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トヨタ、ペダル踏み間違い事故の抑止に向け「急アクセル時加速抑制」機能を新開発
新車向け「プラスサポート」、後付け装置「踏み間違い加速抑制システムII」を7月1日発売
2020年7月1日 13:30
- 2020年7月1日 発売
- 新車装着時(プラスサポート):1万3200円~
- 後付け装置(踏み間違い加速抑制システムII」):3万8500円
トヨタ自動車は7月1日、ペダル踏み間違い事故のさらなる抑止・被害軽減のため既存のシステムに加え、新たな「急アクセル時加速抑制」機能を開発し、新車向けとして「プラスサポート」、既販売車種向けの後付け装置として「踏み間違い加速抑制システムII」を発売した。
新車向けの「プラスサポート」は7月1日発売の「プリウス」「プリウス PHV」(インテリジェントクリアランスソナー装着車)からシステムの搭載を開始し、今後、順次搭載車種を拡大する予定。価格は1万3200円~。
既販売車種向けの後付け装置である「踏み間違い加速抑制システムII」は、2015年12月~2020年6月生産のプリウス(インテリジェントクリアランスソナー非装着車)から対応をスタートし、今後順次設定車種を拡大するとして「SAI」(2009年10月~2018年2月)用を11月に、「クラウン」(2008年2月~2012年12月)および「マークX」(2009年10月~2016年11月)用を2021年1月に発売することがアナウンスされている。価格は3万8500円(取り付け費など諸経費は含まない)。
進行方向に障害物がなくてもペダルの踏み間違い操作を検知すると加速を抑制
トヨタはこれまで、新車向けに2012年から「インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ静止物]」を導入。また、既販売車種向けとして2018年から後付けの「踏み間違い加速抑制システム」を販売している。
これらのシステムは、センサーで検知できる壁やガラスなどの障害物がある場合の踏み間違い事故に対応しているが、トヨタが確認したデータによると、インテリジェントクリアランスソナーはペダル踏み間違い事故全体の約7割に対応しているものの、障害物がない場合を含む残りの事故を新たな技術開発によって減らしていく必要があったという。
今回の機能開発にあたって、まずは実際の踏み間違い事故発生時にアクセルペダルが全開で踏まれた状況を分析。その踏まれ方の特徴をコネクティッドカーから得られたビッグデータと照合し、右折時や一時停止後など、ドライバーが実際に急加速を必要とする状況を除くことでアクセルの踏み間違い操作を特定し、障害物がなくても加速を抑制することで踏み間違い事故の低減を図る設定とした。
「プラスサポート」は、運転に不安を感じるユーザー向けに用意された専用スマートキー「プラスサポート用スマートキー」で解錠すると、自動的に「プラスサポート」が起動。進行方向に障害物がない場合でもペダルの踏み間違い操作を検知した際、加速を抑制する。障害物を検知し、加速抑制・ブレーキ作動を行なうインテリジェントクリアランスソナーに加え、ペダル踏み間違い事故の抑止・被害の軽減に貢献するという。また、標準のスマートキーで解錠した場合は「プラスサポート」は起動せず、通常通りの走行が可能になる。
「踏み間違い加速抑制システムII」は、従来の「踏み間違い加速抑制システム」に「急アクセル時加速抑制」機能を追加したもので、前方に障害物がない場合でもペダルの踏み間違い操作を検知した際、加速を抑制。従来のシステムにある、前方の障害物を検知して加速抑制する機能や後退時に加速を抑制する機能に加え、後退時には障害物の有無に関わらず加速を抑制するなど、より幅広いペダル踏み間違い事故の抑止・被害の軽減に貢献する。こうした機能強化を図りながらシステム構成を見直し、従来商品比で1万7600円安の低価格を実現したのも特徴の1つになる。また、国土交通省が2020年4月に創設した、後付障害物検知機能付ペダル踏み間違い急発進抑制装置の性能認定制度に対応(本制度で初の認定を取得)したとのこと。
なお、トヨタは自社製品の開発・販売だけでなく、国内の自動車メーカーに幅広く「急アクセル時加速抑制」機能の考え方などを共有しているとのこと。