日下部保雄の悠悠閑閑
2年目の角田裕毅選手
2022年3月14日 00:00
WRCも2戦が終了してラリー1のヤリスは好調。勝田貴元選手も難しいラリーを2戦消化してポイントを稼いでいる。WRCは今年も目が離せないが、F1もいよいよ開幕となる。今年は過去最多の全23戦が予定されているが、毎週F1をやっているようなもので大変なシーズンになりそうだ。
第1戦は中東、バーレーンGPで3月20日に開催される。スタートは現地時間の18時。昼間は暑くてやってられないのでナイトレースとなったのだと思う。
話は逸れるが、以前ドバイのサーキットイベントを運営したことがある。日中の暑さには参った。外にいるだけでボーとしてくるほどで、とてもレーシングカーなんて乗るのは無理だ。その時はエアコンのあるクルマでよかったと心底思った。
さて、F1の開幕を前に角田裕毅選手のインタビューが行なわれた。F1は分からないことだらけだが、それだけにチームの中からの声を聞けるのはよいチャンス。ましてマシンを操るドライバーからの生の声は貴重だ。
実は角田選手のオンラインインタビューに参加するのは2回目。最初は今年の初めのシーズンオフだった。角田選手ってどんな若者だろうと興味津々だったが、初めてのF1に、挑戦者らしい勝ち気と負けん気が素直な物言いに表れていた。質問にも自分の言葉で一生懸命に答えようとしていた姿も好印象だった。
2回目の今回はレッドブルが主催のオンラインインタビューだ。コロナ禍でチームの移動も大変だが、ドライバーも同じ。インタビュー会場はどうやらバーレーンのホテルのようで隔離中かもしれない。
インタビュアーからのオフの過ごし方はとの問いかけに、フィジカルトレーニングという答えが返ってきた。昨シーズンはレース後半に体力が続かなくなったことがあったようで、年初のインタビューでもそのことに触れていた。確かにシーズン前にスクリーン越しに見る角田選手の首は一段と太くなっていた。フィジカルトレーニングは大嫌いと公言して憚らなかったので相当危機感があったのだろう。
興味深かったのは2022年のF1はレギュレーションの変更で各チーム一斉に新型を持ち込むことになるということ。いわゆるゼロスタートだ。空力面の影響が大きくオーバーテイクしやすいマシンになったという。これまで極限まで煮詰められた空力に乱気流が起きないような変更が加えられたということなんだろうか。
また話が逸れてしまうが、グループA時代にM3のリアスポイラーの効果をあまり実感できなかった空力音痴なので、フォーミュラの繊細な空力なんて想像することも難しい。きっとスリップに入った時とか出た時にいろんなことが起きるんだろうと思うと、現代のドライバーはいろいろ大変だ。
F1は長い間13インチタイヤだったが今年から18インチタイヤになる。接地長が長くなり、エアボリュームは減るのが普通だから、グリップ力やコントロール性は大きな差があって当然。空力と合わせて開発には手間がたくさんありそうだ。
しかし13インチタイヤでは高速コーナーで限界点でのコントロールが難しかったが、18インチではコントロールしやすく、トラクションも掛かるという。
なるほど、抜きやすくなって、マシンのコントロール性もよいとなるとドライバーの力量が発揮されるチャンスが大きく、なおさら面白いレースが見られそうだ。
自信もつけて、懸案だった体力も得た角田選手。今年の抱負はまずチームメイトのガスリー選手をやっつけることだという。こんな言葉はお互いの信頼関係が成立していないと出てこない。充実した2年目に期待してます。