【SUPER GT 最終戦 もてぎ】6号車 WAKO'S 4CR LC500がシリーズチャンピオン獲得。決勝優勝は37号車 KeePer TOM'S LC500

GT500チャンピオンの6号車 WAKO'S 4CR LC500（大嶋和也/山下健太組、BS）

　SUPER GT 最終戦「2019 AUTOBACS SUPER GT Round8　MOTEGI GT 250km RACE」が、栃木県茂木町にあるツインリンクもてぎで11月2日～3日に開催された。11月3日には決勝が行なわれ、GT500は37号車 KeePer TOM'S LC500（平川亮/ニック・キャシディ組、BS）が優勝。GT500のシリーズチャンピオンは、2位に入った6号車 WAKO'S 4CR LC500（大嶋和也/山下健太組、BS）が獲得した。

　レース途中にタイトルが獲得できない3位にまで下がった6号車は、37号車の僚車となる36号車 au TOM'S LC500（中嶋一貴/関口雄飛組、BS）に前を阻まれ、1度はタイトルを失いかけたが、レース終盤の最終コーナーで、両車ともコース外に出ながらも6号車が前を確保し、それがレーシングアクシデントと判断されたことでそのまま2位に入り、今シーズンのチャンピオンを決めた。

　GT300はレースの終盤まで65号車 LEON PYRAMID AMG（蒲生尚弥/菅波冬悟組、BS）がトップに立っていたが、最終ラップのメインストレートに入ったところでスローダウン。その結果2位を走っていた11号車 GAINER TANAX GT-R（平中克幸/安田裕信組、DL）が最後の最後でトップに上がって優勝。

　GT300のチャンピオンは、このレースを前に14.5ポイントリードしていた55号車 ARTA NSX GT3（高木真一/福住仁嶺組、BS）が4位に入ってタイトルを獲得した。

GT300チャンピオンの55号車 ARTA NSX GT3（高木真一/福住仁嶺組、BS）

GT500チャンピオンを獲得した6号車 WAKO'S 4CR LC500。1度は順位を失うが徐々に上位に復帰

決勝レース優勝は37号車 KeePer TOM'S LC500（平川亮/ニック・キャシディ組、BS）

　通常よりもスタートが1時間早い13時半に設定されていることもあり、お昼過ぎにはスタート進行が開始され、グリッドウォークなどが行なわれた。このグリッドウィークには本田技研工業 代表取締役社長 八郷隆弘氏などが、激励に訪れるなど、華やかな雰囲気の中で行なわれた。13時半には栃木県警の白バイ隊や「NSX」「フェアレディZ」のパトカーによる先導でパレードラップが開始され、その後フォーメーションラップが行なわれた後、レースのスタートが切られた。

決勝3位の36号車 au TOM'S LC500（中嶋一貴/関口雄飛組、BS）

　GT500のスタートは波乱のスタートとなる、ポールからスタートした36号車 au TOM'S LC500（中嶋一貴/関口雄飛組、BS）は順当にスタートを切っていったが、2位からスタートした6号車 WAKO'S 4CR LC500（大嶋和也/山下健太組、BS）はタイヤが暖まらないのか、1コーナーですぐに23号車 MOTUL AUTECH GT-R（松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI）がインをさして2位にあがる。

23号車 MOTUL AUTECH GT-R（松田次生/ロニー・クインタレッリ組、MI）

　その後も6号車は、タイトルを争う37号車 KeePer TOM'S LC500（平川亮/ニック・キャシディ組、BS）が次のコーナーでやや強引に前にでる。さらに6号車は後ろから来た17号車KEIHIN NSX-GT（塚越広大/ベルトラン・バゲット組、BS）にも抜かれて5位に落ちてしまった。

決勝5位の17号車KEIHIN NSX-GT（塚越広大/ベルトラン・バゲット組、BS）

　しかし、その後、2位を走っていた23号車 MOTUL AUTECH GT-Rがやや失速気味になり、37号車、17号車、6号車に続々と抜かれていった。これで23号車は5位に下がることになる。これで、タイトルを争う37号車が2位、6号車が4位となり、この時点でレースが終われば、両車共に同ポイントとなり、2勝をあげている6号車がチャンピオンという形になる。

　15周目、11月2日の予選を前にエンジン交換を行なったため、レース序盤に15秒のペナルティピットストップを消化していた12号車 カルソニック IMPUL GT-R（佐々木大樹/ジェームス・ロシター組、BS）が130Rでエンジントラブルとみられるトラブルでストップし、リタイアになってしまった。

　19周目には6号車 WAKO'S 4CR LC500が3位をいく17号車KEIHIN NSX-GTをオーバーテイクして3位にあがる。その翌周、6号車が3位に上がったのを見たかのように、タイトルを争うライバルとなる37号車 KeePer TOM'S LC500がピットインする。そしてその翌周にはトップの36号車 au TOM'S LC500、2位に上がっていた6号車 WAKO'S 4CR LC500がピットに入る。この2台がピットアウトした時に37号車との位置により、タイトルの行方が変わってきそうだ。

　36号車と6号車がピットアウトしてみると、36号車と6号車の間に37号車が入っていた。ピットアウトしたばかりの36号車はタイヤが暖まっておらず、コース外に飛び出したりしたこともあり36号車の真後ろまで37号車が迫る。だが、関口雄飛選手がドライブする36号車は平川亮選手がドライブする37号車をブロックし、前に行かせない。。

　24周目に上位勢の中でピットに入っていなかった17号車 KEIHIN NSX-GTがピットイン。17号車がピットアウトすると、1位は36号車 au TOM'S LC500、2位は37号車 KeePer TOM'S LC500、3位は6号車 WAKO'S 4CR LC500、4位は8号車 ARTA NSX-GT（野尻智紀/伊沢拓也組、BS）、5位が17号車 KEIHIN NSX-GTとなった。この状態でゴールすると、6号車がチャンピオンで、37号車が2位という結果となる。

TOM'Sは華麗なチームプレイを見せるが、6号車 WAKO'S 4CR LC500が気合いのオーバーテイクを見せてタイトルを引き寄せる

　レースは後半に入り、全車ピットストップを終えて、後はコース上での戦いとなった。1位を走る36号車 au TOM'S LC500、2位を走る37号車 KeePer TOM'S LC500、3位を走る6号車 WAKO'S 4CR LC500の感覚が詰まり、3台が3秒以内という僅差での戦いとなった。6号車にとっては3位のままでも、37号車が2位である限りはチャンピオン獲得できるが、仮に同チームである36号車と37号車が順位を入れ替えるとタイトルを失うことになるため、確実にするためには37号車を抜きたいところ。

　32周目に、36号車がややミスをしたように見えたが、37号車が36号車をオーバーテイク。チームオーダーで入れ替えたのかは本人達以外には誰にもわからないが、抜かれた36号車は6号車をブロックし、37号車を逃がせる作戦に出る。6号車は36号車に行く手を阻まれ、前に出ることはできない。その間にトップに立った37号車はどんどん逃げて行く。こうなると、6号車は自力で36号車を抜くしかチャンピオンになることはできない。このため、6号車は何度も36号車を追い抜くそぶりを見せるが、36号車を関口雄飛選手もそれをよくわかっており、抜くことはできず、3位に封じ込められることになってしまった。さらにその2台に8号車 ARTA NSX-GTが追いついて3台による2位争いが展開されることになった。

　38周目にバックストレートの終わりで6号車は36号車のインに入りオーバーテイクしたかと思われたが、最終コーナーで再び36号車が6号車に並びかける。両車とも最終コーナーのイン側をカットして走行するが、結局6号車が前にでることになり、サーキット全体が大きく盛り上がった。このインシデントは後に、レーシングアクシデントと判断され、両車ともにおとがめなしとなり、6号車の2位が確定した。これで、チャンピオン争いでは再び2位に上がった6号車がトップに立つことになった。

6号車と36号車の接触

決勝4位の38号車 ZENT CERUMO LC500（立川祐路/石浦宏明組、BS）

　その後8号車がトラブルでピットに入り大きく順位を下げたりなどの波乱はあったが、そのほかの上位勢は着実なレースを見せそのままチェッカー。優勝は37号車 KeePer TOM'S LC500、2位は6号車 WAKO'S 4CR LC500、3位は36号車 au TOM'S LC500、4位は38号車 ZENT CERUMO LC500（立川祐路/石浦宏明組、BS）、5位は17号車 KEIHIN NSX-GT、6位にはジェンソン・バトンラストランとなる1号車 RAYBRIG NSX-GT（山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS）となった。

決勝6位の1号車 RAYBRIG NSX-GT（山本尚貴/ジェンソン・バトン組、BS）

　この結果、シリーズタイトルは6号車 WAKO'S 4CR LC500の2人、大嶋和也選手、山下健太選手が獲得することになった。チーム・ルマンとしては2002年の脇阪寿一/飯田章組以来、そして大嶋選手、山下選手はともに初のSUPER GT/GT500のタイトルを獲得することになった。

・GT500クラスレース結果表（結果は暫定）

・GT500クラスシリーズ・ポイント表

GT300チャンピオンは55号車 ARTA NSX GT3。決勝レースは最終ラップで11号車 GAINER TANAX GT-Rが逆転優勝

決勝レース優勝は11号車 GAINER TANAX GT-R（平中克幸/安田裕信組、DL）

　GT300は、ポールからスタートした720号車 McLaren 720S（荒聖治/アレックス・パロウ組、YH）が順当なスタートを切った。ところが、720号車はペースが上がらず、2位の56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-R（平峰一貴/サッシャ・フェネストラズ組、YH）、3位の11号車 GAINER TANAX GT-R（平中克幸/安田裕信組、DL）が抜いていく。さらにポイントリーダーの55号車 ARTA NSX GT3（高木真一/福住仁嶺組、BS）も720号車を抜いて3位に上がり、表彰台圏内に。これに対して、ランキング2位の96号車 K-tunes RC F GT3（新田守男/阪口晴南組、BS）は序盤で11位まで上がり、徐々に追い上げを見せている。

　ピットストップを終えると、トップに立っていたのは65号車 LEON PYRAMID AMG（蒲生尚弥/菅波冬悟組、BS）がトップに立っていた。65号車はファーストスティントを担当した菅波選手がいい走りを見せ、全車ピットストップを終えるとトップに立っていたのだ。2位には11号車 GAINER TANAX GT-R、3位にはポイントリーダーの55号車 ARTA NSX GT3がつけている。

決勝2位の65号車 LEON PYRAMID AMG（蒲生尚弥/菅波冬悟組、BS）

　だが、その後ろにはグリッド下位の17位から追い上げてきているランキング2位の96号車 K-tunes RC F GT3が真後ろまで追い上げてきた。ポイント差は14.5ポイントあるため、仮に抜かれてもタイトルは獲得できる。このため、48周目の1コーナーで、96号車が仕掛けてきた時にも、55号車は抵抗せず、前に出して確実にチャンピオンを獲ることができるので、冷静な対応を見せた形だ。

決勝3位の96号車 K-tunes RC F GT3（新田守男/阪口晴南組、BS）

　レースはそのまま終わるかと思ったが、最終ラップの最終コーナーまでトップを走っていた65号車 LEON PYRAMID AMGがストレートに入ってスロー走行。これで2位を走っていた11号車 GAINER TANAX GT-Rが最後の最後にトップにあがり優勝した。65号車は2位。3位は96号車 K-tunes RC F GT3、4位は55号車 ARTA NSX GT3、5位は4号車 グッドスマイル 初音ミク AMG（谷口信輝/片岡龍也組、YH）、6位は56号車 リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rとなった。

　この結果でシリーズチャンピオンは55号車 ARTA NSX GT3の高木真一選手、福住仁嶺選手の2人が獲得することになった。高木真一選手は2002年以来の、福住仁嶺選手は初めてのSUPER GT/GT300タイトル獲得となった。

・GT300クラスレース結果表（結果は暫定）

・GT300クラスシリーズ・ポイント表