レクサス(トヨタ自動車)「ES」は同ブランド立ち上げ時からラインアップされるミドルサイズの4ドアセダン。1989年に初代モデルがリリースされた後、1991年、1996年、2001年、2006年、2012年とモデルチェンジが行なわれ、2018年に登場する新型「ES300h」は7代目となる。
ES300hの基本骨格には「GA-Kプラットフォーム」をレクサスとして初採用。同プラットフォームは先頃デビューを果たした8代目トヨタ「カムリ」にも採用されており、「TNGA(Toyota New Global Architecture)」に基づき低重心化とともに前後荷重配分の適正化やジオメトリーの最適化を実現。走りはもちろん乗り心地や静粛性など、快適性の面においても高いパフォーマンスを獲得しているのが特長だ。
エクステリアはGA-Kプラットフォームを活かしたワイド&ローのプロポーションに注目。4975×1865×1445mm(全長×全幅×全高)のボディに2870mmのロングホイールベースを組み合わせることで、クーペを思わせるルーフラインを実現しつつ、ゆとりある室内空間を確保している。ディティールはエッジの効いた立体的な構成で、レクサスのアイデンティティーとなるスピンドルグリル、L字をモチーフとした灯火類などを配置し、スポーティかつエレガントな仕上がりとしている。
前述したモデル名からも分かる通り、パワートレーンはハイブリッドに一本化された。エンジンは2.5リッターの直列4気筒ユニット「A25A-FXS」を搭載し、最高出力131kW(178PS)/5700rpm、最大トルク221Nm(22.5kgfm)/3600-5200rpmを発生する。組み合わされるモーターは「3NM」で、ニッケル水素電池により駆動。こちらは最高出力88kW(120PS)、最大トルク202Nm(20.6kgfm)となる。駆動方式は2WD(FF)のみの設定となっており、WLTCモード燃費は20.6km/L。シチュエーションごとの数値は市街地モードが16.6km/L、郊外モードが22.7km/L、高速道路モードが21.4km/Lとなっている。
レクサスの基幹モデルとなるだけに安全装備も充実。メインとなるのは「Lexus Safety System+」で、従来からの単眼カメラ&ミリ波レーダーを組み合わせたシステムだ。機能面では「プリクラッシュセーフティ」「レーンディパーチャーアラート」「レーダークルーズコントロール」「オートマチックハイビーム」などを実現している。さらに新型ESに搭載するにあたり、自転車や夜間歩行者への対応をはじめ、レーダークルーズコントロールの全車速追従化、「ロードサインアシスト」の追加など、今まで以上に機能を充実させている。
安全装備の中でもトピックと言えるのが、一部グレードにオプション設定される世界初の「デジタルアウターミラー」だ。これはサイドミラーをカメラ化するとともにインパネ左右に表示用モニターを設置したもので、近年採用車種が増えつつあるカメラ映像を利用したバックミラーのサイドミラー版。サイドウィンドウに水滴が付いた状態でもクリアな映像を確認できるほか、右左折時や後退時の表示範囲拡大、夜間など肉眼で見えづらい状況での自動調整など、多くのメリットを実現している。
グレードはベースとなる「ES300h」をはじめ、装備を充実させた「ES300h“version L”」、スポーツモデルとなる「ES300h“F SPORT”」の3タイプ。価格は順に580万円、698万円、629万円。デジタルアウターミラーはES300h“version L”のみ装着可能で価格は21万6000円。
ES300h“version L”
最上級仕様となるモデル。セミアニリン本革シートや後席電動リクライニング機能、3席独立温度調整オートエアコンなど快適性を高める装備が充実。性能面では前後のパフォーマンスダンパーや235/45 R18タイヤとノイズリダクションアルミホイールなどが標準となる。ボディカラーはベースモデルと同じで、新色となる「アイスエクリュマイカメタリック」「サンライトグリーンマイカメタリック」など計10色が用意される。
ES300h“version L”。ボディカラーはアイスエクリュマイカメタリック。 ノーズには縦桟のスピンドルグリルを採用しワイドかつシャープな印象を強める 直線的なショルダーラインとボリューム感のあるフェンダーまわりのコンビネーションにより、走りのイメージを演出 量産車としては世界初となるデジタルアウターミラーをオプション設定 エアロスタビライジングフィンはアウターミラーまわりとリアコンビネーションランプ部に採用 リアエンドにはバックカメラとデジタルインナーミラー用カメラが並ぶ 直列4気筒エンジンを採用した新型ハイブリッドシステムを搭載 アルミホイールには走行ノイズを低減する「ノイズリダクション機能」を採用 タイヤ内側とリム部に設けられた空気室をつなぐことで共鳴音を低減する仕組み 左側がノイズリダクション機能のためのもの。右側はバルブ用 F SPORT以外に標準となるスイングバルブショックアブソーバー バルブ部に極低速用のプレートを1枚追加。このプレートのたわみがバルブの役目を果たすことにより微小な動きに対応し乗り心地の向上を実現 広がり感とともにドライバーズシート側には適度な包まれ感のあるインパネまわり。インテリアカラーはトパーズブラウン LSと同じグリップ断面を持つステアリングホイール。本木目と本革のコンビネーションタイプでパドルシフトも装備 シフトまわり。左側はナビ&AVなどを操作するためのタッチパッド サテライト部にロータリースイッチを配置。左がドライブモードセレクト、右はVSC用となる カメラを利用して後方を確認可能なデジタルインナーミラーはES300h以外にオプション設定される 表示用モニターは5インチで左右ピラー下部に装着される メーターは7インチのTFT液晶タイプ。選択したドライブモードにより表示が異なる 左側はマルチインフォメーションディスプレイとなり各種表示が可能 インパネ上部中央に12.3インチのワイドディスプレイを配置。ナビゲーションやエアコン設定などが表示できる version Lには車両周囲を確認できるパノラミックビューモニターも搭載 フロントセンターコンソールは左右どちらからも開閉可能。内部にはスマートフォンの充電が可能な「置くだけ充電」も用意 シフト後方のドリンクホルダーには深さを変えることができるギミックを用意 サンバイザー裏には照明付きのバニティミラーが用意される フロントシートはスポーティな形状。version Lはベンチレーション&ヒーター機能付きのセミアニリン本革シートを装備 シート調整は運転席10ウェイ、助手席8ウェイのパワータイプ 助手席側には後席からスライド&リクライニング可能なスイッチを用意 アームレストにはパワーウィンドウとデジタルアウターミラー用のスイッチが付く version Lのリアシートは電動リクライニング機能付き フロントセンターコンソール後端に後席用のエアコン吹き出し口を装備 下部には充電用USB端子が付くほかversion LにはAC100Vコンセントも用意される version Lはドア部にも用意。こちらは手動の引き上げ式 ハイブリッド用バッテリーをリアシート下部に設置するため、ラゲッジは443Lの大容量を確保 トランクリッドは電動タイプ。スイッチのほかキーを持っていればバンパー下に足を出し入れすることで開閉が可能 version Lはトランク内にもAC100Vコンセントを装備 ES300h“F SPORT”
専用スピンドルグリルをはじめ随所にF SPORTならではの意匠をちりばめ、スポーティなイメージを強調。専用インテリアカラーが用意されるほか、スポーツシート、ステアリング、メーターなども専用デザインとなる。性能面では前後のパフォーマンスダンパー、235/45R 19タイヤ&専用アルミホイールが標準となる。ボディカラーは専用色となる「ホワイトノーヴァガラスフレーク」「ヒートブルーコントラストレイヤリング」など計8色を用意。
ES300h“F SPORT”。撮影車両のボディカラーは専用色となるヒートブルーコントラストレイヤリング スピンドルグリルはLSからの流れを汲むL字を組み合わせたタイプ リアスポイラーが標準となるほか、左右をつなぐガーニッシュが漆黒メッキタイプとなる 19インチの専用アルミホイール。タイヤサイズは235/40 R19 随所に専用パーツを配したF SPORT専用インテリア。撮影車両のカラーはF SPORT専用フレアレッド LC同様の断面を採用した専用ステアリングホイール。ディンプルタイプの本革と下部に付くバッヂが専用の証。パドルシフトも装備 F SPORT専用メーターは8インチのTFT液晶タイプ。中央のリングは可動式で2タイプの表示が選択可能。ノーマルモード時の表示 シフト前方にフタ付のカップホルダーを装備。USBおよびAUX端子も用意される 最下部にはトランクやフューエルリッドのオープナースイッチが並ぶ 運転席、助手席のどちら側にも開けることが可能なフロントセンターアームレスト。こちらはおくだけ充電がないタイプ フロントシートは表皮一体発泡工法を採用し高いホールド感を実現。ヘッドレスト部にはエンボスエンブレムも アームレストはシートの電動調節機能などを持たないシンプルなもの