イベントレポート
【CES 2019】デンソー、車載エッジコンピュータ「Mobility IoT Core」でリアルなMaaSを実演
CAN、LINに加え、アナログで暗号鍵をやり取り
2019年1月21日 00:00
デンソーは、米ラスベガスで開催された「CES 2019」において、車載エッジコンピュータ「Mobility IoT Core」を中心とした展示を行なった。
デンソーが2019年のCESで展示した車載エッジコンピュータ「Mobility IoT Core(モビリティ IoT コア)」は、2018年のCESでその構想が発表されていたもの。ArmのCortex-Aシリーズをベースに、組み込みLinuxをOSに、その上にVehicle Administratorを構築。その上部で、Edge Analytics、Vehicle Server、OTA APP Containarが動作していく機能を一体型としたもの。この車載エッジコンピュータ「Mobility IoT Core」をクルマに搭載することで、MaaS(Mobility as a Service)を実現していこうというものだ。
モビリティサービスにはさまざまな形態があるが、いずれにしろクラウドサーバーと接続し、クラウドサーバー上のデータを参照しながら、実際のクルマをコントロールしていくことが必要となる。各種展示会でMaaSに関するビジョンが語られるが、実際にクルマをコントロールするには、クルマの動く仕組みを理解し、クルマの中でやり取りされている信号を理解している必要がある。
デンソーのMobility IoT Coreはこれを実現するもので、クルマのコントロール信号を、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)経由で発信することができる。これによりクルマの動きだけでなく、各種ドアの開閉などもコントロールできようになる。
デンソーは実際にその応用例として、「DENSO URBAN MOVES.」というMaaSシャトルを展示。シャトルに乗ってショッピングセンターに行き、映画などを楽しんでいる間に、あらかじめシャトル内で注文したものをシャトルのトランクに積み込んでくれるというユースケースなどをデモしていた。
この映画などを見ている間にショッピングしたものを運んでくれるというデモはよくあるものだが、デンソーのデモはひと味違う。ショッピングしたものを、配達のスタッフがトランクに積み込んでくれるのだ。
そのために必要となるのが、トランクなど一部のロックを外す権利を外部に引き渡すこと。これは1度限り使える鍵データ(ワンタイムパスワード)の付与となるが、この鍵データのやり取りを構築。CAN経由で流すことができるほか、LINやアナログラインでも流すことができるとし、各部のドアをCANでコントロールしていないクルマへの対応も考えられている。
Mobility IoT Coreのインターフェースまわりを見ていると気がつくのが、USBなどのデジタル系統に加え、LINEなどのアナログ系統が用意されていること。これについてスタッフは、「現在は開発の段階なので、いろいろなインターフェースを搭載しておきたい」とのことで、Mobility IoT Coreがこのままではないことを示唆した。
夢のクルマのデモはいろいろあるが、デンソーのデモにはCANやLIN、そのほかのアナログインターフェースなど、クルマを動かす仕組みを伴っているのが特徴になる。クルマの大手サプライヤーならではの説得力のある展示となっていた。