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沖電気、ITSサービスの技術検証強化に向けテストコースを新設。開設記念式典開催

「社会課題を解決するという使命を持って事業をより邁進していく」

2017年11月8日 開催

ITSテストコース開設記念式典を開催

 沖電気工業は11月8日、埼玉県本庄市にある情報通信本庄工場敷地内に「ITS(Intelligent Tranport Systems:高度道路交通システム)テストコース」を開設。メディア向けに開設記念式典とデモンストレーションを実施。次世代交通事業の取り組みについての紹介を行なった。

 今回開設されたITSテストコースは、直線路と周回路を合わせて約300mの全長となるコースに、ETCシステムや電波の送受信システムなどを設置。スピードを落とさずに料金所などを通過できる「フリーフローETCシステム」や車両プローブ情報を活用したITSサービス「LocoMobi2.0」などの商品開発評価に加え、車車間・路車間の相互通信技術のV2X、交通環境のセンシング技術などの開発を実施して、自動車や車載向けの試験・評価・解析サービスや先端運転支援システムなどでも活用し、次世代交通分野の発展に寄与していくとしている。

 開設記念式典では、沖電気工業 常務執行役員の坪井正志氏が挨拶。これまで情報通信事業は通信系の事業本部と情報系の事業本部、公共系の事業本部の3つに分かれていたが、2016年4月に統合したことに触れ、「社会課題を解決するという使命を持って事業をより邁進していく」と決意を表明。

 さらに、昭和37年に開設され、通信のメイン工場としてさまざまなものを製造してきた本庄工場でITSのテストコースを開設したことについて「非常に感慨深い」と述べ、「まさにこの工場が情報通信融合の工場になっているということではないかと思っております」と語った。

沖電気工業株式会社 常務執行役員 坪井正志氏

 続けて、埼玉県本庄市の副市長 奥田謁夫氏が来賓代表として祝辞とともに「クルマに情報が届く、あるいはクルマと情報をやりとりするという技術がこの本庄市の地から生まれていくことに大きく期待をする」と述べ、「どうかこのITSテストコースから新たな技術、新たな暮らし、さらには社会問題の解決が生み出されることを心から祈念いたします」と話した。

埼玉県本庄市 副市長 奥田謁夫氏
ITSテストコースの開設記念式典ではテープカットが行なわれた
高速道路で実際に使われている機能を備えたETCゲートをITSテストコースに設置。こちらが出口用になるとのこと
入り口用として奥にもETCゲートを設置
バーを下ろす際にクルマに当たってしまわないよう、車両の有無を感知するセンサー
ETCのアンテナ。ここを通過するまでの短い時間で車両と通信を行ない、入り口の情報をETCカードへ書き込んだり、ETCカードの情報を読み取って有効期限などを確認したりする。奥側にあるもう1つのアンテナでは、車種区分をETCカードへ書き込み、出口のアンテナではそれらのETCカードに書き込まれた情報を読み取り、料金の計算を行なうという
ETCのアンテナに比べて小型なアンテナも設置されていた。こちらはLocoMobi2.0の建設業向けサービス用のアンテナ

 ITSテストコースではDSRCの応用として逆走検知と車両・歩行者検知のデモンストレーションに加え、LocoMobi2.0の建設業向けサービスのデモンストレーションが行なわれた。

行なわれたデモンストレーションの説明
逆走検知のデモンストレーション。逆走車を検知すると画面に注意を表示する
LocoMobi2.0のデモンストレーション。管理画面では搬入計画や車両の一覧とステータス、走行中の場所や履歴が確認できる
センサーで車両を検知すると、画面右下にアナウンスが表示される

 また、次世代交通事業の取り組みについての紹介として、沖電気工業 執行役員 兼 情報通信事業本部 副本部長の片桐勇一郎氏から同日に発表されたLocoMobi2.0について説明が行なわれた。

沖電気工業株式会社 執行役員 兼 情報通信事業本部 副本部長 片桐勇一郎氏

 LocoMobi2.0は、車両プローブ情報を活用した建設・物流事業者向けの車両管理による業務効率化サービスで、まずは建設事業者向けに資材運搬車両の管理サービスが提供され、2017年度内には物流事業者向けのアプリケーションを開始する。

 同社は、物流や車両の管理というところからネットワークや自動運転などの新しい環境の中でのインフラを実現していこうと、コアシステムとしているインフラ協調ITSサービスとして、VICS道路交通情報やETC2.0、プローブ情報処理といった道路上でのサービスをベースに、LocoMobi2.0をつうじてサポートを行ないたいとした。

LocoMobi2.0の説明で使用されたスライド

 今後の取り組みとしては、クルマを中心とした次世代交通事業の実現を目指し、これまでメインとしていた官公庁向けだけでなく、民間でさまざまな交通手段を使う業態の人が抱えるニーズを合わせて、「オンプレミスのシステムやサービス型事業でのサポート」「それぞれをきちんと評価できる環境の提供」を示した。

片桐氏の説明で使用されたスライド