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DMM子会社のベルリングが新型救急車「C-CABIN」発表 女性隊員に配慮した設計で2022年量産化へ
11月19日~22日の期間中、チームラボプラネッツ TOKYO DMM.com(東京・豊洲)で展示
2020年11月19日 00:20
- 2020年11月18日 発表
DMM.comの子会社ベルリングは11月18日、新型救急車「C-CABIN」のコンセプトカーを発表した。電動ストレッチャーを搭載するなど、女性隊員がより活躍できるように配慮した設計を採用した新型救急車となり、2022年の量産化を目指して開発を進めていくとしている。
公開された新型救急車C-CABINは、トヨタ自動車「ハイエース バン」の「ワイド スーパーロングボディ」をベース車にして、後部室の活動スペースを広げるために車両右側面を拡張している。また、ストレッチャーを乗せる部分にスライド機構を採用して、これにより従来の救急車では片側からしか患者にアプローチできなかったものを、コンセプトカーでは活動スペースを拡げることで両側からのアプローチを可能にした。
また、従来の救急車では耐荷重性の問題などで電動ストレッチャーの搭載がされておらず、現在日本の現場で使用されている手動ストレッチャーは隊員への負担が大きいという。コンセプトカーでは、車両の軽量化やコスト削減により、ベース車への電動ストレッチャー搭載を可能にしたといい、これにより隊員のサポートのみならず女性隊員の活躍の可能性も広がるのではと、同社では考えている。
このほかにも、活動範囲内全域に握りやすいパイプを設置するため「天井握りパイプ」、180度旋回・3点式シートベルト・座面跳ね上げ機構を有する「独立式メディカルシート」を採用するなど、救急隊員が必要とする安全性と使いやすさを追求。さらに、新型コロナウイルスの感染防止に配慮して、運転席と患者室を隔てて壁を設置する新たな構造を取り入れた。
今後の展開として、このコンセプトカーをもとに各消防本部へのヒアリングを重ね、さらに品質を向上させて2021年の11月までに開発を完了。2022年の1月からの量産化を予定している。また、将来的には東南アジアを中心とした海外への進出を目指すとしている。
救急車メーカー3社目として新しい価値提案を目指すベルリング
コンセプトカーのお披露目式に出席したベルリング代表取締役CEOの飯野塁氏は、ベルリングは消防車の企画開発を手掛けるベンチャー企業で、軽量化技術を強みに事業を展開してきたことを紹介。
新たに救急車の市場に参入することについて、飯野氏は「ある消防本部さんから“救急車作らないか”との打診を受けまして、その企画を自分の方で考えました。救急車を作っているメーカーは国内に2社となっていて、3社目として新しい価値提案ができるところがあってもいいんじゃないか、そういう運用環境の変化とか機材の変化によって、新しい形を求めてる消防本部さんが多いのかなと思っています」と明かした。
また、DMM.comの最高執行責任者 村中悠介氏は、同プロジェクトについて「兄貴がすごく面白いんで1回会ってください」という飯野氏の弟の言葉をきっかけにしていることを紹介。村中氏は「それまで救急車や消防車を作るとか、作ってる人がどんな人なのか考えたことはなかったですが、飯野さんと会って、初めて千葉県の柏の方まで見に行って、どんな体制でやっているのか、どんな人がやってるのか、どういう市場なのか、その説明を一通り受けた上で、非常に感銘いたしまして、そこから何か月かお互いで話した上でグループに入っていただくことになりました」と、DMMグループ入りした経緯を明かした。
新型救急車 C-CABINについて、飯野氏は「約1年半前にDMMにグループ入りしたと同時にスタートした救急車開発ですが、ようやくコンセプトカーを発表することができました。今回の開発はわれわれにとって新しい分野への挑戦であることに加え、新型コロナウイルスの拡大もあり、モノづくりの大変さを改めて痛感しました。今回、新しい救急車・救命活動のカタチをご提案させていただきました。この発表を機に、多くの方に認知していただき、協力者が増え、さまざまな意見・知見で本製品を一緒に育てていただきたいと考えております。次の量産という大きな壁に向けて、コンセプトカー・メンバー・協力者で努力し、この時代において、より多くの命を救う手助けになるプロダクトの創出を目指していきます」とコメントしている。
なお、このコンセプトカーは、11月19日~22日の期間、一般の人にも見てもらえるよう、DMMグループが運営する「チームラボプラ ネッツ TOKYO DMM.com(東京・豊洲)」の前の屋外敷地に展示される。