスソナー(1分21秒)
リアクロストラフィックオートブレーキ(36秒)
後方歩行者サポートブレーキ(58秒)

プリクラッシュセーフティ(歩行者注意喚起・アクティブ操舵回避支援)

 B:「プリクラッシュセーフティ(歩行者注意喚起・アクティブ操舵回避支援)」は、新型LSのハイライト技術の1つだ。従来型のプリクラッシュセーフティ(PCS。ステレオカメラとミリ波レーダーを用いて前方の車両や歩行者を検出し、警報、ブレーキアシスト、自動ブレーキ制御で衝突回避支援および被害軽減を図るシステム)に加えて、歩行者の存在を大型ヘッドアップディスプレイに表示して注意喚起し、ブレーキ制御による減速と、自動でステアリングを操舵するアクティブ操舵回避支援が組み込まれている。歩行者注意喚起とアクティブ操舵回避支援は、システムの基本機能となるミリ波レーダー/ステレオカメラの両方を新開発し、外界を認識するセンシング技術を大幅強化したことと、専用のアルゴリムを開発したことで実用化に至った。

 新型ステレオカメラは、左右カメラ間の距離を従来型の315mmから新型では160mmと約半分にしてカメラシステム自体を小型化した上で、カメラ自体を広角/高解像度化しつつ、夜間の認識性能や演算能力も向上させた。また、車体前方中央のミリ波レーダー(76GHz帯)も広角/高感度化を果たし、人の検知までも可能としている。さらに、車両の前側方・後側方にもミリ波レーダー(24GHz帯)を追加し、横断歩行者や横断自転車、後方からの接近車両、前側方からの割り込み車両を検知できるようになった。

 今回の取材では、自車速度を65km/hとして前方約200m先にいる歩行者ダミー(歩道から車道側に入った状態)に対する注意喚起、そして最終的にその歩行者との衝突をブレーキとステアリング操作で回避支援するというシナリオで体感した。

 車速を保ったまま歩行者ダミーに向かって近づいていくと、相対距離が約40~50mになるとヘッドアップディスプレイに歩行者ダミーの存在がオレンジ色のマーカーで示される。その際、単にマーカーが表示されるだけでなく、歩行者ダミーが実際にいる方向に向けてマーカーが流れる矢印のように表示されるため、ドライバーとしても歩行者ダミーの位置を把握しやすかった。ちなみに、この表示が出された段階では時間的なゆとりがあるため、回避動作を十分にとることが可能だ。

 今回は危険を安全に体感する狙いがあるため、それにドライバーが反応できないことを想定し、さらに近づく。するとこれまでのプリクラッシュセーフティ(PCS)と同じようなタイミング、具体的には約35mの距離になると警報ブザーが鳴り、そこから約0.8秒後に自動ブレーキ制御が入った。しかし、今回は自車速度が高く、さらに進路上に歩行者ダミーがいるわけで、このブレーキ制御だけでは衝突してしまう……。と思った次の瞬間、ステアリングが右に50度程度、自動的に操舵され、ギリギリで歩行者ダミーとの衝突を回避し、そして自車車線内に留まるため、今度は左に40度程度、自動的に操舵され完全停止した。この時、左のドアミラーと歩行者ダミーの距離はわずか5cm程度!

自動操舵で歩行者ダミーとの衝突を回避する様子

 この一連のシステムは車載の光学式カメラで車線が認識できていて、ミリ波レーダーでも歩行者ダミーを捉えていることが前提で、さらにステアリングの自動操舵も自車が走行する車線内でしか行なわれない。つまり反対車線には出ることはないのだ。また、ステアリングの回避支援ありきでロジックが組まれているわけではなく、ブレーキ制御だけでは衝突の可能性が高く、さらにステアリング操舵制御によって衝突の回避を支援できるとシステムが判断することが正しく機能するための条件だ。なお、停止後約3秒でブレーキの停止保持は解除される。さらに、路面の摩擦係数は乾いたアスファルトを基準とし、それをもとにブレーキ制御やステアリング制御の演算が行なわれるため、濡れていたり砂が浮いていたりと路面が滑りやすい状況にある場合は、物理的に避けられない場合がある。

 このB:プリクラッシュセーフティ(歩行者注意喚起・アクティブ操舵回避支援)は、新型LSの「標準モデル(AWD)」と、スポーツモデルである「F SPORT」の2台で体感することができたのだが、アクティブ操舵回避支援の確かさはF SPORTが断然上だった。これは装着タイヤの違い(標準が前後245/45 R20のところ、F SPORTのみ後輪が275/40 R20)とブレーキ容量の違い、さらには「ギヤ比可変ステアリング(VGRS)」、電動パワーステアリング、後輪の切れ角を制御する「ダイナミックリヤステアリング(DRS)」を統合制御する「レクサス・ダイナミック・ハンドリングシステム(LDH)」の有無によるもの。あくまでも体感上であるが、ブレーキ制御によるガツンとした減速度の発生から、鋭いヨーレートの立ち上がりに至るまでF SPORTは標準モデルの15%増しであると感じられた。これはドライバーとしてだけでなく、後席での安心感につながっていることも確認できた。なお、アクティブ操舵回避支援はガードレールなどの連続した構造物に対しても機能する。

プリクラッシュセーフティ(1分50秒)

レーントレーシングアシスト&レーンチェンジアシスト

 舞台をテストコースの高速周回路へと移し、E:「レーントレーシングアシスト(LTA)」、F:「レーンチェンジアシスト(LCA)」を体感。

 LTAは、ACCであるアダプティブ・クルーズ・コントロールの付加機能で、光学式カメラで車線を認識し、ミリ波レーダーとのフュージョンコントロールでACCを機能させつつ、直線路だけでなくカーブ(首都高速はすべてカバー!)でも車線の中央を維持するようステアリング操舵支援を行なう運転支援技術だ。また、渋滞時など車間が詰まり車線が認識できない場合でも前走車への追従情報をもとに運転支援は継続され、さらにカーナビゲーションの情報をもとにカーブへの進入速度が速いとシステムが判断した場合には、自動的に減速してからカーブに入り一定速で走行する。コースでは90km/hにセットしたLTAでの走行中、カーブに差し掛かると10km/h分減速された。どれだけ減速させるかは、カーブの曲率によって決まるというが、ドライバーが怖いと感じない速度域は人によって違うし、また昼夜による明暗差、雨天などによる天候状態、さらには路面の状態によっても変わる。これに関して開発担当者は「将来的には各種情報が積層化されたダイナミックマップとのマッチングが理想」と話す。

 LCAは、ドライバーのウインカー操作をきっかけに車線変更を自動的に行なう運転支援技術だ。センサーには車体前方のミリ波レーダーと光学式カメラ、そして前側方、後側方のミリ波レーダーを活用する。ここでのウインカー操作とは、レバーを完全に操作し“カチッ”と押し込んだ状態ではなく、レバーを下へ軽く操作した状態で指を離すと元に戻る位置を維持すること。この“レバーを維持した状態”をドライバーが行なう間にセンサーが周囲の安全を確認し、その後、ステアリングの自動操舵がはじまる。また、ドライバーの目視による安全確認→ウインカー操作→センサーの外界確認といった一連の流れに要する時間はしっかり3秒以上となるため、道路交通法にも合致する。

 自動操舵における車線変更はとても滑らかで、非常に丁寧な運転操作だ。ここで誰もが気になるのは、移ろうとしている車線に別の車両がいる場合だろう。今回は隣の車線に自車が入り込む際にゆとりが大きい場合と、隣の車線が急速に迫ってくる場合の2パターンを試したのだが、ゆとりがある場合は何の問題もなく身を委ねることができた。しかし、急速に迫ってくる場合は、筆者が慣れていないせいもあり、ちょっとだけドキッとしてしまった。

レーンチェンジアシストの体験シーン

 この急速に迫ってくる場面は、自車が車線変更する場所がなくなってしまうことを意味するわけで、当然、システムとしても判断できている状況だ。こうした場合は、即座に車線変更を中止し、元の車線へと自動的にステアリングを操舵するプログラムが設定されているのだが、テストでは隣車線の車両がシステムの想定よりも急速に迫り過ぎたのが原因なのか、元の車線に戻れず、車線を跨ぐ位置での運転支援でLCAが終了してしまった。実際の交通環境ではよくあるシーンだが、まさしくこの点こそ、システムの物理的な限界点だったのだろう。

 こうした場合、ドライバーは慌てずシステムの運転操作を引き継ぎ、元の車線へとゆっくり戻ればいい。もっとも、そうと頭では分かっていても、いざそうした状況に置かれると次の運転操作へと瞬時に移れないことがある。よって、こうした運転支援技術の普及には、システムに対して過信を抱かせずに支援を継続させることの難しさと、システムが限界点に達した場合、いかにしてドライバーに運転操作を引き継がせるかという課題、これらの克服が不可欠だ。また、運転操作の引き継ぎは、自動運転の世界における「自動化レベル3」では必ず生じる現象であり、現時点での深い議論が自動車メーカーだけでなく、ユーザーや政府との三位一体で行なわれなければならない。

レーントレーシングアシスト(1分10秒)
レーンチェンジアシスト その1(20秒)
レーンチェンジアシスト その2(1分17秒)

ドライバー異常時停車支援システム(LTA連動型)

 高速周回路では、世界初の先進安全技術であるG:「ドライバー異常時停車支援システム(LTA連動型)」も体感した。これはLTAを使用した運転中に、ドライバーによるステアリングやアクセル、ブレーキなどの操作がない状態が継続していると、警報ブザーとディスプレイ表示を伴いながらゆっくりと減速し、ドライバーに運転操作の再開を促す運転支援技術。さらに、そのシステムからの呼びかけにドライバーが反応できない場合は、ドライバーの身体に異常が発生したと判断され、ハザードランプの点灯と周期的なホーンの活用(3Hzの反復)で周囲のクルマなどに異常を報知しながら、自車線内に減速して完全停車し、自損・加害事故の回避・事故被害低減を支援する。システムによる停車後、EPB(電動パーキングブレーキ)を作動させ、ドアを解錠して自車外からの救助を容易にするとともに、緊急通報サービスである「ヘルプネット」に自動接続を行なう。

 ヘルプネットではオペレーターによる車内ドライバーへの呼びかけを行ない、ドライバーが反応できない場合は救急車などの緊急車両の要請が行なわれ、早期のドライバー救命・救護が望める。また、オペレーターとの接続が終わったあとも、車両に対する着信があれば自動的に応答し、スピーカーとマイクを機能させる。2016年7月に日本へと導入されたメルセデス・ベンツ「Eクラス」にも、こうしたドライバーの異常時に緩やかに減速して完全停車まで行なう「アクティブエマージェンシーストップアシスト」があるが、新型LSではハザードランプを点灯させたり、ヘルプネットで救命・救護までを行なったりするということで“世界初”というフレーズが使われている。

ドライバー異常時停車支援システムの作動中はメーター内に「停車支援機能継続中」の文字が表示される。システムによる停車後は「ヘルプネット」に自動接続
ドライバー異常時停車支援(1分53秒)

 トヨタ・レクサスでは、市場で効果の高い安全システムを普及させるということが重要という考え方のもと、Lexus Safety System+Aで開発したセンシング技術を次世代の普及技術として展開し、最終的には事故ゼロ社会に近づきたいとしている。この先、Lexus Safety System+Aで具現化された先進安全技術によって、自転車事故や夜間の歩行者事故、路外逸脱事故を抑制するとともに、LTAのような高度運転支援機能を織り込み、2018年年頭からレクサスとトヨタの全車に展開を図っていくという。

 また、先進安全技術によって実用化された高度なセンサー技術は、将来の自動運転技術の開発にもつながるとし、これをトヨタ・レクサスでは「高度運転支援技術」と定義する。

 トヨタ自動車の鯉渕健氏は、「トヨタ・レクサスでは“Mobility Teammate Concept”のもと自動運転の開発を進めています。ドライバーが運転したい時には運転を楽しむことができ、運転したくないとき、または何らかの状況でできないときはクルマに安心して運転を任せることができる。そんなクルマを目指して2020年ごろに自動車専用道路向けの自動運転車“Highway Teammate”を商品化します。これはETCからETCまでの合流、分岐、追い越しなどを自動で行なうものです。さらに、2020年代前半にはG7(第42回先進国首脳会議/伊勢志摩サミット)でご覧いただいた、一般道での自動運転車“Urban Teammate”も商品化します」と語る。

 現状、自動運転の定義はメーカー間で幅があるため、誤解や過信を抱く可能性があり注意深く扱う必要がある。そうしたなか、トヨタ・レクサスが提唱するMobility Teammate Concept→Highway Teammate→Urban Teammateという流れは、技術支援のレベルや必要なインフラとの関わりが明確になっていることから、分かりやすいロードマップであると筆者は感じた。