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日産、市販車でニュル最速の「GT-R NISMO」、大人の乗り味を目指した「GT-R」14年モデル発表会

「GT-Rのワクワクする物語の新たなチャプター、ショーが始まる」とカルロス・ゴーンCEO

カルロス・ゴーンCEO(写真右)とアンディ・パーマー副社長(写真中)、ミハエル・クルム選手(写真左)とニュルブルクリンク北コースで量産車最速タイムをマークしたGT-R NISMO
2013年11月19日開催

 日産自動車は11月19日、神奈川県横浜市の日産グローバル本社ギャラリーにおいて同日発表された「NISSAN GT-R(R35)」の14年モデルと、NISMO(ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)が手がけた「GT-R NISMO」の発表会を開催した。

 今回発表された14年モデルが目指したのは「大人が楽しめるGT-R」であり、それを実現するため「上質な乗り心地」と「圧倒的な速さ」の両立を図った。パワートレーンは、これまで通りV型6気筒 DOHC 3.8リッターターボエンジン(最高出力404kW[550PS]、最大トルク632Nm[64.5kgm])にデュアルクラッチトランスミッション「GR6」を組み合わせるが、この上質な乗り心地を実現するべくサスペンションのセッティング変更や、ボディー全体のバランスの再セッティング、車内に入ってくるノイズの低減などを図った。

会場には歴代のスカイラインGT-Rなどが展示されていた
GT-R 14年モデルとGT-R NISMOのアンベール
ニュルブルクリンク北コースで量産車最速タイムをマークしたGT-R NISMOをミハエル・クルム選手が運転して登場。助手席にはカルロス・ゴーンCEO

 具体的には、より均等に接地荷重を配分するためスプリングのバネ定数やショックアブソーバーのセッティング変更を実施(具体的な数値は非公開)するとともに、フロントスタビライザーのバネ定数の最適化やリンクブッシュ類の見直しなども行われた。ブレーキでは減速Gとペダル踏力の特性を見直し、コントロール性とペダルの踏み応えを向上させている。

 ボディーまわりでは、アンダーフロアのリア周辺の部品同士の合わせ込みを実施し、局部変形を抑えることでより剛性感のあるボディーを実現するとともに、荷重がかかった際の振動やノイズも抑制したという。さらに、上質感を高めるため制振・吸遮音材の配置を見直して人間が不快に感じる音は抑えつつ、エンジンサウンドをよりクリアに聞こえるようなセッティングにしている。

14年モデルではPure edition、Black edition、Premium editionを展開。写真はPremium editionで、赤いボディーカラーのモデルは特別塗装色のゴールドフレークレッドパール。2014年夏にオプションで発売されるホイールを装着している。アイボリーのインテリアカラーはPremium editionのみのオプション設定となる

 一方、GT-R NISMOは「GT-R NISMO GT3」で使われる大容量のタービンを搭載するなど専用チューニングが施され、最高出力は441kW(600PS)、最大トルクは652Nmまで引き上げられた。この出力アップに伴い、足まわりにはビルシュタイン製ダンパー、ワイドリムフロントホイール(20×10.0J)&ダンロップ製の専用タイヤ、サイズアップした専用の高剛性ハブボルト、リアサスペンションにロール剛性を高める中空スタビライザー(φ17.3mm)などを採用するとともに、スポット溶接に加え構造用接着剤も使ったボディー補強などが行われている。

 これにより、ニュルブルクリンク北コースで量産車最速となる7分8秒679のラップタイプをミハエル・クルム選手によってマークした。ちなみにこのタイムアタック車両は専用のオプションパック装着車となっており、パッケージの詳細は不明なものの、専用のエアロやサスペンションなどが装備されるとともに、軽量化が行われるとしている。同パッケージは、2014年夏ごろにNISMOから発売予定となっている。

空力デザインをSUPER GTのエンジニアが担当したGT-R NISMO。エクステリアでは専用のカーボン製フロントバンパー/アンダーカバー、サイドシルプロテクター、リアバンパー、リアスポイラーなどを装着
エンジンは「GT-R NISMO GT3」で使われる大容量のタービンを搭載するなど専用チューニングが施され、最高出力441kW(600PS)、最大トルク652Nmを発生する。ホイールはレイズ製の鍛造20インチアルミホイール(フロント20×10.0J、インセット41/リア20×10.5J、インセット25)を装着
リアスポイラーはSUPER GT車両で使われるGTウイングのデザインを踏襲したものとなっている
トランクもカーボン製
アルカンターラと本革コンビのバケットシート

 発表会では、日産自動車 社長兼CEO(最高経営責任者)のカルロス・ゴーン氏と、ミハエル・クルム選手が登壇。

カルロス・ゴーンCEO
ミハエル・クルム選手

 カルロス・ゴーンCEOは、「9月30日の日没前に、ニュルブルクリンクで7分8秒679を叩き出し、前回のニュルブルクリンクでのタイムから10秒縮めた。これによりGT-R NISMOはニュルブルクリンクで最速の生産モデルになった」と報告。また、ミハエル・クルム選手は「今回のラップタイムは最大の満足感を私のキャリアの中で得ることができた。GT-R NISMOを美しい日にニュルブルクリンクで運転できることを楽しませていただいた。人生最良の日だった」と述べるとともに、開発チームに一体感があったからこそ成し得た偉業と説明した。

 また、カルロス・ゴーンCEOは11月18日に同ギャラリーにおいて、同社の80周年記念レセプションを開催したことに触れ、「(記念レセプションで)これまで生み出してきた数々のモデルに思いを馳せた一方で、日産は過去を振り返るだけではなく、将来にも目を向けている。今まで以上のパワーで前進しているが、パワーの話になるとその中心にいるのはGT-R。メーカーを問わず、これほどブランドに貢献するクルマはない」と述べるとともに、GT-R NISMOについては「3.8リッターターボエンジンで最大出力600PS、最大トルク652Nmを出す。カーレースからインスピレーションを受けたターボチャージャーとサスペンション設定、それに独自のタイヤを採用している。フロント&リアバンパー、リアスポイラーなど多くの部品にカーボンファイバーを採用した」と、その特徴点を説明する。

 そして、GT-Rの開発は同社にとって情熱そのものであると述べるとともに、「情熱は革新を生み出す力である。GT-Rを開発するためにハードルを高くし、この開発に携わる人間の潜在能力を引き出す。この取り組みで得た教訓は、他の日産車にも適用される」「これまでジューク、フェアレディZなどのNISMOシリーズをリリースしてきたが、そのフラグシップになるのは無論GT-R NISMO。このGT-R NISMOと14年モデルによって、GT-Rのワクワクする物語の新たなチャプター、ショーが始まる」と紹介した。

ニュルブルクリンク北コースで量産車最速タイムをマークしたGT-R NISMO。ボンネットには開発陣のサインが入っていた

(編集部:小林 隆)