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【フォーミュラE 第1/2戦 香港】自動運転車によるレース「ロボレース」の実現は遠い将来か!? ロボレースのデモが残念結果に

人間より遅い自動運転、原因不明の急ブレーキでデモ中止

なぜか2座席レーシングカーベースの1人乗りレーシングカーとなっていた自動運転車の「ロボカー」

 12月2日に中国 香港の市街地特設コース「香港セントラル ハーバーフロント サーキット」に開幕した、世界シリーズ「FIA フォーミュラE選手権」(以下、フォーミュラE)の2017/2018年シーズン。この香港戦は、第1戦が12月2日に、第2戦が3日に行なわれ、それぞれに自動運転車「ロボカー」によるレース「ロボレース」のデモ時間が組み込まれていた。本記事では、第1戦のロボレースの模様をお届けする。

 Car Watchでは、ロボレースについてはこれまでも取り上げてきているが、基本は人間の乗らない無人運転車「ロボカー」によるレースを行なうというものだった。そのときの心臓部となるのが、NVIDIAのAIコンピュータ「DRIVE PX 2」。このDRIVE PX 2をプログラミングでコントロール。無人運転車同士が競い合うはずだった。

 しかしながら、この第1/2戦 香港に登場したロボカーは、2座席スポーツカーを改造したもので、人間が乗り込むシートを1つ用意。人間がコントロール可能なものとなっていた。

各部にセンサーを搭載するロボカー。各種センサーからの情報を融合するセンサーフュージョンによって環境を把握、自動運転で走る
右前には、LiDARとカメラ
中央部にはレーダーが搭載されている
左前も、LiDARとカメラ
フロントサスペンション
前輪の内側。車軸が見える。回生のためなのだろうか
横から。デモに向かうため人が乗り込む
リアのサスペンション機構
リアの駆動軸
コクピット後方にバッテリー類など
バッテリー類などからは、オレンジ色の高電圧ケーブルが
制御ユニット直後には、通信やGPSのためだろうかアンテナが見える
前輪直後にもLiDAR。斜め後ろに角度を付けることで、広い範囲を見ているようだ。その右には、おそらく超音波センサーであるソナーを配置
これもソナーと思われる
リア中央部にもレーダーが

 実際のデモランでは、人間が運転する形でコースを数周走行。その後、2周人間が手放しで運転する車内映像が、ロボカーの走行とともに流された。その走行もゆるゆるとしたスピードで、レースをするのにほど遠い状態。しかも、2周後に再スタートを切った際は、スタート直後に急ブレーキがかかりタイヤから白煙を上げて停止。しばらく停止した後、マニュアルで人間の操作に切り替えて走り、そのままデモランは終了した。

人の手によってピットロードを運ばれていくロボカー
人によって運転され、自動運転は2周のみ。その後、急ブレーキが発生し、しばらくコースで停止。そのままデモラン終了となった

 このロボレースのための時間がプログラム上で1時間取ってあったものの、実質的に自動運転で走ったのは2周。しかも人が乗っていたため、「これ本当に自動運転なの?」と思われても仕方のない状況。フォーミュラEは世界中を転戦していくため、世界各国で1度は許されることだろうが、来年もこのレベルでは正直レースとしてプログラムに組み込むのは難しいと思うし、1観客としては時間の無駄と思わざるを得ない。

 記者自身は、数々の自動運転車に乗っており、とくにアウトバーンで試乗したアウディの「Jack」、CES 2017の特設コースで試乗した「Audi Q7」の出来が素晴らしかっただけに、このロボレースのデモ走行に期待するものがあった。それだけに現状のレベルを速やかに改善して、せめて普通にデモランできる程度に完成度を引き上げてほしい。本来、自動運転の素晴らしさをプロモーションするためのレース(のデモラン)が、スタート直後の急ブレーキで終了するなど、自動運転の不安定さをプロモーションすることになっている。

2014年開発のアウディ「Jack」。自動レーンチェンジを行なう。ロサンゼルスからラスベガスまで自動運転で走り大きな話題となった
2017年1月のCESで公開された、NVIDIAとアウディの共同開発による「Audi Q7」。カメラのみで無人の自動運転を実現しているのがポイント

「無人のロボカーが自動運転を競うロボレースを見られる日は来るのだろうか?」と、強く思ったロボレースのデモランだった。