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レクサス、「デジタルアウターミラー」や「スウィングバルブショックアブソーバー」世界初採用の新型「ES」
新世代の「GA-Kプラットフォーム」採用
2018年10月24日 13:30
- 2018年10月24日 発売
- 580万円~698万円
レクサス(トヨタ自動車)は10月24日、新型ハイブリッドセダン「ES」を発売した。価格は580万円~698万円。
1989年のレクサスブランド誕生当時に同時デビューした初代モデルから続き、7代目となる新しいESでは新世代の「GA-Kプラットフォーム」を採用。軽量・高剛性で、低重心設計を徹底追究したこのGA-Kプラットフォームを使うことで、伸びやかでシャープなワイド&ローのボディフォルムとクラストップレベルの空力性能、快適性と安定感を合わせ持つ走行性能などを実現して、歴代ESで高く評価されてきた「上質な快適性」をさらに進化させている。
モデル | エンジン | 変速機 | 駆動方式 | 価格 |
---|---|---|---|---|
ES300h“version L” | 直列4気筒 2.5リッター「A25A-FXS」 | 電気式無段変速機 | 2WD(FF) | 6,980,000円 |
ES300h“F SPORT” | 6,290,000円 | |||
ES300h | 5,800,000円 |
GA-Kプラットフォームによる4975×1865×1445mm(全長×全幅×全高)というワイド&ローなボディでは、「魅惑・刺激」と「スマートなスポーティさ」を外観デザインで表現。フロントマスクのスピンドルグリルから始まるラインをボンネット、ドアパネル、リアフェンダーと連続させ、フロントノーズの鋭さや躍動感を演出。また、低く抑えたフロントノーズと全高、伸びやかに連続するルーフからトランクリッドのライン、キックアップ形状となるリアフェンダーラインなどによってCd値を低減し、空力性能の追求によって静粛性も高めている。リアではトランクリッド内まで連続したリアコンビネーションランプの形状に合わせてバンパー下側まで続くラインを伸ばし、ワイドスタンスによる踏ん張り感を強調している。
ボディカラーはエレガントさをアピールする「アイスエクリュマイカメタリック」、華やかで深みのある色合いによって引き締まった印象を表現する「サンライトグリーンマイカメタリック」といった2つの新規開発色や、“F SPORT”専用カラーの「ホワイトノーヴァガラスフレーク」「ヒートブルーコントラストレイヤリング」を含む全12色。
車内は2870mmのホイールベースと走行用のハイブリッドバッテリーのリアシート下配置などにより、前後シートのカップルディスタンスは1025mm。全高を抑えてフロントウィンドウの角度を鋭角化し、シャープなデザインと軽快な走行性能を実現しつつ、人間中心の考え方でデザインやカラー配置などを行なって“コックピット感とくつろぎが融合する室内空間”を追究している。
フロントシートでは水平基調のアッパー部分で「広がり感」「安心感」を両立し、ロア部では厚みのあるソフトなコンソールトリムやアームレスト類などで乗員のサポート性を表現し、「程よい包まれ感のあるドライビング空間」としている。合成皮革の「L tex(エルテックス)」のほか、“version L”では「セミアリニン本革」を表皮に使ったシートは、ステアリング操作がしやすいよう考慮したショルダー形状、乗降性を高めるクッションサイドを備え、ドアアームレストやセンターコンソールとシートバックのサポートが連続するような視覚効果によってコックピット感を高めている。
リアシートは1025mmのカップルディスタンスで広々としたスペースを用意し、センター部分を格納式のセンターアームレストとして利用可能。カップホルダーを備え、“version L”ではさまざまな専用装備を操作できるコントロールパネルも装着する。このコントロールパネルではエアコンやオーディオの操作に加え、最大8度の角度調整が可能な「電動リクライニング機能」や「後席シートヒーター」「電動リアウィンドウサンシェード」といった“version L”専用装備を操作できる。
このほかに新型ESでは、エンジンの前後に大型のエンジンマウントを設定して始動時の振動やアイドリング振動、アイドリングのこもり音、高回転時のエンジンノイズを低減する新しいマウントシステムを導入。通常は3層構造で仕上げるダッシュインナーサイレンサーを、キャビン側でフェルトの性能を部位ごとに変え、吸音性能と遮音性能を入念にコントロールして性能を高める「Hybrid Acoustic」をレクサス車で初採用し、エンジンルーム内で発生する騒音を吸音して低減する「サスペンションタワーサイレンサー」、耳障りな周波数の音を逆位相の音を使って打ち消す「アクティブノイズコントロール」などを装備して、快適で疲労感の少ない車内空間を作り上げる。
日本刀の刃文を思わせる「本アルミ(刃取調仕上げ/シルバー)」を新設
インテリアカラーは“version L”専用の「リッチクリーム」、“F SPORT”専用の「フレアレッド」「ブラック」のほか、「シャトー」「トパーズブラウン」「ブラック」の全6種類をラインアップする。また、オーナメントパネルは標準の「縞杢(ブラック)」「縞杢(ブラウン)」「バンブー(マットフィニッシュ/ナチュラルブラウン)」の3種類に加え、“F SPORT”専用の「本アルミ(刃取調仕上げ/シルバー)」を新設。日本刀の化粧研ぎ行程で行なわれる「刃取(はどり)」から着想を得たというこのオーナメントパネルでは、日本刀の刃文を思わせるゆらぎを持つウェーブなどにより、角度によって見え方が異なる立体感が演出される。
“F SPORT”は他のレクサス車でも採用されているように、新型ESが持つスポーティネスを前面に押し出したモデル。スピンドルグリルで「L字メッシュパターン」や「漆黒メッキモール」、ダークグレーメタリック塗装の「サイドガーニッシュ」を備えてフロントマスクのイメージを変更し、そのほかにも外観で漆黒メッキの「ラゲージドアガーニッシュ」「リアバンパーロアガーニッシュ」などを採用し、フロントフェンダー後方に“F SPORT”専用エンブレムを装着。
インテリアでは「LFA」でも採用された「可動式メーターリング」を搭載する専用形状のTFT液晶式メーター、グリップ断面を専用形状としたディンプル本革を使うステアリング、表皮一体発泡工法によって体圧分散を最適化し、ホールド性を向上させたエンボスエンブレム付スポーツシート、アルミ製スポーツペダル&フットレストなどを備え、“走りのイメージ”を高めている。
「スウィングバルブショックアブソーバー」世界初採用
パワートレーンでは「クラウン」や「カムリ」に搭載している「A25A-FXS」型エンジンを中心としたハイブリッドシステムをレクサス車として初採用。最高出力131kW(178PS)/5700rpm、最大トルク221Nm(22.5kgfm)/3600-5200rpmを発生する直列4気筒 2.5リッター直噴自然吸気エンジンに、最高出力88kW(120PS)、最大トルク202Nm(20.6kgfm)を発生する「3NM」型モーターを内蔵するリダクション機構付のTHS IIを組み合わせ、システム最高出力は160kW(218PS)。エンジンは燃焼室内の気流を高めて高速燃焼を実現して最大熱効率を高め、動力性能、燃費性能、環境性能を高次元のバランスで発揮するという。
燃費はJC08モード燃費が23.7km/L、WLTCモード燃費が20.6km/L。また、WLTCモードの市街地モード燃費が16.6km/L、郊外モード燃費が22.7km/L、高速道路モード燃費が21.4km/Lとなる。
フロントにマクファーソンストラット式、リアにダブルウィッシュボーン式を採用する足まわりでは、“F SPORT”で標準装備する「NAVI・AI-AVS(Adaptive Variable Suspension System)」のほか、パッシブ制御で走行安定性と乗り心地の両立を図る世界初の技術「スウィングバルブショックアブソーバー」を“version L”とES300hで採用。
カーナビ情報なども活用しつつ、電子制御で減衰力を細かく調節するNAVI・AI-AVSとは異なり、スウィングバルブショックアブソーバーでは、ダンパー内にある1方向だけに減衰力を発生させる通常のバルブシムに加え、精密さを追究した加工技術によって伸び側と縮み側の双方向に作動する“非着座式”のスウィングバルブを新設。機械的なパッシブ制御を使うことでNAVI・AI-AVSよりも導入コストを大きく低減しつつ、低速走行時に起きるボディの小さな上下動でも減衰力を発生可能とすることで、発進直後からフラット感を発揮し、高速走行時の直進安定性も実現する。
また、“version L”と“F SPORT”では、ボディの前後には走行中に発生するボディのねじれや微振動を吸収し、シャープなハンドリングや快適な乗り心地の実現に寄与する「パフォーマンスダンパー」を標準装備し、EPS(電動パワーステアリング)はラック平行式となり、剛性を高めてすっきりした操舵感を発揮する新開発のステアリングコラムを採用。新世代のGA-Kプラットフォームによる高いボディ剛性と合わせ、走行性能と快適性の基本性能を引き上げている。
このほかに電子制御技術では、高いGが発生している旋回中にアクセルペダルを踏んだ場合に、アウト側の駆動輪を積極的に働かせてヨーモーメントを増やす「ACA(アクティブコーナリングアシスト)」をレクサス車で初採用。メーターフード左側に設置されているダイヤルで「Normal」「Eco」「Custom」「Sport」「Sport S」「Sport S+」などのモード選択を行なって走行モードを変更できる「ドライブモードセレクト」などを装備している。
車両の発売に先駆けて9月12日に発表されているように、新型ESでは量産車として世界初の装備となる「デジタルアウターミラー」を“version L”にオプション設定。標準仕様ではドアミラーが設置される場所に、カメラ部に雨滴が付着しにくい形状としたヒーター付きのデジタルアウターミラーカメラを設定。車内両側のAピラー付け根に設置された5インチディスプレイで、このカメラで撮影した車両後側方の映像を表示する。
カメラがドアミラーよりもコンパクトなサイズになることで、運転席からの視界が広がり、風切り音も低下して高速走行時の静粛性を高めることが可能になるほか、カメラ映像をデジタル処理することで多彩なメリットを発揮。画像補正によって強すぎる光を抑制し、朝夕の日が低い時間帯などの直射日光、夜間の後続車から照射されるヘッドライトなどの影響を緩和して後方確認を可能とする。
また、ウインカーを作動させるとイン側の表示をワイド表示に切り替え、後続車との車間距離や縁石などの場所を確認しやすいようにしたり、ギヤセレクターをリバースレンジに動かすと周辺状況が分かりやすいようワイド表示に切り替えるほか、映像内に車両と接触する危険性のあるエリアと安全なエリアをラインで区分してくれる。さらに手動操作での拡大表示にも対応する。
予防安全パッケージの「Lexus Safety System+」は、夜間の歩行者、昼間の自転車を認識できる「プリクラッシュセーフティ」、カメラでの白線認識と前方を走るクルマの走行軌跡を併用して操舵支援を行なう「LTA(レーントレーシングアシスト)」、「レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)」、カメラで認識した道路標識をカラーヘッドアップディスプレイにも表示できる「RSA(ロードサインアシスト)」などを備える進化型。
ヘッドライトの配光制御は三眼フルLEDヘッドライトとLEDヘッドライトで内容が異なり、三眼フルLEDヘッドライトでは片側24個のLEDにより、先行車や対向車などのいる遮光エリアを上下2段階で使い分け可能とした「上下2段式AHD(アダプティブハイビームシステム)」を採用。LEDヘッドライトでは周辺の明るさを検知してロービームとハイビームを自動的に切り換える「AHB(オートマチックハイビーム)」を利用する。