ニュース

【鈴鹿8耐応援企画】ケビン・シュワンツ、辻本聡両選手がCar Watch編集部を訪問

7月27日開催の鈴鹿8耐への意気込みを語る

 来る7月27日に、毎年夏恒例のオートバイレース「“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース」が開催される。日本や世界で活躍するライダーが集い、真夏の8時間という長丁場を戦い抜く過酷なこの耐久レースに、2013年に引き続き今年もケビン・シュワンツ選手が参戦する。

 2014年の今年は、「Legend of ヨシムラスズキ シェルアドバンス」チームでスズキ GSX-R1000を駆るシュワンツ選手。“レジェンド”のチーム名にふさわしく、チームメイトにはかつて全日本ロードレース選手権などに参戦し、現在はMotoGPテレビ中継の解説などでもおなじみの辻本聡選手と、元GPレーサーの青木宣篤選手という2人が加わっている。

 鈴鹿8耐のレース本番に先立ち、シュワンツ選手と辻本選手がCar Watch編集部を電撃訪問。2人はさかのぼること28年前、1986年に鈴鹿8耐でチームメイトとして一緒に走り、3位表彰台を獲得したという過去もある。時代を超えて再びレースに挑む2人が意気込みを語ってくれた。

 なお、“コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレースは、鈴鹿サーキットを舞台にフリー走行が行われる7月24日から本レースの27日まで4日間の日程で開催。前売り観戦券は大人5700円、中・高生1700円、小学生800円、幼児600円。

2014 FIM世界耐久選手権シリーズ第2戦 “コカ・コーラ ゼロ”鈴鹿8時間耐久ロードレース 第37回大会
hhttp://www.suzukacircuit.jp/8tai/

2ストローク500ccマシンの経験が活きる

──お2人は1986年以来のタッグということになりますが、互いにその当時から変わったところはありますか。

辻本選手:2人とも歳を取りましたね(笑)。僕とケビンが初めて会った頃は“これからレースをやっていくぞ”というタイミングでした。今はもうどちらかというとピークは過ぎているけれども、また会えて、一緒に戦えるっていうのは本当にうれしい。これをヨシムラというチームでやる、ということもすごく大事だと思う。

シュワンツ選手:たしかに僕らは歳を取った。けれど、再び同じチームで走ることになって、1986年当時は達成できなかったものに改めてチャレンジできる。今回のチームと一緒に、またよい結果を出したいね。

──辻本選手は第1回の合同テストと、7月2日~3日にあった第2回の合同テストに、シュワンツ選手は第2回の合同テストに参加しました。その感触をお聞かせいただけますか。

辻本選手:1回目は僕1人で雨の中を走ったんですけども、正直鈴鹿サーキットを走るのも久しぶり、最近のレーシングタイヤのレイン用というのも久しぶりだったので、慣れるだけで終わりました。2回目のテストでは1日目はドライで、ケビン、青木宣篤の3人で一緒に走れたので、みんなの好みなんかも分かった。2日目は雨でしたが、ドライでも雨でも、ここまでよい感じで来ていますね。

シュワンツ選手:テストはよかったよ。1日目はドライをチェックできて、3人のセッティングがとても近いことも分かったし、ブリヂストンのタイヤはいくつか違うタイプを試して、いくつかはよくて、いくつかは全然好みじゃなかった。

 ほとんど1日中雨になった2日目は、朝のセッションだけドライで、難しいコンディションだった。残念だったのは短い距離しか走れなかったこと。タイヤの硬さとかライフを把握するためには長い距離を走って確認することが必要だと思うけれど、テスト内容はすごくよかったと思う。

──チームとしてはどういった点を重視してマシンセッティングしているのでしょう。

マシンセッティングでは「バランスを重視している」とコメントする辻本選手

辻本選手:レーシングバイクですから、速く走るのはもちろん、安定感も、運動性能もよくなければ、というところのバランスを重視していますね。ホンダともヤマハとも違う、スズキのよいところをいかに伸ばせるか、と。ヨシムラなのでパワーがあって、そこに助けられているところもありますね。

──ちなみに、テクノロジーやテクニックの面で、世界的なトレンドみたいなものはありますか。

辻本選手:昔と違って今は電子制御がどんどん発達していて、それをうまく使えればプラスになるし、逆にうまく使えなければ難しくなるところもある。でも、僕たちは昔の2スト500ccのマシンにも乗っているので、そういうテクノロジーがなくても走らせられるという“頭”でアプローチできていて、今の若い人とは違う“キャパ”みたいなものはあるかもしれないですね。

──MotoGPのマルク・マルケス選手などは、ヒジを擦るような斬新なライディングを見せていたりもしますが。

辻本選手:ライディングフォームはもうなかなか変えられないですね。でも、タイヤにどう力を加えなければいけないかとか、そういうところで何かやっていかなければならないんだろうけれども、自分たちでできる範囲でやるしかないです。

シュワンツ選手は600ccをやめ、1000ccマシンでトレーニング

──シュワンツ選手は2013年にTeam KAGAYAMAで惜しくも3位でした。優勝するには何が足りなかったと分析していますか。

シュワンツ選手:2013年は、1回の給油で走れる距離をもっと稼がなければいけなかった。1回の給油で26周か27周するのが目標だったところ、頑張っても25周しかできなかった。チームメイトの加賀山・芳賀は十分に速くて、僕は中盤に走ってあとは2人に任せたけれど、1番のポイントは燃費がよくなくて、他のチームよりピットストップが多くなってしまったこと。それに尽きると思う。

──この1年、鈴鹿8耐に向けて特別なトレーニングはしてきましたか?

鈴鹿8耐に向けて、ベーシックなトレーニングに加えて1000ccクラスのバイクに乗る機会を増やしたというシュワンツ選手

シュワンツ選手:(フィジカルについては)これまでと同じベーシックなトレーニングで、マウンテンバイクやモトクロスもやっている。違っているのは、昨年はレースに向けて600ccのマシンで走っていたのを、今年に向けてはそれをやめて、スーパーバイク(1000cc)にしたり、スズキのMotoGPマシンをテストしたりもした。1000ccクラスのバイクに乗る機会を増やしてきたけれど、むしろ2013年の鈴鹿8耐自体がいいトレーニングになったと思っているよ。

──ベースマシンとしては今年も同じGSX-R1000ですが、2013年のマシンと2014年のヨシムラのマシンで違いは?

シュワンツ選手:少し乗りやすくなっているように感じるけれど、2台はわりと似ている。タイヤは2013年がダンロップだったところ2014年はブリヂストンで、ブリヂストンは方向性の違う別のオプションタイヤを選択できるのが2013年と違う。そういう意味で、バイクの方向性を変えやすくなったのが大きな違いで、バイクのパフォーマンス、サスペンションジオメトリー、シャシー、パワーの出方はすごく近いね。

──ダンロップからブリヂストンになって、タイヤのキャラクターの違いを感じたりすることはあるでしょうか。

シュワンツ選手:ほとんどないかな。実際のレースでは長距離を走れる耐久性が必要だと考えて、ブリヂストンでは少し柔らかめのタイプから使い始めたんだけれど、そんなに違いはない。まだ10~15周するような長距離は走れていないし、タイヤの硬さや、長距離でどれだけパフォーマンスが落ちるかというのも分からない。丸いゴムというだけで、どちらも似ているしね(笑)。

あらゆる場面に対処できる経験がアドバンテージに

──ライバルと見ているチーム、もしくは注目しているチームや選手は?

シュワンツ選手:わずかしかないテスト走行の後で答えるのは難しいけれど、まず確かなのは、2013年チャンピオンのゼッケン634、MuSASHi RT HARC-PRO(高橋巧選手ら)と、ゼッケン11の秋吉(F.C.C. TSR Honda)は難しい相手だということ。僕らと同じヨシムラチームのゼッケン34は、同じマシン、同じタイヤで、同じくらい速いことが分かっているから、最大のライバルだね。

 ヤマハについてはゼッケン7(中須賀克行選手ら)と94(デビッド・チェカ選手ら)、それとBMWも来るだろう。ゼッケン87のカワサキ(柳川明選手ら)はテストでよい結果を出していたし、僕らが意識して戦っていかなければならないのは、少なくとも10チームはある。

 あとゼッケン17。2013年に僕がいたTeam KAGAYAMAだけれど、Moto2のヤングライダー(ドミニク・エガーター選手)は手強い。ユキとノリ(加賀山選手と芳賀選手)、そしてそのMoto2ライダーの3人組は速いと思う。

ライバルについて「意識して戦っていかなければならないのは、少なくとも10チーム」と解説するシュワンツ選手

辻本選手:僕も同じです。20年前とか昔は何度もテストがあったんですけど、今は本当にテストが少なくて、その中で相手の調子を見ていくのは難しいですね。今は自分たちがやるべきことをやるだけ。あまり外(のチーム)までは見られてないかな。

──平均年齢の高いチームではありますが、逆に若いライダーよりアドバンテージがあるとすれば?

シュワンツ選手:自分が過去にやったこと、見たことのいろんなものがレースでは起こりうる。どんなレースも簡単だとは思わないし、暑さの問題だとか、トラフィックで頭を悩ませること、僕らはそういう場面で何が最適かをビジュアルとして持っている。

 たとえばTeam KAGAYAMAの若いライダー(ドミニク・エガーター選手)。彼はマシンのことをよく知っているし、常にトラック上で学んでいる。けれど、混雑するトラックとはどういうものか、自分のバイクがどう動くのがよくないかということを知るための経験はまだ少ない。レース中にさまざまな出来事がどれだけ起こるかというのに対して、心構えができるのが僕らのアドバンテージだと思う。

──鈴鹿8耐のレースの見どころ、ポイントがあれば教えてください。

シュワンツ選手:各ライダーがベストを尽くしているのを見てほしいのと、ピットでの交代にも注目してほしい。ピットでの動きが、レースで勝つための最も大きな要素の1つになる。ピットストップでライダーが降りて、次のライダーが乗って走り出す、という一連の流れを確実にスムーズにこなさなければならない。個人的にはコンスタントにタイムを出すことも重要だと思っているよ。

辻本選手:(ピットイン時のスピード制限などに関わる)ペナルティが一番怖いかな(笑)。

「最後まで自分たちの力を出し切れるようなレースをする」と意気込みを語る辻本選手

──最後に、優勝に向けての意気込みと、ファンへのメッセージをいただければ。

辻本選手:今回のこのレジェンドチーム、ゼッケン12のLegend of ヨシムラは本当に特別なチームだと思うんですけども、決勝レースに向けてベストコンディションで3人力を合わせて、とにかく一生懸命つないでいく。そういうのが最後に自ずと結果につながるだろうと。

 熱い日になると思いますけども、最後まで自分たちの力を出し切れるようなレースをしますので、ぜひ鈴鹿に応援しに来てください。年齢はもう関係ないと思うんです。同じ土俵に立っちゃえばね。頑張ります。

シュワンツ選手:スタートから全力で走りきってポディウム、あるいはトップを目指しますので、ゼッケン12のレジェンドチーム、ヨシムラを見に来てほしい。

──本日はありがとうございました。

(日沼諭史)