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ポルシェが千葉県木更津市に開設するブランド体験施設「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」発表会レポート
ポルシェジャパン、千葉県、木更津市の3者が覚え書きへ署名
2020年11月25日 00:00
- 2020年11月24日 開催
ポルシェジャパンは11月24日、千葉県木更津市に開設するブランド体験施設「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」に関する記者発表会を都内で開催した。
ポルシェ・エクスペリエンスセンターとは、ポルシェが世界で展開をしているサーキットのような周回コースをはじめ各種付帯施設を持つブランド体験施設のことであり、ポルシェが販売するクルマの魅力をスポーツドライビングなどを通じて体験できる場となっている。
これまでイギリスのシルバーストーン、アメリカのアトランタとロサンゼルス、フランスのル・マン、ドイツのライプツィヒとホッケンハイム、中国の上海、イタリアのフランチャコルタ(2021年オープン予定)があって、木更津の施設は世界で9つ目のポルシェブランド体験施設となる。
なお、日本で展開する輸入車ブランドが日本国内にポルシェ・エクスペリエンスセンターのようなスポーツドライビング施設を建設することは初めてのことである。建設のための予算はおよそ50億円で、こうした決定はドイツのポルシェ本社にて行なわれたという。
ネーミングについて千葉県木更津市にありながら「東京」と付くのは、世界に向けて分かりやすくするためであり、羽田、成田、そして東京からの便もいいところから「東京圏内である」という解釈により使用したという。ただし、千葉県と木更津市のことを忘れず、プロモーションのときは「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京in木更津 千葉」と必ず表記していくという。
気になる開業は2021年夏以降の予定となっていて、この時期はポルシェの電動スポーツカー「タイカン」のローンチとあわせたもので、未来に向けた環境への配慮とも繋がる意味を持つとのことだ。
発表会にはポルシェジャパン 代表取締役 ミヒャエル・キルシュ氏が参加して、ポルシェ・エクスペリエンスセンターの概要を紹介した。また、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京が建設される千葉県から、千葉県知事の森田健作氏、木更津市から木更津市長の渡辺芳邦氏も出席して、開設に向けて交わされる3者協定の覚え書きへの署名を行なった。
発表会はポルシェジャパン 代表取締役社長のミヒャエル・キルシュ氏のあいさつからスタート。キルシュ氏は「ご存じのように自動車産業はかつて無いほどの構造変革に直面しています。デジタル化、コネクティビティ、電動化などの課題に対しては全ての自動車メーカーが取り組むことでもありますが、ポルシェはこれを好気と捉えています。全電動スポーツカー“タイカン”のローンチを通じて最も成功したスポーティなモビリティを提供するブランドというビジョンに着実に近づきつつあります。そしてこのビジョンをさらに追求するため、これまでのお客さまやファンを大切にしながら、同時に新しい顧客層である若い世代に向けたブランドの訴求をいっそう強めていきたいと思います」と切り出した。
あいさつを終えたあと「本日、ポルシェのスポーツドライビングや魅力的なブランド体験ができる自動者業界唯一の施設の開設を発表します」とポルシェ・エクスペリエンスセンターの開設を宣言。続いて施設の紹介をした。
キルシュ氏は「2021年に千葉県木更津市にオープンするこの施設はショールームではなく、レーストラックでもありません。日本において唯一無二、ポルシェの感動体験ができる施設です。ポルシェ・エクスペリエンスセンターは世界で8つあり、日本の施設が9つ目になります。施設の第一の特徴は周回距離が2.1kmのメインコースです。これまでのポルシェ・エクスペリエンスセンターは平面的な2次元トラックでした。これに対し木更津に建設しているコースは地形を活かした立体構造となるので高低差のあるドライビングを体験することができます。ポルシェが得意としているのはコーナリングです。その性能を余すことなく体験していただけるようドイツ、ニュルブルクリンクのカルーセル、アメリカ ラグナセカのコークスクリューなどの世界的にも有名なコーナーを再現しています」と周回コースについての紹介をした。
コース概要の紹介が終わると、続けてキルシュ氏は「ポルシェはよき企業市民であり、社会の一部であることを自認しています。だからこそ日本らしさの表現も忘れません。建物の外観は日本の伝統的工芸品である“江戸切子”をモチーフにデザインしました。また、館内にも日本庭園を連想させる和のテイストが採用されています」と建物の特徴を紹介した。
ポルシェが初めて行なうCSR活動「ポルシェ.ドリームトゥギャザー」
ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京開設と同時に行なうのがポルシェ初のCSR活動である「ポルシェ ドリームトゥギャザー」である。これは日本の若い世代に夢を持ってもらうことを目的としていて、そのためのきっかけを作ることを後押しするプログラムを柱とするもの。
そしてCSR活動の2本目の柱としては、ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京がある木更津市の自然と環境を保全する活動を推進していくということだった。なお、この活動の対象は日本全国に渡るものとのことだが、最優先で手がけていくのはポルシェ・エクスペリエンスセンター東京がある木更津市であるということだ。
ポルシェジャパン、千葉県、木更津市の3者による覚え書きへの署名
キルシュ氏によるポルシェ・エクスペリエンスセンター東京の紹介のあとは、列席した森田知事、渡辺市長とともに「産業及び観光振興、環境保全、災害時などの地域課題の締結に向けた支援活動協力に関する覚え書きへの署名が行なわれた。具体的な課題については、今後は千葉県及び木更津市と協議の上、決めていくとのことだ。
ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京の紹介について、ときおり笑顔を交えてうれしそうに語ったキルシュ氏は最後に「私たちは千葉県木更津市にポルシェ・エクスペリエンスセンター東京を開設することができワクワクしております。千葉県の皆さま、木更津市の皆さまからいただいた暖かいご協力とプロフェッショナルなご支援に心から感謝を申し上げます」と結んだ。
続いては千葉県知事の森田氏のあいさつ。森田氏は自身が初めてドイツにいったとき体験したアウトバーンでの思い出について触れ、「アウトバーンで見たポルシェは憧れでした。その憧れのクルマを作るメーカーが新たな施設の建設地として木更津市を選んでくれたということは、私たちにとって誇りといえることです。大変うれしいです。それに加えて産業及び観光振興、環境保全、災害時などの地域課題の締結に向けた支援活動協力に関する覚え書きを交わせることもうれしいことです」と語った。
次にマイクを取ったのは木更津市 市長の渡辺氏だ。渡辺氏は「木更津市に施設ができることを大変うれしく思っています。このことによる地域の活性化には大いに期待しています。今回の建設にあたり、現地を視察された際、山桜が咲き誇る環境を大変気に入っていただけたと聞いています。木更津市は里山、里海を持つとても魅力的な場所であり、東京の羽田空港からも約30分で来ることもできます。近年は大型の商業施設ができ、人口も増加しています。そのような中でのポルシェ・エクスペリエンスセンター東京の建設は、木更津市の認知度をさらに高めてくれるものと思っています」と述べた。
ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京は2021年夏以降にオープンする予定で建設が進められている。キルシュ氏のコメントにあったように、この施設はポルシェというブランド同様、包括的な施設なので誰でも来てもらってOKという場所で、まずは人が集う場所として広まってくれたらとのことだ。そういうコメントをもらえるとわれわれ、ポルシェオーナーではない人であってもこの施設が身近に感じるものでもある。ともあれ、ポルシェという憧れのブランドをいろいろなカタチで体験できるポルシェ・エクスペリエンスセンター東京、来年のオープンが待ち遠しいものだ。