トヨタ、“日本のコンパクトカーの究極の形”新型「カローラ」発表会
「日本のお客様にジャストフィットする」と豊田社長

セントラル自動車の宮城工場で新型カローラをアピールした豊田章男社長

2012年5月11日開催



 トヨタ自動車は5月11日、同社のアミューズメント施設「メガウェブ」で新型「カローラ アクシオ」「カローラ フィールダー」の発表会を開催した。

 同日、新型アクシオとフィールダーの生産を担うセントラル自動車の宮城工場で、豊田章男社長をはじめセントラル自動車の葛原徹社長、宮城県の村井嘉浩知事らが参加してのラインオフ式を開催。メガウェブの東京会場と宮城工場を中継で結び、式の模様を映像でながしたほか、東京会場ではアクシオ/フィールダーの概要を、同社の製品企画本部 藤田博也氏が説明した。

豊田章男社長セントラル自動車の葛原徹社長宮城県の村井嘉浩知事
セントラル自動車の宮城工場で行われたラインオフ式の様子
会場では俳優の小栗旬氏が登場する新型アクシオ/フィールダーのTV CMとともに、小栗氏からのメッセージが流された

新型カローラは“日本のコンパクトカーの究極の形”
 ラインオフ式の冒頭、豊田社長はカローラについて触れ、「1966年の発売から今年で47年目を迎える。モータリゼーションの幕開けから今日まで、日本のお客様に愛され続けてきたロングセラーカー」「カローラは常に、時代の変化に応じて安心、実用的で高品質なクルマを、納得いただける価格で提供してきた」と述べるとともに、自身が初めて購入したクルマが4代目カローラだったと紹介。その存在は「かけがえのない友人のよう」と表現し、「私のようにカーライフのスタートをカローラと過ごす人もいれば、クルマというクルマを知り尽くしてカローラに行きつく人もいるでしょう。多くのお客様がカーライフのどこかのステージで時間をともにするクルマ。いつの時代でも、お客様のご要望にしっかりと応えてくれる。カローラはそんなクルマだと思う」と、自身のカローラについての見解を述べる。

 そして新型カローラについては、「日本の道に合うサイズとし、その一方で室内や荷室を広くゆったりさせるなど、これまで以上に安心・安全・快適に乗っていただける“日本のコンパクトカーの究極の形”を実現できたと思っている」「新型アクシオ、フィールダーは、日本のお客様にジャストフィットするこれからのカローラの誕生です」(豊田社長)と述べ、その完成度に大きな自信を覗かせた。

 また、同社は昨年、東北を中部、九州に次ぐ第3の国内生産拠点に位置づけており、新型カローラの生産を行うセントラル自動車の宮城工場について豊田社長は、「トヨタの最先端の生産技術を持つ」とし、「新型カローラで、日本のモノづくりの底力を世界に示そう。新型カローラで東北を、日本を元気にしよう」と、意気込みを力強く語った。

アクシオ1.3X。ボディーサイズは4360×1695×1460mmで、カラーはホワイトパールクリスタルシャイン。搭載エンジンは直列4気筒DOHC 1.3リッター「1NR-FE」で最高出力70kW(95PS)/6000rpm、最大トルク121Nm(12.3kgm)/4000rpmを発生
アクシオ1.3Xのインテリア。カラーはベージュ。インテリアでは細かな改良が多数行われており、スピードメーターには視認性の高い白色LEDを採用したほか、兼ねてから要望が多かったと言うミラーの角度調整を行うスイッチ部に照明を設けた
フィールダー 1.5Gエアロツアラー
フィールダー 1.5Gエアロツアラーではブラックを基調とした、スポーティな印象のインテリアを採用。ラゲッジスペースの容量は407Lで、リアシートを倒せば荷室長は2025mmとなり、容量は872Lまで広がる

製品企画本部 藤田博也氏

東北からカローラブランドを送り出すことに誇りを感じる
 車両の概要説明は藤田氏が行った。

 詳細は関連記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20120511_531755.html)を参照されたいが、新型を含む歴代カローラでは、「常に時代の変化に対応し、新しい価値を創造」「お客様の声に真摯に対応」「乗る方の安心、快適性、扱いやすさを最優先」「クラストップの高い品質、上質さを提供」「これらを納得いただける価格で提供」を重要視し、世界中に市場を広げてきたと藤田氏は言う。

 その結果として、モデルチェンジの度にカローラは大型化してきた。しかし、近年の日本の自動車市場は高齢化、あるいは高齢化に伴う車両のダウンサイジング、環境意識の高まりなど、さまざまな変化が起きていると言い、「(新型カローラの)開発にあたって、これまでにない取り組みが必要になると強く感じるようになった」と開発当初を振り返る。そこで、11代目では「大人4人が安心・安全・快適に長距離を移動できる最小のクルマ」というカローラの原点に立ち返り、「日本にジャストサイズなカローラ」をコンセプトに開発を進めたと言う。

1.3X Gエディション
1.5LUXEL

新型カローラの開発テーマ

 開発コンセプトは、アクシオでは「ビッグスペースコンパクト」を掲げ、次世代のコンパクト3ボックスセダンの本質を追究。また、フィールダーは「オールラウンド・フィールダー」で、アクティブライフを楽しむ、幅広い層にアピールする、スタイリッシュで使い勝手のよいワゴンを目指した。

 新型カローラの開発ポイントは、「人にやさしい快適なパッケージ」「スタイリッシュ&ユニバーサルデザイン」「快適で上質なひとクラス上のインテリア」「心地よい走りと低燃費」「安心・安全の追求」の5点。

 パッケージの説明では、全長をアクシオで50mm、フィールダーで60mm短縮しつつ、後席のニースペースを40mm拡大して居住性を高めたこと、前席ヒップポイント高を10mm上げたことで、乗降性に磨きがかかったことを述べたほか、フロントピラーの角度変更、Aピラーの細幅化、ドアミラーの取り付け位置を変更してピラー付け根の視界向上を図るなど、前方視界の拡大を行っており、「とくに右カーブ時の対向車、交差点などで右折をするときなどの歩行者の確認がしやすくなった」と紹介。

 また、フィールダーのラゲッジスペースについても触れ、「後席のシートバックを倒せば、ラゲッジ長は2mを越える2025mm(先代比+410mm)と、大人がラクに横になって休むことができるほどの大きなスペースが出現する」「ワンタッチで、リアシートバックを倒すことができるレバーをラゲッジルーム横に設けている」とアピール。

 パワートレーンは、アクシオは直列4気筒DOHC 1.3リッターの「1NR-FE」と、直列4気筒DOHC 1.5リッターの「1NZ-FE」に5速MT(1.3リッターモデルはCVTのみ)またはCVTを、フィールダーでは1NZ-FEと直列4気筒DOHC 1.8リッターの「2ZR-FAE」に5速MT(1.8リッターモデルはCVTのみ)またはCVTを組み合わせる。とくに、1NZ-FEエンジンを搭載するFF車に組み合わせるCVTに大改良を加えたとし、「エンジンとの統合制御を強化し、燃費向上とともにアクセル操作に対するレスポンスを大幅に向上させた」(藤田氏)。

 最後に藤田氏は、「カローラには、46年の長きにわたり日本のモノづくりを支えてきた自負がある。11代目カローラ開発陣の先輩方と同じく、“お客様に笑顔を”を何よりの励みとし、クルマづくりを通じて社会に貢献しようという志のもと開発を進めてきた」とし、震災からの復興が進む宮城から、カローラブランドを日本各地に送り出すことに誇りを感じていると述べた。

新型カローラの開発ポイント先代と比べ、アクシオは50mm、フィールダーは60mm全長が短くなったが、後席のニースペースなど居住空間は先代よりも広がった
先代と新型カローラのフロントピラーの視界の比較インテリアの便利な装備
フィールダーのラゲッジルームの幅は40mm広がり1510mmになるとともに、最大ラゲッジ長2025mmを確保した
アクシオとフィールダーのパワートレーンについてアクシオは1.5LUXEL、1.5G(2WD/CVT)、1.5X(2WD/CVT)、フィールダーは1.5G(2WD/CVT)と1.5X(2WD/CVT)でオプション設定のアイドリングストップ機構を選択できるCVTの改良により加速レスポンスが向上
フィールダーの1.8S“AEROTOURER”、1.8Sは7速スポーツシーケンシャルシフトマチックを標準装備VSC(ビークルスタビリティコントロール)やTRC(トラクションコントロ-ル)を全車標準装備するなど、安全性能を高めた
JNCAP最高レベルの安全ボディーを実現SRS運転席・助手席エアバッグ、SRSサイドエアバッグ、SRSカーテンシールドエアバッグなども全車標準装備アクシオ/フィールダーのラインアップ

(編集部:小林 隆)
2012年 5月 11日