ニュース

室屋義秀、佐藤琢磨、中上貴晶の3選手が2019年シーズンを振り返ったブライトリングトークショー

「JAPAN RACERS SQUAD MEETING」レポート

2019年12月8日 開催

東京タワーメディアセンター内のスターライズタワーで行なわれた「JAPAN RACERS SQUAD MEETING」

 ブライトリング・ジャパンは12月8日、レッドブル・エアレース・ワールドチャンピオンシップに参戦した室屋義秀選手、MotoGPで活躍する中上貴晶選手、そしてNTT INDYCAR SERIES(インディカー・シリーズ)に参戦する佐藤琢磨選手の3人が登壇するトークショーを開催した。

 ブライトリングには「それぞれの分野のトップで戦う3人がチームを組み、共通のミッションに挑戦する」という「スクワッド・コンセプト」があり、その日本独自のチームである「ジャパン・レーサーズ・スクワッド」に室屋選手、中上選手、佐藤選手が参加している。この3人が「JAPAN RACERS SQUAD MEETING」と題し、抽選で選ばれた観客を前にトークを展開した。

会場には抽選で選ばれた多くの観客が詰めかけた

 イベントは、3人が今シーズンを振り返りつつ、戦いの舞台裏や世界へ挑む心境などを語る「レーサーズ・セッション」と、子供たちに向けて夢の大切さや夢の実現方法などのテーマで語りかける「ドリーム・セッション」の2つに分けて行なわれた。

 最初に行なわれたのはレーサーズ・セッションで、3人が登壇すると大きな歓声が上がった。それぞれが自己紹介をした後、今シーズンを振り返った。

 まず、2019年レッドブル・エアレース・ワールドシリーズの全4戦中、アブダビとタタルスタン・カザン、そして千葉の3つのラウンドで勝利しつつ、僅差で総合優勝を逃した室屋選手に、佐藤選手が「勝率75%で総合優勝できないのは不思議だ」と笑いながら問いかけると、「(マット・ホール選手に)1ポイント届かなくて。第3戦目でポイントを落としたことが大きくてねぇ。同じことをみんなに聞かれるんですよ」と笑顔で振り返った。また、最終戦となった千葉での戦いについて「最初のラウンドで負けてしまったので、もう駄目だという感じだったが、そこから逆転できた。みんなのエネルギーをもらって、力を出し切れた。いい締めくくりだった」と述べた。

2019年のレッドブル・エアレース・ワールドシリーズで4戦中3勝と圧倒的な強さを見せた室屋義秀選手

 佐藤選手は2019年のインディカー・シリーズにおいて、第3戦のバーバーと第15戦のゲートウェイで勝利し2勝を挙げた。このインディカー・シリーズについて、佐藤選手は「毎回誰が勝つか分からない。特にオーバルはそうですね。ロードコースや市街地は予選順位が影響するんですけど、オーバルの場合は予選と決勝がまったく別物で、予選最後尾、1度周回遅れになっても復帰できるチャンスがある。そういう意味では、最終ラップの最終コーナーまでどうなるかわからない」とインディカーならではの魅力を語った。

インディカー・シリーズの2019年シーズンで2勝を挙げた佐藤琢磨選手。2020年シーズンも今季と同じレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングで走ることが決まっている

 MotoGP参戦2年目となった中上選手は、第6戦イタリアGPで自己最高となる5位入賞を果たしたが、第8戦オランダGPでの右肩の負傷の影響から、第16戦日本GP以降を欠場した。中上選手は「第8戦のオランダGPで他車の転倒に巻き込まれて右肩を負傷してしまいました。それをカバーしながら走っていましたが、レースごとに肩の状況が悪化していました」と話す。そして「このままだと走っても意味がないというか、自分の中で許せない部分があって、チームと相談して、10月に行なわれた日本GPを最後に残り3戦を欠場して、早めに手術をして来季に向けて準備に入ることにしました」と欠場という重い決断を下した理由を述べた。

MotoGP第8戦オランダGPで転倒に巻き込まれ、その際に負った怪我の影響で日本GP以降を欠場した中上貴晶選手。しかし術後は良好とのことで来季に期待がかかる

 また、中上選手は日本GPの時点でも相当厳しい状況だったようで、金曜日のフリープラクティス走行後、チームに「土曜日と日曜日は走れないかもしれない」と相談していたという。ただ、土曜日が雨になり周回数を最小限に抑えて充電できたことで「明日踏ん張ろう」という気持ちになり、ファンの声援もあって「なんとか乗り切れたかなという感じですね」と日本GPを振り返った。

 この後、佐藤選手が室屋選手が操縦するアクロバット用の飛行機に乗ったことに話題が及んだ。佐藤選手は「(ブラックアウトしないためには)全身に力を入れて踏ん張っていれば大丈夫だと言われて、ぐーっと踏ん張っていたんです。そうすると(室屋選手に)『じゃあ、ちょっとリラックスして』って言われて、ちょっと力を抜いたらサーッと血液が足の方に行ったんです。そのときにピークGを持ってこられた」と話して会場の笑いを誘った。

 一方、室屋選手はもてぎツインリングのオーバルコースを佐藤選手が運転するNSXに同乗したときについて、「最初は普通に走っていたのに、今のは遅いなと言い出してタイムを気にしだした(笑)」と話す。これに対し佐藤選手は「もてぎは震災の影響もあって段差があるじゃないですか。そこでちょっとボンって(マシンが浮く状態に)なるんですよね。そこですごい(室屋選手が)ビビるの」と暴露すると会場は笑いに包まれた。

 3人の中で最年少となる中上選手は、チームをどう惹きつければよいのかと問いかけた。これについて佐藤選手は「感謝しかない」と答え、「帰ってきたら、ありがとうね、いいマシンだったよと。絶対にチーム批判はしないこと」と話し、「感謝していれば、みんな貴晶のために俺もなんとかしてやろうという気持ちになり、みんなが1つになると思いますよ」とアドバイスを送った。

 チームへの感謝について、室屋氏は2017年の第7戦のドイツ大会での経験を語った。このとき「鼻血が出るほどアドレナリンが出ていた」としつつ、「ばーっと力が抜けて、緊張感も何もかも抜けて、いわゆるゾーンという状態にズバンと入ったのはそのときが初めて」だったと話す。そして室屋選手は次のインディアナポリス大会も勝ってワールドチャンピオンになったが、このときに「感謝ってこういうことなのかと実感した」と述べた。

 トークショーの中で、3人はそれぞれお気に入りのブライトリングの腕時計も披露した。まず室屋選手は「AVENGER」のクロノグラフで「すごく堅牢で見やすい。コクピットにすごく合う」と話した。佐藤選手が腕にしていたのは「NAVITIMER」で、「機械式時計のよさですよね。自分でゼンマイ巻いて動き出したときは本当に楽しいですね」と笑顔を見せた。中上選手が選んだのは「PREMIER」だった。理由を聞かれると「完璧です。めちゃくちゃ好きです」と話した。

トークショーではそれぞれがお気に入りのブライトリングの時計を身につけていた

 トークショー後、3人は囲み取材に応じた。怪我をした右肩の手術後の経過を尋ねられた中上選手は「10月末に右肩を手術して1か月ちょっと経ったが、順調に来ています」と話す。ただ「1日で劇的によくはならない」ともどかしい部分もあるとしつつ、「しっかり(テストには)間に合わせます」と語った。

 佐藤琢磨選手は2020年シーズンの総合優勝の可能性について聞かれると「自分としては、ここまで積み重ねてきた経験を最大限に活かして頑張りたい」と話し「来年も非常に楽しみ」だと笑顔を見せた。

ドリーム・セッションでは、小学生から高校生の子どもたちとその保護者向けにトークショーを実施。前半のレーサーズ・セッションとは異なり、それぞれレーシングスーツを身にまとって登壇した