DIYでクルマいじり
NAOさんのDIYでクルマいじり
第18回:イクリプス「AVN-ZX02i」を中心に、これでもかっ!と快適IT装備を満載して東京ゲートブリッジへ行こう!
(2013/4/5 00:00)
大画面カーナビ×スマホ連携時代、クルマの中でもワイヤレス充電とな?
9型大画面カーナビ「AVN-ZX02i」の改造取り付け、長距離弾丸ドライブ、iPhoneやDSとの連携機能と3回にわたって遊びまくってきた訳だが、今回はカーナビ編の集大成として「超カイテキITクルマ空間」を仕立てることにした。もともと筆者の愛車はなんだーかんだーとパーツを取り付けて手前味噌だが結構快適な仕様に仕上がっている。そこからさらにカイテキIT仕様にしようと言うのだから、少々の強引さとコジツケが入るのは大目に見ていただければありがたい。
先日Car Watchの記事でも紹介されていたが、デンソーから国内初の車載用ワイヤレス充電規格「Qi」(チーと読む)対応充電器が4月に発売されるそうだ。Qiって何ぞや?という方もおられるだろうが、電動歯ブラシや電気シェーバーでおなじみの、「台に置くだけで充電ができるシステム」の進化版で、スマートフォンやモバイルバッテリを充電することができる。家庭用の充電パッドはすでに何機種も発売されているので、単純にそれをクルマに積めば済む話なのでは?と一瞬思ったのだが、クルマに積むからには安全性や信頼性などクリアするべき課題も多いのだろう(その大変さは、実験してみてよく分かった)。ともあれ、車載用を買って来てそのまま取り付けたのではネタにならないので(笑)、家庭用QiをDIYで車載してみよう。
センターコンソールボックスにワイヤレス充電器を内蔵してみよう
ヴェルファイアの場合、運転席と助手席の間に結構大きなコンソールボックスが備え付けられている。ディーラーオプションで冷蔵庫仕様にすることもできるし、ハイブリッド仕様の場合はこの中にバッテリが入っていたりするのだが、筆者の場合は大きな小物入れ状態になっている。スライド式の上段部分にはスマホやバッテリを置くのにちょうどよいトレイがあるため、この部分にワイヤレス充電パッドを埋め込むことにした。
センターコンソールボックスは、以前フロアの静音化をした際に一度取り外しているため作業要領は問題ないが、大きく重く、底面は金属剥き出しなのでケガや内外装へのダメージに細心の注意を払いつつ取り外す。車内では作業がしづらいため室内に持ち込んだのだが、フローリング床に直接置くと床が傷だらけになってしまうので養生にも注意が必要だ。充電パッドと対象物の間は多少の隙間があっても充電できることを確認しているため、あわよくばトレイの裏側部分に充電パッドを貼り付けるだけで……と思ったのだが、もちろんこれでは動作せず。やはりボックス自体を一度バラバラにして真裏に取り付けるしかなさそうだ。
コンソールボックスは結構凝った作りでパーツ点数も多く、剛性と耐久性を持たせるために大きなクリップが相当固く噛み合っている。そのため分解が本当に大変だった。なんとか小物トレイの真裏部分までたどり着き、充電パッドの上部カバーだけを取り外した状態で仮固定すると無事ワイヤレス充電に成功。よかったよかった。では元通りに……ならない。なる訳がない。この部分、隙間が1cm弱しかないため、充電パッドを駆動部ごと埋め込むとフタが閉まらなくなってしまうのだ。さらに下の部分をグラインダーでゴリゴリ削れば入るかもしれないが、筆者にしては珍しくいろいろ考えてその方法は却下。さて、どうしたものか。
ワイヤレス充電パッド超スリム化作戦で、Qi内蔵小物トレイはOK!
新たな機能を追加するためとは言え、本来コンソールボックスが持っている機能を何か犠牲にしたのでは本末転倒ということで、入らぬなら削ってしまえ作戦は今回封印、ワイヤレス充電パッド側を超スリム化することで何とか埋め込みたい。
今回使った充電パッドはコイル部分が動き回ってモバイルバッテリやスマホなどQi対応機器を自動的に見つけてくれるのが特徴だが、コイル移動機構を活かしている限りこれ以上の薄型化は難しい。試しに駆動部分をすべて取り外してテストしてみると、コイルの位置さえある程度合っていれば充電は問題なくできた。基板とコイルだけなら厚さは6mm程度、これで問題なくトレイ裏側に実装することができた。
●パナソニック 無接点対応USBモバイル電源 QE-PL102-W/QE-PL202-W
http://panasonic.jp/battery/pocket/
●パナソニック 無接点充電パッド QE-TM101-W
http://panasonic.jp/battery/chargepad/
目指すは走る自分専用サーバー、どうせならPCも搭載したいぞ
カーナビとスマホが相互補完しあうように、クルマにもPCがあれば便利になるに決まっている。筆者の車は800Wと2kWのインバータを仕込んであるため巨大なゲーミングデスクトップPCでも搭載して動かそうと思えばたぶん動くだろうが、せっかく快適性を追求しているのに騒音PCを搭載するなどもってのほか。十分な性能を小型かつ静かに実現するために、産業用PCながらも一般に手に入る小型ベアボーンPCをチョイスした。
細かなスペックは長くなるので割愛するが、最新高性能デスクトップPCと同等の性能をセンターコンソール内部に埋め込むことができるとは、これまた技術の進歩に感謝しなくては。どうせPCを搭載するなら、写真やら動画やら大量のデータも一緒にもちあるいて楽しめるよう、都合6TBの大容量ストレージも車載してしまおう。画面出力は、いつものようにアナログRGBをダウンスキャンコンバート。もちろんカーナビ画面に出力することも可能だが、ナビにはナビ画面をいつも表示させておきたいので助手席用あるいは後席用のモニターにマトリックス出力できるように配線。なんだか小難しいカタカナが並んでしまったが、要するに全ての映像音声系統を、カーナビを中心としてアッチにもコッチにも行き来できるようにした。
PCなのでカーナビとは違い若干の起動時間などが必要だが、出先で撮ったビデオをすぐバックアップ、軽く編集してSNSにアップするといったことも簡単にできてしまうクルマでの高速大容量PC活用は、なかなか魅力的だ。
●日本Shuttle ベアボーンPC DS61 V1.1
http://www.shuttle-japan.jp/barebone/slim/ds61v11
●日本Shuttle NAS(ネットワークストレージ) KD20
http://www.shuttle-japan.jp/nas/
じゃん!クルマの電気も大切にね
ミニバンは特にスペース的に余裕があるため、やろうと思えば本当にたくさんのハイテク快適機器を車載することができる。が、自宅リビングと走るリビングが決定的に異なるのは、電力をクルマ自前でなんとかしなければならないということだ。ガソリン仕様ヴェルファイアの場合、通常仕様/寒冷地仕様を問わず比較的大容量な150A出力のオルタネータ(発電機)が搭載されており、バッテリ容量もそれなりに大きなタイプが標準採用されている。しかし、これはあくまで各種車輌制御コンピュータ、各種ライト、ワイパー、エアコンをはじめとした純正装備品を安全確実に運用するために用意されている訳で、詰め込みまくった追加電装品をいくら使っても大丈夫ということではまったくない。ユーザー側の責任として、定期的な補充電やバッテリのランクアップ、必要であればサブバッテリシステムの構築などクルマの電力安定確保に努めたい。
後席エアコン操作パネルのリモコンが欲しい~!
筆者はできる限り自分で運転したいタイプなのでドライブ走行中後席に座ることはまずないのだが、休憩などで後席を楽しむ際にちょっと気になっていることがある。以前乗っていた他社ミニバンには用意されていた「後席用リモコン」がヴェルファイアにはないのだ。カーナビやテレビ等はそれぞれリモコンがあるため問題ないのだが、スーパーリラックスモードにした2列目シートにゆったりと包まれて、夢心地で快適クルマリビングを楽しんでいる最中、「ん……ちょっと後席エアコンの温度を……」と思うとヨッコラショと立ち上がって、サンルーフ付近にある操作パネルか、あるいは運転席の操作パネルまで行く必要があるのだ。
そーんな、ささいなことをと思われるかも知れないが、思いっきりリクライニングしてくつろいでいる時のヨッコラショは、なかなかの残念感。ドライブ中後席に座っている人だって、本当はエアコン設定を変えたいのに運転手に声を掛けるのを遠慮しているかも知れないし、ここは一つリモコンを作ってみることにしよう。筆者のことなので、もちろんCAN信号を解析してどーのこーのという難しいことは一切せず、後席操作パネルを分解して、スイッチ信号を1つ1つ取り出して、そこにリモコン信号をリレー経由で直接突っ込むという分かりやすい方法で行きたいと思う(笑)。
照明用の赤外線リモコンユニットなどであればすでにリレーが実装されているので簡単に接続できそうだが、サイズが大きく価格も高く、しかも制御できる系統(ボタン)数が1つか2つなので実用性に乏しい。そこで今回は秋葉原で手に入る赤外線リモコン組み立てキットをちょいと改造して流用することにした。
●千石電商 赤外線リモコン 送信部 IR-0279A / 受信部IR-0279B
http://www.sengoku.co.jp/mod/sgk_cart/search.php?multi=IR-0279&cond8=and
これはかなり快適!後席エアコン操作パネル用リモコン
赤外線リモコンキットの組み立ては本当にアッと言う間なのだが、後席操作パネルとの接続には一工夫が必要だ。掘り下げるとキリがないのでザックリ説明で恐縮だが、このキットが出力する信号はIC出力レベルのため、そのままではスイッチを押す役目をしてくれるリレーを動かすことができない。
「(リモコンのボタンが押されましたよ……)」というささやくような声(ICレベル信号)を、「リモコンのボタンを押したよ!」という普通の声(リレーが動く電圧と数百mAの電流)に増幅する必要がある。そのためにはバッファ回路を作るのが近道なのだが、そんなの面倒だしーという場合はTTLレベルで動作できる半導体リレーボードという便利なパーツがあるのでこちらを使うのがよいだろう。ともあれ、リモコンキットに簡単な周辺回路を試作して動作チェック。部品プラプラの空中配線状態でも動作はするが、クルマに積むからには基板にしっかりと部品を実装して振動に耐えられるようにしたい。リモコン送信機は後席リモコンとして使いやすいよう、ボタン機能を印刷したシートを貼り付けてちょっとお化粧。なんだか化粧崩れ気味なのでこちらは後日作り直しが必要か。後席エアコンリモコンは想像以上に便利なので、腕に覚えのある方は是非挑戦してみてはいかがだろうか。
●AVN-ZX02i用 10キーリモコン
http://www.fujitsu-ten.co.jp/eclipse/product/accessory/remote/
●NUMATO TTLレベル入力 8chリレーボード
http://numato.com/8-channel-relay-controller-board
●バッファロー PC用学習リモコン
http://buffalo.jp/products/catalog/item/p/pc-op-rs1/
●Galleyra ステアリングリモコンアダプタ
http://www.galleyra.co.jp/product.htm
春うらら、東京ゲートブリッジを目指してドライブに出発!
9型大画面ナビAVN-ZX02iを中心に、あちこちモニター、各種カメラ、PCにNASにゲームに追加リモコン、さらには非常食まで積み込んで正に最強の快適IT移動リビングへと進化した愛車ヴェルファイア。純正オプションでもなければまるで関連性がなさそうなPCまでくっつけて、と思われるかも知れないが、PCで各種映像音声ソースを送出するにしろ、後席の人がゲームを楽しむにしろ、20個近いスピーカーを駆動するのは他でもないAVNナビなのだ。まさに、クルマのマルチメディアを一挙に橋渡しするゲートブリッジ……よし、せっかくだからまだ行ったことがない東京ゲートブリッジまで試運転!
どんな状況下でも見やすいデジタル接続の9型大画面、進化したナビ機能、iPhone連携やクルマでDSといった楽しくて実用性も高いエンタメ機能などなどに、今回さらなる快適性能を追加したことで、ますます次のドライブ旅行が楽しみで楽しみで仕方がない。筆者のように無謀ともいえる加工を加えるかどうかはともかく(笑)、クルマの快適度を一気に高めてくれる高性能ナビ、まだ使ったことが無いという方は是非一度お店で触ってみてはいかがだろうか。
さ~て次回のサザエさんは、「ヴィッツ、納車直後に分解される」の巻き。お楽しみに~!
●東京ゲートブリッジ(東京港臨海道路 橋梁部)
http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/gatebridge/gatebridge_top/