イベントレポート

【東京モーターショー 2019】グランツーリスモとトヨタのコラボ「GR Supra GT Cup」。7万件の意見をクルマ開発に反映

次期イヤーモデルのスープラ、多田氏「レーシングカーライクな方向に」

2019年10月23日 開幕

2019年10月25日 プレビューデー

2019年10月25日~11月4日 一般公開日

メディアのインタビューに応えた山内一典氏

 東京ビッグサイト(東京都江東区有明)で開催中の「第46回東京モーターショー2019」。東京モーターショー青海エリアの「FUTURE EXPO MEGA WEB」では、10月26日にPlayStation4用ソフト「グランツーリスモSPORT」を使用した世界一のスープラ使いを決定する「GR Supra GT Cup決勝大会」が開催された。

 GR Supra GT Cupは、TOYOTA GAZOO Racing(トヨタ自動車)が“eモータースポーツ”活動の一環として行なう「GR スープラ RZ」を使ったワンメイクレース。そこで得られたさまざまな評価や意見は、今後のリアルなスープラの商品強化へと活かされるという、グランツーリスモSPORTを活用した新たな取り組みとなる。

 決勝大会にはオンライン予選でグローバルに実施された全13ラウンドの上位選手24名が参加。富士スピードウェイのコースを使用した地域別のAグループ、Bグループによる準決勝に続いて、決勝ではスパ・フランコルシャンのコースを使用したレースが行なわれた。決勝レースではドイツのミカエル・ヒザル選手が優勝して、GR Supra GT Cup初代王者の座を獲得。日本の川上奏選手が2位、宮園拓真選手が3位と表彰台を獲得した。

GR Supra GT Cupの表彰台。左から2位の川上奏選手、優勝のミカエル・ヒザル選手、3位の宮園拓真選手。決勝レースではリアルなモータースポーツと変わらない真剣勝負が展開された

グランツーリスモで約60万台のGR スープラオーナーが誕生

「GR スープラ RZ」を使ったワンメイクレース「GR Supra GT Cup」

 トヨタとの新しいコラボレーションについて、山内氏は「グランツーリスモはインゲームクレジットを稼いでゲームの中でクルマを買うというゲームで、GR スープラはグランツーリスモ内でのローンチをして以来、だいたい60万台ぐらいがユーザーによって購入されました。そして、GR Supra GT Cupというのは、単なるワンメイクレースシリーズということだけではなくて、グランツーリスモを通じてGR スープラに乗ったプレーヤーたちのフィードバックをもとに、次の年のイヤーモデルを作るという野心的な試みです」と解説した。

 加えて、山内氏は「ですから、いまトヨタの中で企画されている次のイヤーモデルのGR スープラは、今年のプレイヤー達からのフィードバックで、だいたい7万件以上のプレイヤーからのフィードバックがあって、そういったものが反映されて新しいGR スープラに生まれ変わる、というプロセスを今後も続けていくんです」と明かした。

eモータースポーツ参加者から7万件以上のフィードバック

 7万件以上のフィードバックについて、具体的な内容について聞くと、山内氏は「GR スープラ開発チームの皆さんが作られたアンケートに答えてもらうという形式をとっています。ですからゲームの中での行動分析みたいなものではなくて、直接 GR スープラのチームの皆さんがグランツーリスモのプレイヤーにアクセスして、彼らの知りたいことを知るというそういうプロセスです」と説明した。

 eモータースポーツによるレーサー発掘から、クルマ開発にまで広がったグランツーリスモの取り組みについて、山内氏は「僕はやっぱり自動車が好きですし、どうやったらこの文化を維持していけるんだろうということをいつも考えています。ですからこういった試みをほかの自動車メーカーさんもぜひやっていただきたいなと思っています」との期待感を語った。

次期イヤーモデルのスープラ、多田氏「レーシングカーライクな方向に」

世界一のスープラ使いが決定した「GR Supra GT Cup」。左からグランツーリスモシリーズのプロデューサー山内一典氏、2位の川上奏選手、優勝のミカエル・ヒザル選手、3位の宮園拓真選手、トヨタ自動車の多田哲哉氏

 一方、スープラの開発責任者であるトヨタ自動車の多田哲哉氏は、「実は一昨日ヨーロッパから帰ってきました。来年モデルのスープラのアップデートをするために、eレースのスーパードライバーから意見をいっぱいもらったので、それをもとに来年モデルのリアルスープラのアップデートのテストに行ってきました」と明かすとともに、グランツーリスモとの新しい取り組みについて「来年モデルのeスポーツのスープラも同じようにアップデートして、毎年eレースドライバーのコメントも聞きながら、スープラを進化させていきますので、単なるレースの参加者ではなく、チームスープラのクルマ開発の一員であることを覚えてもらって、どんどんスープラユーザーとなってeレースに来ていただきたい」と、この取り組みを継続する考えを話した。

 また、次期イヤーモデルのスープラに関して、多田氏は「来年モデルはエンジン、サスペンション、ボディも全て変えます。こうやって走ってもらったeレースドライバーや、リアルで買ってもらったお客さんのコメントを聞いてアップデートしていきます。(次期スープラは)どちらかというと、いまのスープラ以上にレーシングカーライクな方向に進んでいくと思うので、リアルバーチャルともにご期待ください」と予告した。

同会場では「GR Supra GT Cup ファイナル」のほかにも、10月26日~27日の日程で「2019 ワールドツアー5 東京 マニュファクチャラーシリーズ」「都道府県対抗 U18 全日本選手権」「真剣勝負 自動車メーカー対抗戦」「2019 ワールドツアー5 東京 ネイションズカップ」といった大会が展開された(写真は東京モーターショー出展メーカーによる「真剣勝負 自動車メーカー対抗戦」)

編集部:椿山和雄