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F1 イタリアGP決勝、フェラーリのシャルル・ルクレール選手が優勝。モンツァが赤く染まる
ホンダ スペック4エンジン搭載の4者は、力を発揮できない状態に
2019年9月9日 12:39
9月6日~8日(現地時間)の3日間にわたり、F1 イタリアGPがモンツァ・サーキットで開催された。8日に53周306.72kmで行なわれた決勝は、ポールから飛び出したフェラーリの16号車 シャルル・ルクレール選手が優勝。初優勝となった前戦のベルギーGPに続き連勝した。2位はメルセデスの77号車 バルテリ・ボッタス選手、3位はメルセデスの44号車 ルイス・ハミルトン選手。ハミルトン選手はレース後半に1分21秒779のファステストラップを記録している。
また、このイタリアGPでエンジン供給する4台が最新のスペック4となったホンダエンジン勢は、8番手からスタートした 23号車 アレクサンダー・アルボン選手(アストンマーティン・レッドブル・レーシング)が6位に、19番手からスタートした33号車 マックス・フェルスタッペン選手(アストンマーティン・レッドブル・レーシング)が8位に入賞。レッドブル・トロロッソ・ホンダの15号車 ピエール・ガスリー選手は11位に、26号車 ダニール・クビアト選手は29周にリタイヤと、残念な結果に終わった。
最新のスペック4というホンダエンジンを搭載する4者にとって、イタリアGPはあまりよい結果にならなかったが、各ドライバーのファステストタイムを見てみると、53周の終盤となる49周にピットインしてタイヤ交換、51周に1分21秒779の全体ファステストラップを記録したハミルトン選手を別格として、1分22秒859のボッタス選手(47周)、1分23秒009(47周)のルクレール選手に次ぐ1分23秒143(41周)というタイムをスペック4エンジンを搭載するフェルスタッペン選手が記録。ほかの選手よりも早めの時期に記録しており、燃料重量面での不利を考えると、よく戦えているのではないだろうか。
レース中に記録した最高速は、スピード計測区間でフェラーリのベッテル選手 359.7km/h、フェルスタッペン選手 357.4km/h、クビアト選手 355.2km/h。最終コーナーとなるパラボリカを立ち上がったフィニッシュラインでは、フェルスタッペン選手 327.7km/h、ルクレール選手 321.1km/h、ベッテル選手 321.0km/hの順。最高速も十分出ていたようだ。
今回速さを見せ、4位、5位に入ったルノー勢は、3号車 ダニエル・リカルド選手が1分23秒466(53周)、27号車 ニコ・ヒュルケンベルグ選手が1分23秒641(53周)と、いずれも最終盤になっでパーソナルベストを記録。フェルスタッペン選手は、燃料が減り、軽くなった最終盤で前方を11号車 セルジオ・ペレス選手に抑えられており、スペック4エンジンの性能を最後まで使い切っていないのかもしれない。
いずれにしろホンダのスペック4エンジンは、速さの片鱗は見せたものの、エンジン交換による最後方からのスタートやクビアト選手の何らかのトラブルによるリタイヤなどもあり、レースでの強さは見せられなかった。高速サーキットのモンツァやスパでは、ルクレール選手がフェラーリと自身の速さと強さを見せつけたことになる。
次戦は、9月20日~22日に開催されるシンガポールGP。シンガポールGPは市街地コースのため、ハイダウンフォースを要求されるレースとして知られている。ここでフェラーリやメルセデス、そして速さを見せつつあるルノー勢と、ホンダのスペック4エンジンを搭載した4者がどう戦うのかが楽しみだ。
イタリア GP決勝結果
順位 | ドライバー | チーム | 周回数 | タイム | 差 | ファーステスト | ファーステスト周回数 | 獲得ポイント |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | Charles LECLERC | Scuderia Ferrari | 53 | 1:15:26.665 | - | 1:23.009 | 47 | 25 |
2 | Valtteri BOTTAS | Mercedes AMG Petronas Motorsport | 53 | 1:15:27.500 | 0.835 | 1:22.859 | 47 | 18 |
3 | Lewis HAMILTON | Mercedes AMG Petronas Motorsport | 53 | 1:16:01.864 | 35.199 | 1:21.779 | 51 | 16 |
4 | Daniel RICCIARDO | Renault F1 Team | 53 | 1:16:12.180 | 45.515 | 1:23.466 | 53 | 12 |
5 | Nico HULKENBERG | Renault F1 Team | 53 | 1:16:24.830 | 58.165 | 1:23.641 | 53 | 10 |
6 | Alexander ALBON | Aston Martin Red Bull Racing | 53 | 1:16:25.980 | 59.315 | 1:23.364 | 45 | 8 |
7 | Sergio PEREZ | 5portPesa Racing Point F1 Team | 53 | 1:16:40.467 | 73.802 | 1:23.770 | 35 | 6 |
8 | Max VERSTAPPEN | Aston Martin Red Bull Racing | 53 | 1:16:41.157 | 74.492 | 1:23.143 | 41 | 4 |
9 | Antonio GIOVINAZZI | Alfa Romeo Racing | 52 | 1:15:29.573 | 1 LAP | 1:24.503 | 44 | 2 |
10 | Lando NORRIS | McLaren F1 Team | 52 | 1:15:31.085 | 1 LAP | 1:24.044 | 52 | 1 |
11 | Pierre GASLY | Red Bull Toro Rosso Honda | 52 | 1:15:32.904 | 1 LAP | 1:23.885 | 51 | - |
12 | Lance STROLL | SportPesa Racing Point F1 Team | 52 | 1:15:45.782 | 1 LAP | 1:24.165 | 31 | - |
13 | Sebastian VETTEL | Scuderia Ferrari | 52 | 1:16:05.952 | 1 LAP | 1:22.799 | 50 | - |
14 | George RUSSELL | ROKiT Williams Racing | 52 | 1:16:07.435 | 1 LAP | 1:24.842 | 51 | - |
15 | Kimi RAIKKONEN | Alfa Romeo Racing | 52 | 1:16:31.865 | 1 LAP | 1:24.419 | 52 | - |
16 | Romain GROSIEAN | Rich Energy Haas F1 Team | 52 | 1:16:51.440 | 1 LAP | 1:24.985 | 31 | - |
17 | Robert KUBICA | ROKiT Williams Racing | 51 | 1:15:53.984 | 2 LAPS | 1:24.989 | 47 | - |
リタイヤ | Kevin MAGNUSSEN | Rich Energy Haas F1 Team | 43 | DNF | - | 1:24.443 | 38 | - |
リタイヤ | Daniil KVYAT | Red Bull Toro Rosso Honda | 29 | DNF | - | 1:25.772 | 19 | - |
リタイヤ | Carlos SAINZ | McLaren F1 Team | 17 | DNF | - | 1:25.637 | 10 | - |
赤く染まったモンツァ・サーキット
レースは前述のようにフェラーリの16号車 シャルル・ルクレール選手が優勝した。イタリアGPはフェラーリの地元グランプリであり、ルクレール選手の出身地のモナコからも比較的近い位置にある。そのため、ルクレール選手の優勝、フェラーリの優勝とあって、レース後は赤いフェラーリの帽子、赤いフェラーリのシャツを着たティフォシ(Tifosi、熱狂的な人)数万人が本コースに入り、ルクレール選手の優勝を盛大に祝った。
とくにチームの優勝を祝うイタリア国歌が流れると、観客は大合唱。モンツァ・サーキットの音響設備は日本のどのサーキットよりもよく、迫力のある美しい音色の演奏に合わせ、イタリア国歌が響き渡っていた。
個人的にホンダの活躍がもう一つだったのは残念だが、観客の8割以上を占める(と見える)フェラーリの地元における、ルクレール選手という新しい英雄の優勝は、F1というレースにとってとてもよかったことなのだろうと思える。イタリアGPはF1において伝統のレースであり、そこでフェラーリはしっかり結果を出したことになる。そしてその結果は、テレビ放送でしつこいほどにF1が流されることで、イタリアで共有されていた。
10月11日から鈴鹿サーキットで始まるF1 日本GPは、立体交差を持つ8の字サーキットで開催されるF1として世界的に知られている。「SUZUKA」は、日本が世界を席巻したコンシューマゲームに登場するサーキットとしても有名だ。その鈴鹿でモンツァ以上に盛り上がれるかどうか。
日本の地元企業であるホンダには、シンガポールGPやロシアGPでイタリアGP以上の結果を出し、日本GPで最良のパフォーマンスを発揮するようスペック4エンジンの熟成をしていただきたい。