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三菱電機とHERE、クラウド経由で危険な道路状況をリアルタイム共有する「レーンハザードワーニングシステム」開発

ドライバーの安全確保や自動運転システムへの応用に期待

2019年5月15日 発表

「レーンハザードワーニングシステム」での情報の流れ

 三菱電機とHERE Technologiesは5月15日、先行車両のセンサーが検知した路上障害の位置情報をクラウドを通じて後続車両に自動的かつリアルタイムに共有する「レーンハザードワーニングシステム」を開発したと発表した。

 このシステムは、センチメートル単位の精度で自己位置を特定できる三菱電機のHDロケーターとHEREの大規模位置情報データプラットフォーム「HERE Open Location Platform」を活用。クルマに搭載されたセンサーやブレーキの動作状況をもとに、故障車や減速走行の車両、落下物、陥没、滑りやすい路面といった路上障害の情報を把握し、極めて正確な位置情報とともに、障害に接近している後続車両にクラウド経由でリアルタイムに共有。これにより、後続車両は路上の危険を数秒あるいは数分前に把握でき、危険を回避する時間を得ることが可能となるという。

 今回開発したシステムは、ドライバーの安全確保や自動運転システムへの応用が期待されることから、両社は本システムを自動車メーカーが自社の車両で試験ができるように、広く提供する予定とのこと。

レーンハザードワーニングシステムでの警告情報のイメージ

 なお、このシステムの実証実験を2018年12月に茨城県で、2019年3月に米国・カリフォルニア州で実施。両社は今後、路面劣化状況といった情報もクラウド上で収集することで、より幅広いシステムの開発に取り組んでいくほか、クラウドを活用した自動運転向け高精度地図の自動更新技術や、道路事業者に路面の劣化状況を通知するサービスなども検討しているという。

 三菱電機 常務執行役 自動車機器事業本部長 大西寛氏は「路上になんらかの障害が発生した場合、ドライバーがその障害に即座に対応することは困難であり、ドライバーや同乗者は危険にさらされます。当社はHERE社と協力し、道路上にある障害を避けるために、ドライバーが安全に車線変更などの対応ができるように、数秒あるいは数分の猶予を提供する新しいシステムを開発しました。このシステムが将来の交通安全に役立つことを期待しています」とコメント。

 HERE Technologies シニアヴァイスプレジデント Jørgen・Behrens氏は「当社と三菱電機は、自他の車両からの情報を基にしたシステムを通じて、将来の安全運転に貢献していきます。また、迅速、正確かつ的確に道路上の危険を通知することは、自動運転やスマートシティサービスに不可欠なデータインフラであると考えています。この技術が市場に登場することを楽しみにしています」とコメントしている。