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【GTC Japan 2017】レベル3自動運転の量産化に向けた「DRIVE PX XAVIER」などを解説したNVIDIA技術顧問の馬路徹氏
レベル5自動運転を実現する「PEGASUS」などの自動運転ソリューションを紹介
2017年12月15日 18:32
- 2017年12月12日~13日 開催
NVIDIAはGPUテクノロジーカンファレンス「GTC Japan 2017」を12月12日~13日に開催。同カンファレンスで、NVIDIA技術顧問でGPUエバンジェリストの馬路徹氏が「AIとGPUコンピューティングが実現する高度な自動運転」と題したセッションで自動運転へ向けて同社が提供する最新の開発環境について紹介した。
同セッションでは「高度な自動運転用SoCおよびDRIVE PXコンピュータ」「自動運転DRIVE AV コンピューティング・プラットフォーム」「レベル5完全自動運転用 Drive PX Pegasusコンピュータ」「全行程のサポート(トレーニング、シミュレーション、自動運転)」という4つの項目で行なわれた。
馬路氏は、同社が提供する自動運転向け車載AIコンピューターのDRIVE PX2について、2017年12月時点で225の企業が採用していることを報告。日本の電装部品/システムサプライヤーのオムロンやAlbert、LIDARではパイオニアなどとの協業を行なっていることを明かした。
間もなくサンプル提供を予定しているXAVIERに関しては、MAX30TOPS DL(@30W)の性能の内訳について説明。XAVIERに搭載される512 Core Volta GPUにより20TOPS DLの性能を出しつつ、残りについてはディープラーニング用のアクセラレーターとして搭載される「Computer Vision Accselerator CVA」により10TOPS DLを出すことを紹介。
また、このディープラーニング用のアクセラレーターについて馬路氏は「ニューラルネットができあがって学習済みのものをここに入れてコンパイルすると最適化されるしくみ」「GPUとの違いは圧倒的に省電力」とそのメリットを紹介した。
SAEによる自動運転レベル定義が説明され、自動化なしの「レベル0」、運転支援の「レベル1」、部分的自動運転の「レベル2」、条件付き自動運転の「レベル3」、高度自動運転の「レベル4」。そして加減速やハンドル操作、周囲環境のモニター、システム故障時の対応、運転モードまでシステムが対応する完全自動運転の「レベル5」と紹介。
レベル3自動運転に対応するのが「PX2 AutoCruise」であるとし、レベル3~4自動運転に対応するのが「DRIVE PX2 AutoChauffeur」と同社製品群を紹介。新たに投入される「DRIVE PX XAVIER」の位置づけについては、「DRIVE PX2」の20TOPS DL/120SPECINT/80Wに対して、DRIVE PX XAVIERでは20TOPS DL/160SPECINT/20Wとなり、ほぼ同じ処理能力を持ちつつ高速化で省電力化を果たしていることを紹介。馬路氏は「開発時にはDRIVE PX2を使用して、量産時にはDRIVE PX XAVIERに移し替えるというシナリオが書ける」と述べた。
自動運転DRIVE AV コンピューティング・プラットフォームについては、自動運転で必要とされる白線認識や車両、歩行者の検出から、システム故障時にドライバーの対応が必要となるレベル3自動運転において求められるドライバーを監視する機能まで、幅広い開発キットのカバー領域を示した。
そして、レベル5自動運転に対応するための性能として320TOPS DL/120SPECINT/500Wのスペックを用意する「DRIVE PX PEGASUS」を紹介。馬路氏は「これまでレベル5自動運転を実現するためのトランクいっぱいのECUが、PEGASUSにより1ボードで実現する」と強調した。
最後に、NVIDIAではデータ準備、トレーニング、シミュレーション/検証まで、自動運転の全ての開発工程をサポートしていることを紹介してこのセッションを締めくくった。