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BMW、キープコンセプトでも中身が一新された新型「MINI」発表会

「コンセプト、デザインアイコン、DNAをキープしながら、最新のテクノロジーでMINIを再構築」

MINI クーパー S(左)とMINI クーパー(右)を紹介するビー・エム・ダブリュー MINIディビジョン本部長のフランソワ・ロカ氏
2014年3月25日開催

 ビー・エム・ダブリューは3月25日、同日発表した新型「MINI」の発表会を都内で開催した。

 今回フルモデルチェンジしたのは、MINIラインアップの中でも中心的存在のハッチバックモデル。ひと目でMINIと分かるスタイリングコンセプトを維持するが、それではあまり変わっていないという印象を持たれかねないため、発表会では“ニューオリジナル”などのコンセプトを掲げ、新型の変化や新しさを強調した内容になっていた。

 新型MINIの概要は別記事(http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140325_641126.html)を参照されたい。

MINI クーパー S(左)とMINI クーパー(右)
アンベールされ、スモークとともに新型MINIが登場
ダンスパフォーマンスで迎えられた

2014年から新しい体制でMINIのビジネスを展開

ビー・エム・ダブリュー MINIディビジョン本部長のフランソワ・ロカ氏

 発表会でまず登壇したのは、MINIディビジョン本部長のフランソワ・ロカ氏。ロカ氏は現在のMINIの販売状況について触れ、2010年から4年連続で販売台数が伸びており、2013年は過去最高を記録したと紹介。7車種による展開も功を奏しており、直近では「MINIクロスオーバー」が販売台数で40%を占めるなど、比較的コンパクトな4ドア車という点で好評だという。そして2014年も引き続き好調が予想されるとした。

 その理由の1つが新しい組織で、2013年まで販売はBMWと同じ部門が担当していたが、今年からMINIだけで独立して活動するようになった。さらに営業とマーケティングが統合され、ロカ氏が本部長として率いていくことが好調を予想する理由だと説明している。

 また、販売ネットワークの拡充も行い、2013年までの114店舗体制からさらに増える。2月、3月も店舗の開店が続き、4月には横浜市みなとみらい地区にも新店舗をオープンする。ロカ氏は、このみなとみらいの新店舗に自信があるようで、「大きな店舗なのでぜひ見に行ってください」と述べた。

 その一方で、ロカ氏は既存店舗にも力を入れ、営業担当を増やすなどプロセスを改善すると説明した。その理由について「プレミアムコンパクトカーの市場がどんどん大きくなると思っているため」と説明するとともに、今後は「今までこのセグメント(プレミアムコンパクトカー)でリーダーシップをとっていたが、それを守るためにMINIブランドをより多くのお客様に感じていただきたい。特に国産車を持っているお客様がターゲット」と話した。

新型MINIはクーパーとクーパーSのラインアップからスタート

 新型MINIの発表会では、クーパーとクーパーSが展示された。どちらもAT車で、オプションのLEDヘッドライトを装備。クーパーにはオプションのナビゲーションパッケージが装備されていたが、どちらのモデルも衝突被害軽減ブレーキなどのセットオプション「ドライビングアシスト」は未装備となっている。

MINI クーパー
LEDヘッドライトを装備。スモールライトは下辺が欠けたリング状となり、ターンシグナルランプは下になる
インテリア。コラム上にメーター類を装備する
シフトレバーと、その奥にはトグルスイッチ状のエンジンスタートスイッチがある
センターに位置する8.8インチワイドディスプレイ
ダッシュボード全景
フロントシート
リアシート
ウインドーにセンサー類を装備。衝突被害軽減ブレーキ機能を装備すると、さらに多くのセンサーがここに装備される
クーパーに搭載する直列3気筒1.5リッターツインパワーターボエンジン。最高出力は100kW(136PS)/4000rpm、最大トルクは220Nm(22.4kgm)/1250rpm
タイヤサイズは175/65 R15。展示車はハンコック製を装着
MINI クーパー S
グリルの六角形の穴や、リアのエキゾーストエンドなどが特徴的
フロントグリル下にエアインテークがある
エキゾーストエンドが中央となり、リアフォグライトが左右に配置される
トランクルームは上下に深い。スペアタイヤは装備されない
クーパー Sは直列4気筒 2.0リッターツインパワーターボエンジンを搭載。最高出力141kW(192PS)/5000rpm、最大トルク280Nm(28.5kgm)/1250rpmを発生する
大きく開くボンネット
タイヤは195/55 R16。クーパー Sもハンコック製を装着していた
クーパー Sのインテリア
シートは多数のオプションから選ぶことができる
MINI クーパー Sもエコカー減税対象となる

前と何が違う? それを狙ったモデルチェンジ

MINIディビジョン プロダクト・マーケティング・マネージャーの岡田信之氏

 新型MINIの商品説明を行ったのは、MINIディビジョン プロダクト・マーケティング・マネージャーの岡田信之氏。説明は、冒頭であまり見た目が変わっていないスタイリングに対しての回答から行われ、「前と何が違うかと思うかもしれないが、それこそが今回のモデルチェンジが狙っているところ。コンセプト、デザインアイコン、DNA、そういったものをキープしながら、最新のテクノロジーを使っていちからMINIを再構築した。そう言えるフルモデルチェンジ」と解説。

 中でもモデルチェンジのポイントは4つあり、それは「アイコンのデザイン」「クリーンでエキサイティングな走り」「充実したインフォテイメント装備」「先進のドライバーズサポート」という。

 スタイリングでは、円形ライトといったMINIのデザインアイコンを残しながら、グリルの高さ方向を拡大。さらに円形ライトにLEDヘッドライトを用意したことなどに触れ、従来から変化したことを強調。その結果、「パッと見て、どこから見てもMINIでありながら、最新の車と感じていただける」と岡田氏は説明した。

 また、インテリアではセンターディスプレイを採用するなど大きく変わった。このセンターディスプレイの周囲にLEDのリングを配置し、エアコンの温度調整などを行うとリングが操作に応じて光る仕組みになっていて、こうした遊び心を持っているのも新型MINIの特長とした。

 一方、インフォテイメントシステムについて岡田氏は、「正直、これまで必ずしも先進の装備が得られたわけではなかった」とし、新型MINIでは今までのイメージを払拭すべく最新の3D地図、衛星画像付きHDDナビゲーションを搭載可能にしたことや、ディスプレイに8.8インチのタッチパネルを搭載したことを紹介。また、スマートフォンと連携する「MINI CONNECTED」はこれまでiPhoneのみの対応だったが、新たにAndroidにも対応した。

 さらにドライバーをサポートする機能として、フロントウインドーにカメラを備え、アクティブクルーズコントロール、前車接近警告機能、歩行者に対しても有効な衝突被害軽減ブレーキなどを装備したことをアナウンス。

 最後に岡田氏は価格についても言及。クーパー(6速MT)で266万円(消費税8%込み)からという価格は、消費税率が8%になったことを考慮すると実質的には下がっていると説明。上位モデルのクーパーSは、ナビゲーションの装備があっても7万円高に留め、しかもエコカー減税の対象となったことでクーパーSも戦略的な価格設定であることを訴えた。

発表会では、クラシックMINIも参考展示。10インチタイヤ、スライド式のサイドウインドーを採用するなど、クラシックの中でも比較的初期の仕様だ

(正田拓也)