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大型車の車輪脱落事故が2019年度に112件 国交省が安全啓発ビデオ公開

車輪脱落を防ぐ4つのポイントを紹介

2020年12月15日 発表

 国土交通省は12月15日、「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」活動の一環として、大型車の車輪脱落が死亡事故につながる危険性があることを啓発するビデオを、国交省のYouTube公式アカウントに公開した。

 公開された動画では、60km/hで走行中のトラックからタイヤが脱輪し、ベビーカーを押している男性にタイヤが衝突するという想定で実験を実施。タイヤが男性(人形)とベビーカーに衝突すると、男性とベビーカーは約4m飛ばされた。

事故の恐ろしさを知って! 大型車の車輪脱落事故

 男性の体はタイヤに沿うように折れ曲がり、頭もタイヤに打ち付けられた。男性にかかった衝撃を測定すると、頭蓋骨骨折、3箇所以上の肋骨骨折、脊椎損傷、大腿骨骨折の傷害を負う結果となった。

 大型車の車輪脱落事故は、2019年度の発生状況として、発生件数は112件と2018年度比31件増加している。今回の動画の公開は、毎年、冬用タイヤに交換するこの時期に大型車の車輪脱落事故が多く発生していることを受けたもので、適切なタイヤ交換作業やタイヤ交換後の確実な保守管理の実施を呼びかけている。

2019年度の大型車の車輪脱落事故発生状況

 また、動画の中では大型車の車輪脱落事故の特徴について、「冬期(10月~2月)に多く発生」「特に東北地区で多く発生」「車輪脱着作業後1か月以内に多く発生」「タイヤ交換作業が集中する11月に交換した車両の事故が多い」「車輪脱落箇所は左後輪に集中」といった傾向があるという。

 こうした事故を未然に防ぐため、国交省では車輪脱落事故防止のための4つのポイントを策定。

・ホイールナットは規定のトルクで確実に締め付けるようにし、トルクレンチなどで確認する。

・締め付け後は初期なじみによってホイールナットの締め付け力が低下するため、50~100km走行を目安に増し締めをする。

・運行前にホイールボルト、ナットを、目で見て点検ハンマーなどを用いて緩みや異常がないかを確認する。

・ホイールボルト、ホイールナットにはJIS方式とISO方式があり。また、アルミホイールとスチールホイールでは使用できるボルト、ナットが異なるので、それぞれに適合したものを必ず使用する。

大型車の車輪脱落事故防止のための啓発用チラシ

 以上の4つのポイントによる、適切なタイヤ交換作業と交換後の確実な保守管理で、大型車の車輪脱落事故を防ぐことができると、強調している。

2019年度の大型車の車輪脱落事故発生状況